短編集:エドゥアルド・ウルリヒ教授の鎮痛剤/他【チケットプレゼントあります】 公演情報 バンタムクラスステージ「短編集:エドゥアルド・ウルリヒ教授の鎮痛剤/他【チケットプレゼントあります】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    独特の世界感を持った三つの短篇
    劇団の持つ作風として非情で暴力に満ち溢れた幸薄い世界らしいが、最後の短編などはコメディかと思ったくらい生温かいコミカルな場面で笑った。どの作品も内容の濃い見応えのある作品で大満足でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    No1 暗殺者の預言と預言者の暗殺(再演)
    東京都某所の拘置所で、女の容疑者が政治犯として扱われ取調べを受けている。しかし女には、そのように扱われる覚えがない。一方、取調べ官は「予言者」を自称し、「容疑者」を精神的に追いつめていく。、「容疑者」から、作戦中止の暗号を吐かせるまでは、この拷問は続くと言う。しかし、どうやら遥か昔から同じことを繰り返してきたらしく、それが彼らの意思だとも言う。つまり、時空を彷徨いながら3人はこの展開から逃れられない運命なのだ。ちょっと不思議な異次元の物語。


    No.2 エドゥアルド・ウルリヒ教授の鎮痛剤(新作)
    ドイツ、ハイデルベルク郊外の大学の一室。派閥闘争に敗れて、引退し田舎に引っ越す準備を進めているウルリヒ教授の元に訪れた女学生・アビゲイルと、聴講生・マルセル。マルセルはCIAに所属していた傍ら、秘密裏にウルリヒ教授がGメンルートという革命家であることを突き止める。
    マルセルの任務はGメンルート7人の潜伏先を調査することだった。マルセルはウルリヒ教授が気を許した隙に、数分後に致死するという薬物注射を刺し、解毒剤を用意しながら、教授に全てを吐かせる目論みだった。しかし教授は毒薬の特性を充分に熟知した計算でこれに対抗し、アビゲイルにマルセルを射殺させる。教授の本当の目的は革命家の協力者として人材を育て上げることだったのだ。教授の本当の名をペインキラーという。


    No.3 タナトス行政府(再演)
    関西の下町に暮らす家族と、その家族を見守る「行政府の役人」の物語。身体が弱く入院を控えた長女・かの子。勝手に大学を辞めると言い出す長男。ここで鎮座する祖父・重清(殿村ゆたか)の演技が実に素敵だ。
    かの子の容態が急変したあたりから、「行政府の役人」の3人、つまり、死神が病院のベッドで息絶え絶えになってるかの子に「お迎えにあがりました。」と手を差し伸べる。
    半分ソッチ側に行ってる祖父が、これを見て「行くな、かの子。お前はまだ早い。」と言って、祖父自身が死神の差し伸べた手を握り締める。笑
    こうして、かくゆう、かの子の代理に祖父が死んだというお話。
    めちゃくちゃ、面白かった。温かみのあるナンセンスコメディ。

    3篇とも見事な演出と演技力で素晴らしい作品だった。導入音楽も素敵だった。
    この劇団は次も観たい。

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    2011/09/30 19:09

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