ヒューマンエラー 公演情報 643ノゲッツー「ヒューマンエラー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    衝撃的なシーンも多い作品
    衝撃的なシーンも多い作品
    当日パンフに「劇場の照明をほとんど使用せず自前の明かりのみで上演…」
    とあるとおり、演者が自分で照明を持って動いたり、舞台の両端で対話や
    電話などの通信をし合う際も、手元の照明で「対話中」を現わしたり、
    さらには、普通の演出であれば、登場しない間は舞台裏に引っ込む
    ところを、舞台中央にある一室の周囲に配置された椅子に
    腰掛けるような形で待機させ、場合によっては、あたかもコロスのように
    彼らが声を出し、特異な雰囲気を出すなど、独特の工夫がなされている。

    正直、初めの頃は、こういう工夫、特に周囲から声を出すようなやり方が、
    「うるさいな」と感じた部分もあった。
    しかし、話が進行し、内容が深刻になるにつれて、この独特の手法が
    非常に効果を上げるものであることが分かってきた。

    ネタバレBOX

    話は、この部屋に住む一人の青年を、知人や親族が訪れて行き、
    対話や出来事を通じて、青年の過去が次第に暴かれていくという構成。
    彼は、少年犯罪ではあるが、ふとしたきっかけで殺人未遂を犯して
    しまい、少年院にも送られた経験がある。
    そのことを隠していくため、仕事を探すこともあきらめ、
    部屋の明かりも灯さずに日々暮らしている。

    法律的には罪を償っているのだが、過去を調べて公表しようとする
    ライターや、たまたま彼と一緒にいるところを写真に撮られたため、
    取引先から疎まれ経営苦境に陥る経営者、
    さらには家庭が上手くいかなくなった家族等々、
    彼の過去の罪を何かあると、ことある毎に、
    いつまでも責め続ける周囲の人々…。

    こういう人々の心無い批判や自責の念に耐えかね、ついに彼は首を吊る…
    このシーンはやはり観る者には強烈である…幸い、自殺は未遂で終わるが。
    ただ、ある意味、これがきっかけで、彼も周囲も
    ちょっぴりかもしれないが吹っ切れるものがあって、
    少し明るくなってこの芝居が終わる。
    個人的には前半は少々技巧的に感じた所もあったが、
    後半の表現はやはり見事なものであり、
    既に述べたような様々な工夫も効果的であった

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    2011/08/10 00:30

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