ゴールテープ 公演情報 劇団フルタ丸「ゴールテープ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    発想・企画が秀逸
    すでに書かれているとおりで、発想が秀逸。
    できれば「ネタバレ」を読まずに、観劇した方が良い。

    私も、初日前日の「公開ゲネ」(しかし、本公演と全く同様)を観ての感想。
    誰もが一度は遊んだことがあると思われる「人生ゲーム」が題材。
    舞台上向かってやや右手に、離れという設定の小さい和室があって、
    夏なのにこたつが出たままになっている。
    不自然に左手側が空いているが、これには理由がある。

    ネタバレBOX

    どうも無職のようで、パチスロで稼いでいる(?)らしい男のもとに、
    やはり勤めが長く続かない同窓生の女が訪ねてきている。
    さらにそこに、やはり同窓生の男女二人がやってくる。
    この二人は婚約中で、男は警察官、女は弁護士。

    そして、部屋から古い人生ゲームが出てきたことをきっかけに、
    この4人が人生ゲームを始める。しかも、金を賭けて。

    警察官ながらガサ入れ先と内通したり、賭けゲームに大いに乗り気、
    しかし出世意欲満々のこの男と、
    一応弁護士なので、参加を断りつつも、いつしか参加している女も、
    ある意味突っ込みどころを持っている・・・。
    特にこの男、特にフィアンセの行方不明時にも、
    出世第一で、警察署(刑事課)への通報を拒むほどで、
    公安警察官の刑事部署に対するエリート(=差別)意識なども見ることができる。
    しかし、話はそこには深入りせず、別の展開へ。

    空いていた左側空間は、「人生ゲームの世界」のスタート地点で、
    ゲーム上の主人公(=例のピンです)達が集まっている。
    そして、こたつ上のゲームに合わせて、彼らも動く。
    こういう擬人化的手法も面白いが、話はさらに思わぬ方向へ。

    それぞれ別個の世界であったはずの「実世界」と「人生ゲームの世界」が交錯し始める。
    最初は女弁護士が人生ゲーム世界に引っ張りこまれる。
    こたつのある「離れ」の床下が空間になっており、
    ライトが当たると、異空間の出入口のように感じさせる手法も素晴らしい。
    別世界があることを知った人生ゲーム側の人間(?)が、
    今度は「実世界」に出ていく。

    何度も人生を繰り返し、ルーレットの観に左右され、
    スタートから進路が決まっていて、
    最後は必ずゴールにたどり着く「人生ゲーム世界」。

    一方、人生一度きりで、努力や運が複雑に絡み合う、
    そして、ある意味「人生ゲーム世界」よりも
    欲にまみれて汚い世界でもある「実世界」の対比が中々効果的。

    ある意味エリートである婚約者カップルと、
    非エリートの無職の二人の対比とそれぞれの意識の持ちようなども
    垣間見られる。

    「人生ゲーム世界」は確かに仮想世界だが、
    実世界の我々は、本当にこの仮想世界を笑ったり馬鹿にしたりできるのか?
    など、役者たちの両世界への行き来によって、
    観客は人生の意味など、色々考えさせられる。

    ただ、5Pでなく4Pとしたのは、ここまで秀逸な着想ができた以上、
    両世界の対比によって、観る者にもっと深い何かを与えられたのではないか?
    そんな気がして仕方がないのである。
    あるいは、あまり深入りしなかった、
    警察官役を中心とする実社会人間の矛盾と欲得ずくの側面に、
    もっと突っ込む方法もあったかも。

    最後に、本当に本当に細かい話ですが、
    初めの頃の場面で「ホーソーカイ」という台詞があって、
    私は「放送界」と思って、マスコミ関係なので忙しいのかと思っていたら、
    「法曹界」の意で、女性が弁護士であることが分かった。
    ただ、「法曹界で忙しく働いています」という言い方は、しないんですよね。
    「法曹で働くことの意義は」のような、「法律職の中身」のような話では使いますが。
    「放送」と紛らわしいことと含めて、ここは直した方が良いと思った。

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    2011/07/07 10:00

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  • そうそう様
    こちらこそ丁寧なコメントを頂き
    ありがとうございます。
    本公演のご盛会をお祈りしております。

    2011/07/07 21:23

    劇団フルタ丸 公開ゲネプロにお越しいただき、誠にありがとうございました。
    詳細なレビュー、本当にありがとうございます。参考にさせていただきます。
    今後とも、フルタ丸をよろしくお願いいたします!

    2011/07/07 17:11

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