満足度★★
Aプログラム
高野美和子『ケース・スタディ その1 ~20代中期女性8名の体に関する試み~』を観ました。
具体的なストーリーがあるわけではないのですが、日常的な動作を取り入れた振付でうっすらと物語性を感じさせる断片が連なり、自分の体を再確認するプロセスを描いているように見えました。
無音の中、立ったまま体を半分に折り、客席を見つめる印象的なシーンから始まり、執拗に体を擦る行為を中心にしたシーン、クリニックでの検診(?)での会話の録音に合わせて踊るシーン、ロボットダンス的な群舞など、様々な要素が組み合わされていました。
頭を擦り寄せる動きや鳴き声の効果音など猫のイメージを喚起するモチーフが用いられていたのが、タイトルとどう関係しているのかが分からず、少しモヤモヤとした感じを持ちました。
体の動きだけでなく、視線や顔の表情の変化も構成されていたのが面白かったです。変な行動をする1人に対して他の人たちが向ける冷たい眼差しがユーモラスでした。
コミカルなシーンもたくさん盛り込まれていましたが、笑ってはいけないような空気感が客席に漂っていて、盛り上がりに欠けたと思います。演出的にもっと弾けるところは弾けちゃっても良かったと思います。
照明が途中で一瞬暗くなりかけたり、転換のタイミングがずれ気味だったりしたのが気になって集中力を削がれたのが残念でした。