パール食堂のマリア 公演情報 青☆組「パール食堂のマリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    昭和47年横浜港町のとある食堂
    を舞台に描いた群像劇。この時代の横浜港町はワタクシには解らないが、たぶん、路地裏では犬や猫が徘徊し、米軍人を相手に如何わしいバーや大衆飲み屋やストリップ劇場などが盛んな色町と同居するように、高級とは言えない人々が暮らす下町の混在した香りのする街だと推測する。だとしたら・・・

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    今回の云わば整然とした人間臭い香りのしないセットにどうも違和感を感じてしまう。薄ぼんやりと照らす灯篭のようなライトや照明や天から下がった真新しいカラードアはあまりにも下町にそぐわない幻想的で優美なのだった。セット自体は本当に素晴らしいセットだと思うがこの物語には合わないセットのような気がする。

    説明 には「なにもかもが流れ着く港町の片隅に、小さな食堂を営む一家があった。」とあるのだから、どう想像しても賑やかで猥雑な港町の風景しか想像できないのだ。また物語もミッキーや牧田のような黒い肌の混血児が望まれないまま生まれてしまうのだから、色町で起こる事柄や、港町の女たちが外人に強姦されて出来た子らだと考えると、やはりセットと物語が合っていないように感じた。

    物語にパール食堂の近くで営業するオカマバーの店主・クレモンティーヌ、娼婦のメリーなどが登場する。今までの青☆組は家族を中心に温かな物語を綴ってきたが、「家族」から「町」に風景は広がったものの、最終的にはやはり家族愛を主軸に描いていたと思う。だから、姉が妹を詰るシーンは落涙し、姉独特の家族を思い遣る犠牲的精神と妹の性格との対比が絶妙だった。

    また片乳を取ったユリの涙がバックライトに反射して煌めきながら落ちる粒の美しさに鳥肌が立ち、これに感動して泣かされた。泣き所は数か所あったが、こういった物語の構成ははやり見事だと思う。

    横浜メリーを演じた木下裕子はワタクシの大好きな女優の一人だが、彼女はなまじ品がある為に、売春婦のメリーではなく、王妃のように感じてしまうのだから、生まれ持った品性というものは動かしがたいのだなと改めて感じる。

    この物語に人間臭さや街独自のアジア的香りや下町の裏路地で匂ってくる酸っぱい匂いが混じっていたなら港町の群像劇としては傑作だと感じたがいかがだろうか?

    青年団から独立した「青☆組」に荒井志郎, 福寿奈央, 林竜三, 藤川修二が入られたようで嬉しい限りだ。

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    2011/08/04 15:07

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