「エダニク」「サブウェイ」 公演情報 真夏の極東フェスティバル「「エダニク」「サブウェイ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    『サブウェイ』
    進化論と歴史観から現代を見直した「失われた20年」に対するひとつのアンサーとしてみた。観念的でありながら人類愛にあふれ猛烈な独創性とエネルギーを惜しみなく発揮した超大作。

    ネタバレBOX

    『地下鉄』を利用する人々の群れ。
    そのなかから年齢・性別・職種・行動パターンの異なる7人(30代の保険屋、大学生、女教師、フリーター女、バイト君、看護師、図書館司書の女)の
    月曜日から日曜日までの一週間をインタビュー形式のモノローグとして一日一人づつカメラは捉える。

    レンズを向けられた人々は、各々の属性と近況について語る。
    本音を吐露するような深刻な素振りはみせず、飄々としてはいるものの、
    しかしどこか空疎で心、ここにあらず。といった感じ。

    そんなポーカーフェイスな人々のイメージは白い装いという形で具象化され、
    清潔で無機質、そしてほんの少しの冷たさを醸し出す。

    彼らの心理、アイデンティティは如何なるものか。そのルーツは一体どこにあるのだろう。

    それを突き止め、ドキュメンタリータッチで映画化しようと試みる一人の外国人映画監督の果敢な挑戦が、完成試写会の舞台挨拶というシチュエーションからドラマ仕立てで語られる。

    また人間があくせくとなかばルーティーンワークで一週間をこなしている日常の最中、時同じくして一週間で天地を創造した神(創世記)について触れ、進化論も並列される。

    更に近未来の視点から過剰供給される情報や行き過ぎた消費社会に毒された現代にフォーカスを当て『この時代は無意味だ』とぶった斬る。
    そして、そんな世界をつくってしまったことは紛れもなく人間の責任である、ということも。

    もともと『ひとつ』だった世界に多くを望んだひとびとはやがてバラバラになって気持ちを伝えあうことすら困難になってしまった。
    しかしそのことにすら、目を向けず、目先の利益のためだけに動いている。
    そんな世界はあまりにも絶望的だ。
    ではどうしたらいいのだろう。
    正解がみつかればきっと誰も苦しみを味わうことはないのだろう。

    作品は聖書の約束の虹を誰かがぽつんとひとりごとのように呟いて終わる。

    現実的には綺麗ごとだけでは済まないことだらけで、出口のないトンネルを行ったり来たりするような閉塞感に包まれているけれども、昔も今もぜんぶ『おとぎ話』なんだっておもえれば、少しは気がまぎれるかもしれないし、それがすくわれる方法なのかもしれない。なんて。

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    2011/09/07 06:34

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  • みささま

    うれしいお言葉をありがとうございます。
    なんだか信じられない気持ちもありますが、みささまにそう言っていただけると書いてよかった!と素直におもえます。ほんとうにありがとうございます。
    そして、こういった場を設けてくださったこりっち!にも感謝したいです。
    観たことを野ざらしにしておかないことを教えてくれたのはこのサイトですし。
    ここには演劇への愛と志を持ったレビュアーの方々がたくさんいらっしゃるので安らぎます。笑

    私も「エダニク」拝見したのですが、考えがまとまらなくて・・・。やきもきしています。

    2011/09/09 01:21

    こんにちは。
    相変わらず繊細でパッションを感じる文章、素晴らしいです。
    貴女の文章にはなんかこう、うまく言えないけれど絵画をみてるような感覚になります。
    それでいて、最後は人間の営みについて締め括り、何かに傷ついているようにも思える。

    こりっちだけでUPするのは、もったいないなぁ。
    演劇ライフにもUPしたら?
    あそこはシェアが広いから、誰かの目に留まるかもしれない。
    コラムニストに向いてるような魅力的な文章です。

    ちなみに「エダニク」のストレートプレイも観ていて面白かったです。
    キャストの演技力もサイコーでした。

    2011/09/07 12:55

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