芸劇eyes番外編『20年安泰。』(各回当日券発売有り) 公演情報 東京芸術劇場「芸劇eyes番外編『20年安泰。』(各回当日券発売有り)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    バラエティに富む5団体
    作・演出家が20代の若手5劇団が25分の作品を上演するオムニバス公演で、それぞれの劇団の特徴が良く出た個性的な作品が揃っていて、若い世代の力を感じました。

    ロロ『夏が!』
    春から連続して発表している夏シリーズの3作目で、人魚と人間のはかない恋を描いていました。今までの作品に比べてキャラクターの造形が弱く感じましたが、畳み掛けるようなクライマックスの高揚感はいつものロロらしさがあり、良かったです。ビニールシートや懐中電灯など、日常的な物を巧みに使ってファンタジックな世界感を立ち上げる演出が見事でした。

    範宙遊泳『うさ子のいえ』
    うさぎの家族を描いた作品の公演のアフタートークという設定で、モデルになったうさぎの家族の前でその劇を抜粋して演じるという入り組んだ構成でした。わざと幼稚に演じる劇中劇や、本心とは裏腹に絶賛コメントを言う下りに潜むアイロニーが面白かったです。劇場の外まで取り込んで、本物の車を走らせる豪快な演出が楽しかったです。

    ジエン社『私たちの考えた移動のできなさ』
    舞台手前・舞台奥・キャットウォークの3つのエリアに分けられたグループが同時に別々に会話する作品で、リアルさと嘘臭さが同時に感じられる不思議な雰囲気がありました。帰宅難民やデモなど、3月11日以降の日本の状況を強く感じさせる内容で、キャッチーな要素はないものの、空間を錯綜する無力感や倦怠感がある台詞のやりとりに引き込まれました。これから何か起きそうな瞬間で断ち切られて終わる、インパクトのある幕切れが良かったです。

    バナナ学園純情乙女組『【バナ学eyes★芸劇大大大大大作戦】』
    女子高生の格好をした51人(男性も含む)が派手な照明、映像、音楽に合わせて暴れまわる型破りな作品でした。情報が氾濫する現代日本を過激にカリカチュアライズしていましたが、パフォーマンス中はそんなことを考える暇もなく、客席内にも液体や物が飛び交う迫力のある表現に圧倒されました。カオスに見えながらも大勢の動きが見事に統制されていて、演出の手腕に感服しました。

    マームとジプシー『帰りの合図、』
    夕方の短い時間の出来事を組み合わせや配置を変えながら何度も繰り返す中に爽やかなノスタルジーを感じさせる作品でした。不思議な間が入る独特な台詞回しや、絶えずステップを踏み続けたり、体を揺すり続ける演出が奇をてらった感じにはならず、とてもナチュラルで共感できる表現になっていて、心休まる雰囲気が醸し出されていました。傘や窓枠、ミニチュアのバスなど小物の使い方が可愛らしくて素敵でした。

    どの団体もおそらく今までで一番大きい会場での公演だったと思うのですが、バナナ学園に関しては轟音でわざと台詞を聞えなくしている感じだったので置いておくとしても、他の団体に関しては役者の声が届いて来ない感じを受けました(一応マイクで拾って少し被せていたみたいですが)。一般的な演劇的発声法にするともっと通るようにはなりますが、作品の雰囲気が大分違ってくるので、今後さらに人気が出てきてより大きな劇場で公演するときにどう対処するのかがちょっと心配でもあり楽しみでもあります。

    アフタートークは少々グダグダ感はあったものの、主宰者たちの演劇についての意識が垣間見られて興味深かったです。生真面目な方から、悪態突きまくりの方までバラエティ豊かな主宰者たちで楽しかったです。

    このヴォリューム、クオリティー、豪華なアフタートークのゲストで2000円はとてもコストパフォーマンスが高かったです。一般をもっと高くして、その代わりに大学生も高校生と同じ1000円にして、劇団と同世代の人たちに門戸を開いても良かったのではないでしょうか。
    5年後とか10年後、新しい世代が台頭してきたときにまた今回のような公演を行って欲しいです。

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    2011/06/27 10:35

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