満足度★★★
競い合い
8つの共通ルールの下で5団体が上演する対バン形式の公演でした。会場が渋谷のクラブでスタンディング・お酒ありだったので賑やかな雰囲気でした。周囲にラブホテルがたくさんある場所での公演ということでか、下ネタを含んだドタバタコメディ寄りの作品が多く、シリアスなものやアーティスティックなものも観てみたかったです。
劇団東京ペンギン『非番刑事道玄坂ノボル~戦慄の15分(クォーター)』
テロリスト達が国会議事堂と間違って渋谷のクラブを占拠するところから始まる作品で、観客を人質に見立てツイッターで「テロなう」とつぶやくように促したり、ルールの1つである「助けて」という台詞を客に言わせたり、テロリスト役の人の本当の母親に電話を掛けたりと、現実世界との繋がりを強調していたのが印象に残りました。
トレモロ『Ham!Ham?Hamlet!!』
音楽とダンスを用いて『ハムレット』を15分間に圧縮した作品。ステージ上手で音楽を操る演出家によって物語が進められていくように見せる演出の効果が感じられませんでした。絶えず音楽が流れていて、台詞がほとんど聞こえず、またタイミングに関わるルールが無視されているように感じました。今回唯一の笑いを取ろうとしていない劇団でしたがルールを上手く利用できていなくて残念でした。
あんかけフラミンゴ『駆け抜けてイタリアン初経』
解散寸前の劇団が性教育の授業風景を描いた作品を上演するという劇中劇構造を持ったドキュメンタリータッチの作品でした。月経の血をトマトの汁で表現し、終盤はスペインのトマト祭りのようにトマトを投げつけ合うカオスな展開でした。馬鹿馬鹿しく下品に徹した作風に潔さを感じました。作品の15分間以外の準備と撤収の時間もパフォーマンス的に扱われていて面白かったです。
□字ック『ワールド・ワールド・ワールド』
ラブホテルの女清掃員2人の変ながらも共感できる会話を描いた作品でした。ルールで決まっているスポットライトのみになる時間を停電シーンに充てたり、流れるピアノ曲をチャイムとして扱ったりと、ルールを自然に取り込みながら、女の飾らない心情を描いた脚本が見事でした。小野寺ずるさんのエキセントリックなキャラクターが魅力的でした。舞台袖(設定上は下のフロア)から聞こえてくる喘ぎ声も効果的でした。
はちみつシアター『月光ロック』
友人の結婚式に集まったAV女優に転身した元アイドルや怪しい宗教に嵌っている女医など駄目な感じの女達が実は昔セーラームーンのメンバーだったという荒唐無稽な物語でした。敢えてルールを話の中に取り込まず、異物としてメタ的に扱う反則技が楽しかったです。30歳を過ぎた女達の自虐的な破れかぶれな感じが印象的でした。
2011/09/10 15:35
2011/09/07 16:28
コメントありがとうございます。
賑やかなイベントで楽しかったです。
笑い一辺倒ではないとのことで、次回も期待しています。