満足度★★★
Bプログラム
鈴木ユキオ『密かな儀式の目撃者』を鑑賞しました。内容があまりタイトルと関連していないように見えましたが、コントロール出来なくなるギリギリの動きやポーズを多用していて、重くて鋭い雰囲気のある作品でした。
シルエットが見えるか見えないかの薄暗がりの中、不安定な姿勢を取っては崩れる静かなソロで始まり、次第に明るくなってアンビエント系の音楽の音量が次第に大きくなり、人数も4人に増えていく展開における緊張感の高まり方が素晴らしかったです。
基本的にお互い触れることもなくバラバラに動いているのが突如同じフレーズを踊るのが観ていて気持良かったです。
4人目が舞踏的な雰囲気で現れる辺りからストイックな雰囲気が薄まり、壁に貼り付けられたバレリーナやダンサーの切り抜きを2人が足に装着してバレエ的な振りで踊り、残りの2人が懐中電灯で足元を照らしたり、懐中電灯を口の中にくわえ込み内側から頬を光らせたりと、ユーモラスだったりエロティックだったりする場面もありました。小道具を上手く使った面白い演出でしたが、雰囲気が散漫になって前半程の強度が失われてしまっていたのが残念でした。
最後のシーンで、ダンサーの体の一部を撮った写真を壁面に張り付けていくのが印象的でした。
4人のダンサーは体に負荷のかかる振付を緊張感を途切れさせずに表現力豊かに踊っていて、とても美しかったです。
3つのプログラムの内、AプロとBプロを観ましたが、1時間の公演で2500円は少々割高に感じました。個人的には、3つ合わせて全体で2時間内に収まるようにそれぞれの作品をもう少し短くして、料金を4000円程度にした方が観たくなります。