ぶどう畑に落ちた流れ星 公演情報 メガバックスコレクション「ぶどう畑に落ちた流れ星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    Bバージョンを観た
    ラッセル共和国とイーオスという二つの小さな国の戦争を背景に兵隊のリーダー・トゥルーという軍人の葛藤を描いた作品。相変わらず滝一也の本が冴え渡る。彼の書く本はファンタジーを含みながらも人間の内面を奥深く描写するので、それに答えて深層心理を表現する役者の技量を観るのが好きだ。滝の本と役者らの絶妙なコンビネーションが優秀な作品を作り上げるのだ。そして今回、シェリー役の吉野成美の演技力に度肝を抜かれる。あまりにも自然で気負いがない。妹を守りながら淡々と孤独に耐えながら生きる少女の孤高さに酔いしれた舞台だった。ひじょうに素晴らしい。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    ある夜、四人の敵兵(イーオス軍)は隠された無線施設(パンドラスボックス)があるワイナリーに舞い降りる。そこにははまだ幼き姉と妹が住んでいたがトゥルーは少女に銃口を向けることが出来なかったやがて、彼は一つの提案をして少女の捕虜となり、この場所で過ごすこととなった姉妹と敵兵。しかし、彼らの任務は23時間後の奇襲開始時にここを破壊することだった。

    この間、ラッセル共和国の兵隊ウオッカがワイナリーに訪れ完全に四人の敵兵は捕虜となるも次第に打ち解けてワインを飲み交わす仲となる。こうしてトゥルーは戦争と言う大義名分の下に置かれた自らの身の上と本来の持つ人間らしさの狭間で葛藤し揺れ動くのであった。その心圧で幻聴(アイツ)が聞こえるようになり、それは常に自問自答した囁きとして脳裏に存在するのだった。

    一方で少女・シェリーは本当は素直で明るい女の子だったが、戦争と言う過酷な状況に身を置かなければいけなくなった時から人を信じなくなって今は妹を守る為だけに、銃を使いワインを熟成させて勇敢に寡黙に生きていた。

    この物語は少女と兵隊達の友情の物語だが、戦争反対をセリフに忍ばせ滝の意思を主張させる。やがてトゥルーは長く深い葛藤の時を乗り超え、自らに課せられた任務を破棄する。こうして彼らはそれぞれの生きるべく道を見出したのだった。

    相変わらず、役者の演技力が素晴らしい。特に吉野成美の天才的な演技力に舌を巻く。云わば戦争ものなのだが、悲壮感はなく、むしろ観終わった時に人間らしく生きるという課題を投げかけてくれる舞台だ。素晴らしい芸術作品。

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    2011/09/10 13:33

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