オーデュボンの祈り 公演情報 石井光三オフィス「オーデュボンの祈り」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    いろいろうまいとは思うけど、イマイチ
    引っ張るだけ引っ張っておいて、このカタルシスのなさ。何なんだろう。
    演出は手際良く、映像も効果的だったけど…。

    ネタバレBOX

    理由のわからないコンビニ強盗、警官の主人公に対しての異常な執着心、江戸時代からずっと外界から遮断されている島、300キロだか400キロの女性、妻が生きているのに殺されたフリを続ける画家、しゃべる案山子などなど、リアリティのない、悪夢的なファンタジーが舞台の上にある。
    ちょっと興味をそそる内容だ。

    主人公が「夢」と何回も言葉を発する。そこがポイントでもあろう。
    また、外界と遮断されている「島」は、ガラパゴス化している「日本」をどこか彷彿とさせるのもいい。

    しかし、そういう、リアリティをあえてゼロにした世界観だとしても、それを支えるリアリティは最小限必要ではないだろうか。
    また、その世界の中で、きちんと収束するべきではないだろうか。

    面白風味を散りばめて、いろいろ引っ張るだけ引っ張っておいて、このカタルシスのなさは、何なんだろう?
    例えば、同じ作家の原作らよる映画『アヒルと鴨とコインロッカー』や『フィッシュストーリー』とかでは、最後に見事にすべてをまとめて見せていた。そこには「あぁ」というカタルシスのようなものがあったのだ。

    しかし、今回のこれにはそれがない。
    もちろん、伏線らしきもので、1つひとつがどういうことだったのかが、ラストにいくに従い一気にわかるのだが、それがどうも「なるほど」というほどの快感には結びつかないのだ。残念ながら。

    そして、問題はラストである。
    たぶん、これで感動しろ、ということなのだろうが、「音楽が足りなかった」と言われても、それへの伏線はゼロである。あまりにも陳腐。
    音楽がないことで、島がどうだったのか、が描かれてないから、唐突にしか感じられない。江戸時代から外界と遮断されているという設定なのだが、テレビだってラジオだって入るだろう、と思うし、それすら遮断された世界というのであれば、そのエピソードもほしいではないか。

    オーデュボンの祈り、主人公の行動と気持ちの変化、そして、島と音楽という3つのラインが、どうもうまくリンクしていかず、別モノとしてしか感じなかったのが最大の難点であろう。

    演出は手際いいし、映像も効果的(2役を映像で見せるのは舞台としてヘタすぎだけど)。だけど、原作を手順良く、あらすじ的に見せただけだったのではないだろうか。

    ただ、鳥が飛ぶシーンの映像効果は、結構いろんな場所で観たような印象がありすぎだし、カーテンを使った場面展開も、つい最近どこかで観たような気がするのだが。

    原作が内包していた、雰囲気を端折ってしまったのではないだろうか、と思うのだ。読んでないけど。
    結果、もやもやだけが残った。

    0

    2011/10/05 05:36

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大