青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう 公演情報 コーヒーカップオーケストラ「青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    これはもの凄く好きな劇団になりそうな予感
    どうでもいい脇道に、真剣に逸れていく感じがたまらない。
    不思議な感覚のコメディ。 …コメディで合ってるよね?

    ネタバレBOX

    「夢オチかよっ!」って言いそうになるところだったが、もちろんそうではなく、夢に逃れて行かざるを得なかった人々の話である。
    タイトルに結びつくラストは、普通「やっちゃった」感が出てしまうのだが、全編「やっちゃった」感なので、気にならず、逆にうまくまとめたな、と感心してしまった。
    …「感心してしまった」は、少しウソだけど。

    とにかく最初から、「一体、ストーリーはどこに行くの?」と思うような展開が続く。小劇場でありがちなダンスシーンには、「整理」の人が出てきてダメ出しをしてしまう。しかも、それは本編と関係がないときている。
    バスならぬ、半裸の男たちが人を運ぶオッスとか、黙って立っているだけの月とか、必要のない想像シーンを見せるとか、「海賊」に反応して、ただ2度も出てくる人とか、青山くんの10年後の様子とかとかとか、とにかく「脇道」が多くて、それなのに、脇道にも全力であたる。
    必要のない情報に舞台の上は溢れかえるのだが、そんなことお構いなしで進む様は面白すぎる。
    「整理」の人が出て来る割には、舞台の上は「未整理」のまま、どんどん行くのだ。観客がついて来る、来ないはすでに関係ないようだ。
    でも、いや、だから、面白い。そこが面白い。

    役者は、それぞれの持ち味にマッチした役だったと思う。もう少し具体的に言えば、「力量にマッチした」だ。できる範囲での面白さを引き出していたように思える。あまり無理な役をさせないということは、本人のためだけではなく、観客のためでもあるのだ。無理な役をさせてしまうことで全体が沈み込むことがあるからだ。それをうまく避けたのではないかと思う。
    イッペイ役の宮本初さんの唾を飛ばす熱演がツボった。特に就活での撃沈シーンなど。これ観たら、いろんなコメディ劇団が客演に、なんて思うのではないだろうか。でも、濃すぎるから無理か。「青山くんよぉ、オレたちはだめみたいだ」な台詞がいいんだ。
    あとは、ネコの月野木歩美さんもよかったし、ヒロインの細井里佳さんが爽やかに見えて(あの中にいれば当然か…)、突き抜けるような声のトーンとともにとても印象に残った。

    もう1回ぐらい観たら、たぶん、いや、きっと、いや、やっぱり、たぶん好きな劇団になりそうな予感がする。
    こういうタイプのハチャメチャ感が好きなのだ、といまさらながらに確認した。

    会場は通路にもパイプ椅子を出すほどの満席だったのだが、緊急時とか、気分が悪くなったときとかに、どうするのかをきちんとアナウンスすべきだったと思う。予約等で想定内だったと思うので、そういう用意も前もってできたはずだ。
    ただ、追加席を作りながらの客入れのため、開演が押すことが確実になったときに、主宰が出てきて、開演が押すことを詫びていた。そういう姿勢はいいと思ったのだった。

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    2011/08/15 07:49

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