ゲゲゲのげ ~逢魔が時に揺れるブランコ~ 公演情報 オフィス3〇〇「ゲゲゲのげ ~逢魔が時に揺れるブランコ~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    演劇へのあふれ出る愛
    演劇の楽しさってこういうワクワク感なんだよなぁということを思い知らされた作品。

    「すごーい、すごい!」と心の中で叫びました。

    渡辺さんが20代でこれを考えて書いたのもすごいけど、演出してこういう形にするっていうのがやはり天才だなぁと。
    (私は渡辺さんと同年配で、ほぼ同時期に同じくらい年の離れた相手と初婚で結婚したという共通点があり、勝手な親近感がある)。

    女優としての渡辺さんのファンだが、女優としても才能あるのに、作・演出家としてもこんなに才能があるというのに敬服する。

    そしてこの作品を観て思ったのは、渡辺さんは本当に演劇を愛して、まっすぐに純真無垢な気持ちで真摯に誠実に取り組んでいる人なんだなぁということ。

    それが強く感じられた。

    「人間性なんて劇作には関係ないよ」と昔、私に言った学生劇団の関係者がいるが「関係あるよ!」と言いたい(笑)。

    第一次小劇場ブームのころ、渡辺さんからの電話を職場で一番多く受けたのは私だった。

    劇団主宰にはいろんな人がいて、制作任せの人や、すっぽかしが平気な人もいたが、渡辺さんだけはどんなに忙しくても、寝てなくても、ご自身で連絡してこられ、「ゲネプロの時間伝わってますか?」とか「来週が初日だって私言いましたっけ?」とか「いま、写真探してるのでよろしくお願いします」とか細かい確認をおろそかにしない真面目な方でした。

    稽古中、過労で声が出ないこともあり、「ごめんなさい。こんなガーガー声で失礼します」と電話の向こうで謝っておられた。

    その誠実な人間性が今回も作品を通してひしひしと伝わってきました。

    あの人だからこの作品ができたのだという・・・。

    最近の女性作家のブログなどを読むとお洒落な生活感が伝わるが、それとは少し違う。

    貧しい都会生活の中で血肉をふりしぼるように書いたという渡辺さんの青春が息づいている。

    渡辺さんが尊敬し憧れ、「夢のような芝居」を目指してきたという唐十郎氏の作劇術の影響が強く感じられ、それを確認できたことも嬉しかった。

    そういう意味では、唐十郎信奉者の若き作・演出家にこそ、ぜひこの作品を観てほしいと思いました。

    ネタバレBOX

    若月(松村武)が登場してしゃべり始めたとき、その抑揚まで唐十郎の芝居に出てくる人物のようで「あ」と思った。

    「記憶の糸」に操られて登場する男といえば、唐作品の定番だ。

    そこにサンシャイン・シティの建設により失われていく東京池袋という町と時代への渡辺さんの想いも重ねあわされていて、感慨深かった。

    小学生がワーッと出てくる場面、俳優たちの動きやかしましさが本物の小学生に見えて感心した。

    この小学生、ビワの実の精みたいで、河童に変身するのがまたビックリだが、その河童がなんだか腐ったビワの実のようでもあり、不気味さがたまらない。


    若月の戦時疎開中のいじめ体験と、マキオ(吉田裕貴)のいじめ体験を重ねる構成も秀逸。

    マキオのいじめを扇動する教師(土屋良太)の描き方も、実際小学生の時にこのような体験をした私にはリアルに感じられた。

    鬼太郎(中川晃教)の登場シーンが大型ミュージカルのようで驚いたし、妖怪・茶飲め小僧(加藤亜依)との対決場面などはとても舞台とは思えぬスピード感があり、アニメや実写版映画に抵抗がある私でも、こちらのほうがむしろ楽しんで観られた。

    一反木綿が舞う場面や杉の木に封じ込まれ同化した子供、びわの実が成った舞台美術など視覚効果も素晴らしい。

    鬼太郎であると同時にマキオの親友を演じる中川の声の悲しさが印象に残った。

    横長で見づらい座・高円寺の舞台を中央四角に作りこむなど、舞台面も見やすく工夫されていた。

    入れ子のようになった複雑な構成で、正確に理解できた自信はないけれど、幸福感で満たされた。

    中川の女性ファンの姿も多く見受けられ、彼が登場してひとことせりふを言うたびに隣の中年女性が「ふわぁ」と奇声を発して跳ねるものだから座席が揺れ、いささか興をそがれた。この奇声、ほかからも一斉に聞こえてきた。

    ほかの席でも「座席が揺れて落ち着かなかった」と終演後、不満を漏らす声がきかれた。
    彼のコンサートではないので、抑えてほしいところだ。

    8

    2011/08/25 12:20

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  • 匿名様

    コメントありがとうございました。

    まったく同感です。

    演劇も人間が創るものですから、おのずと人間性は作品にも表れるものだと思います。

    生前は縁が薄かったという如月小春さんの作品を復活上演するなど、えりさんは演劇界全体のことを思って行動されてる点に頭が下がります。

    2011/08/27 07:40

    KAE様

    劇場構造上の問題、それは私も同感です。

    ベンチシートでもないのに、隣の人の振動が伝わる劇場なんて初めてです。

    ここの普通の芝居ではまだ経験してませんが(笑)。

    扉座で笑也さんが少しサンバを踊ったけど、座席は揺れませんでした。

    1000daysという宝塚の仮設劇場が以前、有楽町にあり、座席も安物でしたが、それでも、振動はなかったですから、確かに構造には疑問が残ります。

    ミュージカルを上演すれば、観客が音楽に体を揺することだってあると思うんですよ。そういうことは想定していない床構造なのではと思います、私も。




    2011/08/27 07:35

    きゃる様


    たくさんの劇場を知る人間として、どうも、それは中川ファンばかりのせいではなく、あの劇場の作りに問題があるようにも感じます。

    あの劇場は、一般公開前に拝見した時から、私にとって、ワースト5に入る劇場です。
    劇作家協会が関与しているとは到底信じ難い程、演劇という機能を無視した作りで、私は大嫌い!!
    全く、観客の身になって作られていないなあと、いつも公演内容が良ければ良い程、残念に感じています。

    ちょっと歩く度にギシギシ言うし…。

    2011/08/27 02:23

    そうですね。えりさんの誠実さを感じましたね。
    こういう方が長く演劇を続けられるのは、本当に嬉しいことです。

    カーテンコールでの挨拶でも誠実さが伝わりました。

    2011/08/26 14:24

    KAE様

    昔、やはり大劇場で、御ひいきの歌手や俳優が出てくると、「ステキ、ステキ」とか言って跳ねる人がいたけど、大劇場だと座席がいいから、「ああ、あの人跳ねてるな」と見えるだけで、かまわないんですけどね。

    高円寺の座席はかなり揺れて、正直閉口しました(笑)。

    中川さんは大劇場にご出演のスターで、ファンもふだんより傍で観られて感激して興奮したのかもしれませんね。

    終演後、ロビーや化粧室で、何人もが「どうしてあんなに座席が揺れるのかなー。隣から伝わってくるの?あれ」「落ち着かないよね」と話していました。

    ミーハーの多い宝塚は、ファンの規律があるせいか、みんなおとなしく観てて、ため息とか聞こえてこないので今回カルチャーショックで驚きました(笑)。

    小規模な劇場に中川さんがお出になるときは私みたいな一般客は観に行かないほうがよいかもしれませんね(笑)。

    2011/08/25 23:45

    きゃる様

    なるほど!跳ねると、座席も揺れて振動するから、そこまで行くと確かに迷惑ですね。
    私が観た日には、そういう現象はなかったように思いましたが…。

    私も、常に気をつけていますが、時々、心の感嘆を声に出してしまう友人がいて、そういう状況はやむなしかなとも思うのですが、一人で観てるわけじゃないから、自制心は大事かなとも思います。

    客席環境も、観劇の大事な側面ですから、お互いに周囲のお客さんにも配慮しないといけないですね。

    2011/08/25 23:30

    KAE様

    コメントありがとうございます。

    渡辺さんは熱烈な唐ファンで有名なのです。「私自身、すごく唐さんの影響を受けてるし、唐さんみたいなお芝居を自分も作りたいと思ってずっと頑張ってきた」と、テレビで語っていました。

    唐さんに憧れて似た芝居を作ってる若い人がいるけど、えりさんが唐十郎のモノマネや亜流ではなく、こんなに素晴らしい作品を書いていることに、感嘆しました。

    中川さんの件。日頃彼の舞台を観てる人は免疫があるんでしょうね。

    ため息はまぁ、我慢するとして、跳ねるのは、すごく気になりました。その人だけではなく、揺らされてこちらにもトバッチリがくるんですから。

    それも静かな会話の場面でも跳ねるんですよ。

    台詞聞いてるのかしら?と思いました。

    違和感があったのは私だけではなかったようなので、あえて書きました。

    2011/08/25 13:09

    きゃる様

    興味深いご感想、大変楽しく拝読致しました。

    私は、自分の観て来たにも書いたように、舞台人えりさんの才気についてはつい最近まで知らずにいましたし、勘三郎さんと個人的に親交のあった母と違い、私の方は直接えりさんと面識はないのですが、どうも不思議と、隣
    席でえりさんの本音を耳にすることが多く、この方は、本当に演劇を愛してやまない方だなと実感し、急激に親近感を感じました。

    あの芝居は、唐さんの影響も大だったのですね?

    私は、つかさんや四季の影響等も感じたりしましたが…。

    中川さんファンに奇声については、ちょっと弁護させて頂くと、あれ、自然に発してる声で、ご本人も意識していないから、注意しろと言われても無理なのではと感じます。

    私も、中川さんの声を聞いた瞬間、魔法に掛けられたみたいに、感動で、ため息が漏れるのを何度も自覚しますから。あれは、ファンとしては不可抗力の反応で、仕方ないのではと感じてしまいます。

    2011/08/25 12:54

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