チャイムが鳴り終わるとき 公演情報 オーストラ・マコンドー「チャイムが鳴り終わるとき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    過去の記憶
    とにかく素晴らしい物語だった。脚本家の新井真紀の頭脳というか、才能に惚れ惚れしたほど。その描写は児童の無邪気な罪を抉ったもので、観ていて決して楽しくはないが衝撃的な内容は斬新であり、かつリアルだ。
    終演後、「東京の空の下で」の演奏があったがこれは初演の時にも流した曲で懐かしかった。
    また、吉祥寺シアターを満席にする力量は流石だとも思う。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    まず、劇場に入ると天井から吊り下げられた椅子の数々がこれから起こる舞台を物語っている。全体的に照明の扱い方が絶妙でストレートに美しい。教壇と椅子が方向転換する演出は、パラドックス定数の「元気で行こう絶望するな、では失敬。」での演出と似通っていて、こちらを参考にしたのかな?とも思える演出だ。

    それにしても今回の舞台は個人的にはオーストラ・マコンドーの舞台の中で一番素晴らしい作品だったと今更ながらに思う。物語は児童がとった無邪気な集団行動が、本人達との意思とは反対に教師も傷つけ、いじめも増長し、結果的に二つの大きな罪を科したことになってしまう。終盤では破壊的に終わるこの物語は観る者によっては鬱を呼び起こし、観る者によっては過去の罪を意識してしまうのだから、あまり清清しい気持ちにはなれないが、こういった集団での行動が時として誰かを貶め、誰かを苦しめ、知らない間に傷つけてしまうというのは大人の世界にだってあることなのだ。

    今回の物語に登場するロリコン精神科医をワタクシはぶち殺してやりたい衝動に駆られたが、世の中というものは、性的虐待も、いじめの対象も常に弱い者へ移る。日記を記していた幸田先生も実は弱い人間の一人だ。中盤で実果が先生の弱みを握って反撃し、主導権を握ってしまう場面では教師の心理状態を実に巧妙に演技していたと思う。

    そして今度は実果の優位な立場を押さえこれを反撃するために、眼鏡をかけて立ち向かう幸田先生の、眼鏡をかけるという行動そのものが、眼の前の世界を直視したくない臆病者の行為そのものに見えてしまうのだから教師の心理状態も抉り出す秀逸な場面だ。

    これらは実果が幸田先生の関心を引きたいという一心から巻き起こす場面だが、少女の無邪気な心から大人になる段階の無邪気とはいえない罪だ。誰かの痛みに群がり追いつめる行為は無邪気な罪とも言えなくもないが、やはり大罪なのだ。

    全てのキャストらの演技が素晴らしい。観ていてリアルに小学生に見えてしまうのだ。また神戸アキコなどはガキ大将そのもので、ああいった小学生っているいる!みたいな関心度!笑
    そして幸田役の郭智博、陣野実果役の水崎綾女、倉間凪役の藤本七海がアタリ役だった。

    子供の世界の残酷さをリアルに表現していたと思う。しかし、大人になるとそういった過去の罪を忘れてしまうことも多いのだ。


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    2011/08/12 12:06

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