満足度★★★★★
感無量です
チケットの招待をいただきましたが、熱中症でダウン。なんとか千秋楽の日に観ることができました。
長野、木島というところに「学生村」という民宿の集まりがありました。
私が高校三年のときの夏休みに、クラスメイトの荒木くんと一緒に訪れたときのことです。
同宿した人たちの中に、20代半ばと思われる「お兄さん、お姉さん」がいました。
男女それぞれ二人。もう40年近くも前のことです。
なんとはなしに話をするようになり、この四人の同宿者は、「東京演劇アンサンブル」の劇団員だということを知りました。
一人は、長塚さんという方。あとは残念ながら覚えていません。
この四人は、ブレヒトの劇について、それがどんなに優れたものなのか、熱く語り、何も知らない私は、それがとても新鮮に感じられました。その際に、「暗記するといいよ」として教えられたのが、ブレヒトの「けしてできないなんてお言いでない」(原題は失念です)、谷川俊太郎の「ネロ」の詩です。
同時に、そのときに、世界で初めて民主的な手続きで成立した、チリのアジェンテ政権が、軍隊の反乱により倒壊してしまったことも、この学生村で、ニュースとして彼らから知らされました。
おそらく社会に目を向けて考えるということを、私は初めて、この四人から教わったと思います。(完全にノンポリの私でしたから)
東京に帰って、暮れに「パリコミューン」という劇を、この劇団で観ました。長塚さんたちは、まだ端役でしたが、林光の音楽や、切れ目のないせりふの連続に、ある種のカルチャーショックを覚えたこと、今でも鮮明に覚えています。(打ち上げにまで私を誘っていただいたことも感激でした)
私が今、ここにあるのは、この劇団のおかげなのかもしれません。
「シャイロック」は、「ヴェニスの商人」をベースとしながらも、脚本を手がけたアーノルド・ウェスカー自らが言うように、まったく新しい作品として完成されたものです。
シャイロックを、より人間くさく、しかも複雑な生い立ちと心理とを持った人物として、「再生」されています。
ユダヤ人問題に目をそむけず、真正面から描いているところが、観ている私たちにとっては、分かりやすいものともなっています。シェークスピアの原作では、そこまで描ききれていません。
より人間を深く理解し、しかもより深く愛した作品だと言えるでしょう。
実験的な脚本なのでしょうが、その試みには共感できるものがありました。
劇団の「年長の方」(案内係をしていた男性の方)に、前半に書いたようなことを、懐かしさをこめて、たくさん話してしまいました。待合室の左手奥に飾られた「パリコミューン」のポスター。これは当時、読売ホールで上演されたときのものだとのこと。私の第一歩が、ここから始まったのですね。懐かしい・・・
今年の学芸会は、以前作成した「ヴェニスの商人」の大幅な書き換えをしたいと考えています。
2011/09/22 23:22
何とも、すごい出会いがあったのですね。
もう、ずいぶん前の話で、
長塚さんを僕は存じ上げないので、
話を聞くことができず、残念です。
チリのアジェンデ政権が倒されたのは、
9月11日。
もしかして、その日の観劇では??
などと、考えすぎたりしてしまいましたが、
千秋楽ということで、
そこまでの偶然もないでしょうが……。
ぜひ、今度はお声かけください!!
打ち上げにも!!
おそらくお話ししたのは、
うちの劇団の代表で、
今回の演出をした入江洋佑ではないでしょうか。
彼なら長塚さんのことを知っていると思います。
今度聞いてみますね。
どうぞ、ぜひまた、ブレヒトの芝居小屋にお越しください。