パール食堂のマリア 公演情報 青☆組「パール食堂のマリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    さなぎが蝶に孵るように
    吉田小夏さんの作品は完成度高く商業にいつでも持っていけると言ってきたがそれが証明された。素晴らしい美術、万遍なく配置された人物とエンタメとして行き届いた物語、横浜の黄金風景を立ち上らせる魔術。猫のようにして人間たちを見つめる優しい眼差し。必見。

    ネタバレBOX

    私見だが、小夏さんの作品はぜんぶ面白いが、作品全てに「女」としての怨念がこもっていてある意味怖いと思ってきた。男たちの愚かさに対して先ず恨みの視線があるように感じていた。(身に覚えのある)男としてはぎゃーって悲鳴をいつもあげていた。しかし「パール食堂のマリア」ではこれが大いに変質していた。

    男たちの愚かさに対する慈愛の眼差しがあった。男たちだけでなく人間の営み全てに対する慈しみの眼差しがそこにあった。女は女でも恨んだり憎んだり悲しんだりする女ではなく、醜くても可愛いわが子(あいのこ、ハーフとか)を愛おしむ聖母の眼差しで書かれた物語だった。

    それはタイトルや物語の中に聖母の名前が乱舞することからも知ることができる。

    吉田小夏さんの芝居は、舞台の規模が巨大になるにつれ、演劇的な色合いも、立派な商業性をもった物に変容したが、それだけでなく、作家としての美しい変容を感じた。今回公演、さなぎが蝶に孵った記念すべき公演となった。

    とは言うモノの、今後は、たまにでいいので、男を追い詰める恐ろしさの芝居もまた書いて欲しい。マゾ的にはちくちく刺され、いたたまれなくなるあの客席も、たまにはうれしい。でも「たまには」でいい。基本はマリアのままでいて(笑)

    終演後、小夏さんや、木下ボッコさん、荒井志郎さん、櫻井竜くんらに挨拶。ProjectBUNGAKUの仲間たちが元気に派手にやってるのが嬉しい。あれ?っと思ったけど櫻井くんは谷くんのに出てたんだっけ。小夏さんがさらに美しくなっていた。

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    2011/08/05 04:58

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