かもめ 公演情報 第七劇場「かもめ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    内側と外側、外側と内側、それらが絡み合う
    消えゆき、重なる台詞。怒濤のようなうねり。
    関係性と感情を身体でも表現。
    「かもめ」の戯曲自体の懐の深さ、演出家の柔軟性、演劇そのものが持つポテンシャルの高さを改めて感じる。

    ネタバレBOX

    この数年ぐらい『かもめ』を題材にした舞台をいくつか観たが、どれもテイストが異なっていた。それだけ『かもめ』の戯曲自体の懐が深いということか、あるいは演出家を惹き付ける何かが多いということなのかもしれない。
    そして、どれもが面白かったのだ。
    今回の『かもめ』も、とても面白かった。

    第七劇場では、『かもめ』の中で、一番の「傍観者」である医者のドールンを軸にして、回想のように、『かもめ』を見せていく。
    精神を病んで病院にいるニーナとの会話を通じて、「傍観者」としてのドールンが、ニーナに起こった出来事を回想していくのだ。

    この回想は、「誰の目」に映っている回想なのかは、舞台の上にいる登場人物の足元からもうかがえる。
    回想に登場する人物たちは裸足であり、病院の患者はスリッパ、そして、唯一現実にいる医者のドールンのみが靴を履いているのだ。
    そして、ニーナは裸足である。つまり、回想の中の人、ということなのだ。つまり、ドールンによる回想であろうことが想像できるのだ。

    さらに、「足元」に関して言えば、唯一「靴」を履いているドールンのみが、「外」に出ることができる存在ということを示しており、それが彼のラストの言葉、さらに雪が降り積もる切り株だけらの外界の光景と重なっていく。

    このドールンの一言は、つい漏らしてしまった本音であることには間違いないが、これを、「辛い現実」とらえるのか、あるいは、それでも「外を語ることのできる喜び」(街のこと、外界のことを知りたいと切望する、中に居続ける人たちへの配慮)ととるのかは、観客の心象によって異なってくると思う。
    しかし、当のドールンにとっては、楽しい現実とはなっていないと思う。それにについては、「外」と「内」の関係からうかがうことができる。

    「外」と「内」という視点で見れば、「病院」は「内」であり、「回想」は「外」であり、「内の内」でもある。
    そして、ニーナとコースチャは、かたや狂気へ、かたや死へと、「現実」から「外」に出て行ったと言ってもいいだろう。そして、意識の上では「外」に出たはずのニーナは病院という「内」へ閉じ込められ、死で「外」に出たはずのコースチャは「回想」という「内」に、やはり閉じ込められてしまう。
    とても皮肉な構造になっている。
    演出によって、「外」「内」の不思議な関係が表現されたのではないだろうか。

    さらに言えば、その「内」と「外」を定めているのは、外界のいる人、一番の「傍観者」である、ドールンだ。
    つまり、彼は「医者」であり、ニーナとコースチャの知り合いでもある。彼こそが、彼ら2人を「内」と「外」に彷徨わせている張本人ということなのだ。
    …ひょっとしたら、「永遠の外」にいるドールンは、唯一孤独な人なのかもしれない。それが、先にも書いた「ラストの一言」に凝縮されている、と見るのは深読みしすぎであろうか。

    そして、この構図(内と外の絡み合い)に気がついたときに、思わず唸った。
    これは凄いと。

    台詞は重なり、あるいは掠れ、消えゆく。そして、中盤の激しい盛り上がりには、本当にシビれた。
    一見、舞台の上を画面構成のように動いている人物たちが、実は、台詞だけでなく、その感情や登場人物たちの関係性をも表しているのも面白い。
    そして、まるでコロスのように、台詞で、舞台の上のハーモニーを作り出す、病院にいる3人の患者の位置づけも面白かった。

    役者では特に、アルカージナを演じた木母千尋さんの、存在感が光っていた。

    こういう舞台を観ると、演劇そのものが持つポテンシャルの高さを、改めて感じざるを得ない。

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    2011/09/11 08:51

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  • ひなつさん

    コメントありがとうございます。

    ブランコ! 確かにそうでした。外に出ようとする動きですが、絶対に外に出られず揺り戻る、と考えると切ないですね。

    ドールンは「永遠の傍観者」にあると思ったのです。

    2011/09/13 06:49

    「内」と「外」でいうと、置かれたスリッパの横で、ブランコに乗って枠内にでようとしていたニーナの姿に涙しました。ちょっと、居場所の話に弱いんですよw

    あと、「永遠の外」にいるドールン、おもしろい指摘ですね。

    2011/09/13 04:42

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