パール食堂のマリア 公演情報 青☆組「パール食堂のマリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「いのち」の連鎖
    会場で配布されていた「作者の言葉」に、この作品への意図の一端が
    垣間見えるような気がしました。 「親」から「子」へ、またさらに「その子」へ。

    いつしかその場所から建物や独特の「匂い」「雰囲気」のようなものが
    消えてなくなってしまっても、「人」を介して「記憶」は受け継がれていく。
    横浜の街角の片隅にひっそり在るパール食堂が、その連鎖の一部に
    あるような、そんなささやかだけど、広がりのある作品でした。

    ネタバレBOX

    「生命が幾多の場所を経て、再び回帰する」というのは、
    ままごと『わが星』にテーマが近いですね。後半特に
    ファンタジックな展開になっていくところも含めて。

    ただ、決定的に違う部分も、あります。

    「女性であることの哀しみ」「喜び」「温かさ」。全部観ることが
    出来たけど、中でも「哀しみ」を強く感じました。何だろう、
    心の中に深い悲しみを密かに沈めていても、それだけじゃない。

    そういう「人間臭さ」を感じました。 吉田氏の筆致は、説明過剰に
    ならずに、地に足のついた「人間の姿」があるのが魅力だと思います。
    作者の願望に陥っていない、そこが素晴らしいです。

    結構重い背景を、登場人物達が抱えていながらもそれを
    中和するような美しい演出、特に照明を使ったものが素敵で
    まるで、「一時代に起こった夢の話」を聞かされているような
    気持ちでした。 

    あの、時間軸、そして場所まで表現する照明は本当に凄い。
    舞台の幻想性に相当貢献していましたね。

    グッとくる台詞、胸をつかれるような場面は結構あったけど、

    ・クレモンティーヌの台詞、「『去る者を追わず』と『別れる』とは
    違うのよ」
    ・善次郎がユリを迎えに行くところ、「マリア様みてえだ…」に
    至るまでの場面
    ・ラスト直前、捧げられる百合の花の中、「名無しの猫」が
    生まれ変わることを告げ、自身の墓詣でに来た親に、名前を
    付けてね、と懇願する場面

    は、思わず涙が出ました。 舞台空間と同じように広がりのある
    作品でした。マリアのように、そっとそこに佇んでいるような、
    誰かを待っているような。

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    2011/08/08 05:43

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