ベッジ・パードン 公演情報 シス・カンパニー「ベッジ・パードン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    金之助氏イギリス留学中の出来事
    ベッジの深津さんが物凄く可愛くキュートで働き者(多少大竹sさんを彷彿とさせる喋り方だったけど、すぐに違和感無くなる)柔らかい歌声、ラブストーリー的な要素は控えめだったが適度なエロも含め素晴らしかった。
    浅野さんの十一変化も凄かった。
    ロンドン地図の幕や、夕焼けに映える舞台セットや衣装がまた綺麗だった。

    面白かったけど、3時間近くの話を引っ張るには少しばかりユーモア話の件部分の詰めが緩いようにも思えたけど、苦い部分もあるけど心にホッとした気分が宿った終り方でした。

    ネタバレBOX

    新国立劇場の舞台「雨」に通じる言葉、この作品の場合、言語か、がキーワードだった。ベッジの話す訛の強い下町言葉、ソータローの東北訛り、金之助の通じない事への言語コンプレックス等。

    金之助がイギリスに滞在した時から、英語を喋りコミニュケーションを取らなければ留学の意味は無いのだが、なかなか思うように進展しない、家族へ手紙は書いても返事は来ない、次第に孤立感を味わうようになってしまうが、家政婦のベッジと接していくうちに彼女の夢を語る様子や喋り方、毎日顔を合わせていれば言葉の受ける印象により性格の変化も生じてくるもの、全てが愛おしくなりそれまでの孤立していた部分が共感から愛情に変化していく過程は2人のやり取りの可愛さに思わず微笑んでしまった。
    ベッジのコンプレックスに共感した金之助の一言「君は私だ」の一言は、これから先の二人を見守り続けてあげたい!と思ったのだけど・・。

    ベッジの最初のノックは2回、そのうち3回になったけど、金之助や大家の妻の指導のおかげなんだろうか。
    一旦はベッジと一緒になろうと決めるも、とある経緯で妻からの手紙を手にした途端そっちに夢中になり、ベッジ放ったらかしにしちゃうし!
    男性にとってちょっと都合良過ぎでないかな!?と思ってしまった。

    友人と思っていたソータローが「センスオブユーモア」の「(上手く喋れないのに)英語教師」の発言が発端の裏切り原因、う〜んそれだけだとなんだか弱いような…後は「イギリス人がみんな同じ顔に見える!」かな…でも、それだけで手紙隠すのか、ソータロー。いくら地方の出身で自らも方言に悩まされて必死にこいて英語マスターしたとはいえ、少し大人げないぞソータロー、と言いたくなった。

    ベッジ(アニー)の弟も登場し、姉弟の仲の良さを出したかったんだろうけど、なんか薄かった。銀行強盗の件は別に無くてもあの弟なら他の展開で話がありそうな感じで。そこだけ話の流れが滞った印象を覚え、後の、結構酷な状況になっても姉弟の間柄に深みが感じなかったので、ベッジを失ってから金之助が荒れた部屋にひきこもり、薄暗い中で喪失感は出てたけど、あら?もうそっち行くんだ?みたいな切り替え方だった。

    他、下宿先の飼い犬Mr.ジャックと会話するシーンがあったが、金之助とジャックはそこまで親しかったのか。最初ベッジが「(ジャックは)人の言葉を喋る」と言っていたから、あれも金之助が見た夢の中の出来事なのかな?
    浅野さんの十一変化も凄かったけど、大家さんの妻の妹さんは別に居なくても良かったんじゃ…すっごい可愛かったけどw!
    大家夫人の最後の「これで良かったかしら?」は結構重い対応だと思ったけど、その台詞で笑い声も聞かれたんで、感じ方は人それぞれなんだなと痛感した場面だった。

    「大事な事は言葉にしなければ通じ合えない」分ってはいるけど、当時の日本人の国民性から言えば、かなりハードルが高い行為。ま、今もあんま変わらないか。
    この国の人は「上品に紳士的に差別する」「私を見ると笑いかける」と悩む金之助に対し、故イギリス女王の「差別していない、興味があるだけ」の一言は、自分も他人に分らない所で差別観を植え付けていると指摘されているようで見ているこちらにも響いた。

    金之助氏の有名すぎるあのポーズで終るけど、あの姿はまんま上品。

    アンケートの設問に「三谷さんに取り上げてもらいたい題材はありますか」とあったけど、またシスカンパニー関連で舞台企画するのかな?実現したらまた楽しみが増えちゃうじゃない!実現すればいいな…。

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    2011/07/20 02:25

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