野鴨 公演情報 メジャーリーグ「野鴨」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    野鳩じゃないよ、野鴨だよ(直前まで間違えてたw)
    ペニノ演出家のタニノクロウ氏。ずっと気になる存在でした。「舞台奥行きがやたら深い野外舞台」とか、「腹部切開のシーンでジャズの生演奏」とか、毎回私のツボをつく「ニュース」な噂を耳にすれど、なぜかいつも忙しい時期に重なってしまいみにいくことができず。

    念願かなって初のタニノ演出。

    経験と自信と確たるセンスに裏打ちされた、すんげー贅沢な3時間。

    ネタバレBOX

    西洋古典劇につきものの違和感。この作品に関しては不思議なことに全く感じません。現代風にこなれているとか、そういう類の消化のしかたではないんですよね。なんというか、奇妙な、こことは違う常識の、「完璧な世界」が出来上がっていました。イプセンが暮らした19世紀のノルウェーがこうしたものだったのかどうかはわかりませんが、ある徹底した美意識なり主義なりが貫かれているように感じました。ストレートなようでいて、かなり念入りな細部への「異端」なこだわり。生演奏のジャズピアノも絶妙です。

    「正義病」に取り付かれたグレーゲルス(保村大和)は、今風にいえば世界中に正義を押し付けるアメリカみたいな存在かな。少女が命を絶った直後のシーンで「彼女のおかげで友人のなかにある崇高なものが目覚めたのだ」と語るなど、びっくりするような思想の持ち主ですが、存在のうそ臭さを感じません。人間として、というか、人間に良く似た悪魔のような、そんな確かさで舞台上を歩き回り、他の俳優の肩越しにささやいていました(決して批判ではありません。褒め言葉のつもりです)

    で、その友人ヤルマール役の手塚とおる、もう最高です!!間抜けで、ダメダメで。かわいい。二人に共通する「潔癖さ」、かみくだいていうと「ウザさ」(笑)。これが悲劇のもとであり、コメディの要素でもあるというのが凄いと思います。よくできた脚本なんだなあ、と。

    奥さん役の石田えりも、全身から「諦め」を乗り越えた荘厳なオーラを放っていて好演。目を離さずにいられません。

    あーとにかく観といたほうがいいよ、これ。

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    2007/11/24 00:03

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