満足度★★★★★
心揺さぶる演技
昼夜両方ご覧になったたかたが「普通の出来」とおっしゃる昼の部を観劇しました(苦笑)。
東日本大震災を受け、「どんなときにも絶望せず明るく生き抜いた弥々を演じること」が毬谷さんなりの応援メッセージなのだと思う。
私は一人語りとか、一人芝居というのがどうも苦手で、一人何役も演じるのが何となく観ていて気恥ずかしく、落語を除いてあまり観に行かないのだが、これはぐいぐい惹きこまれ、心揺さぶられた1時間30分だった。
初演をTVの録画中継で観たきりだったが、こういう公演はやはり生で同じ空間を共有しながら観るのが一番だと痛感。
彼女を初めて舞台で観てから約30年の歳月が流れた。宝塚退団後の舞台も観ているが、役者の引き出しを広げ、改めていい女優さんになったなぁと痛感した。
パンフに父の矢代さんが毬谷友子の魅力を「幼児性」と語っているのが印象的で、宝塚歌劇団在団中、「幼児性を何とかしなくちゃね」と彼女が先輩から注意されていたのをよく覚えている。
童女のようなピュアなところが毬谷友子の魅力なのかもしれない。
16歳から72歳までを演じ切るが、俳優の成長とともに今後どのように変化していくか楽しみな作品。
父から娘への最高の贈り物。ライフワークであろうから、また何年かしたら観てみたい気がする。
小劇場の女優さんにとっても勉強になると思うので、機会があればぜひ生で観ていただきたい公演である。