コクーン歌舞伎第十二弾 盟三五大切 公演情報 松竹/Bunkamura「コクーン歌舞伎第十二弾 盟三五大切」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    やや喜劇寄りの三五大切
    この演目も、大好きな作品の一つで、私は、晩年の辰之助の鬼気迫る殺しの場の凄みある演技が未だに目に焼きついて離れません。

    南北という作家は、こういう悲劇を、途中に緩和するように、喜劇を挟むことによって、より、壮絶な殺しの場や主人公の苦渋を焙り出す劇作が得意なのですが、このコクーン版では、やや喜劇が表に出すぎました。

    チェロの演奏BGMが、歌舞伎の様式美に水を差し、ところどころ、役者の演技を殺してしまったのが非常に残念。
    2時間サスペンスじゃないんだから、やはり、歌舞伎には、こういう音楽効果は不向きだと感じました。

    ただ、歌舞伎の公演時とは大きく異なるラストの見せ方は、秀逸。
    コクーン歌舞伎は、こういう部分で、斬新さを出してほしいと思いました。

    笹野さんの台詞で、原発や放射能ネタで、笑いを取る部分は、どうしても、心情的に反発を覚えました。
    江戸の時代から、歌舞伎に時事ネタを織り込むのは、遊びとして、大衆に喜ばれていたことですが、やはり、話題にしてはいけない問題もあると思うのです。

    最後に、勘三郎さんのお姿が見られて、感無量でした。


    それにしても、コクーンというのは、よっぽど、私には、鬼門の劇場なのか、またしても、私の席に荷物が置かれていて、20番からの4列連番の観客に、21番からの席と勘違いされた挙句、私は、彼女達が全員揃い、各自、自席を確認するまで、他人の席を占拠してる気が変なおばさん扱いを受け、事実が判明後も謝罪もされず、笑い飛ばされ、観劇前から大変不快でなりませんでした。これが、開演後に入ったなら、まあt先日の二の舞で、表に出されて待機させられるところでしたから、この間よりはまだましかもしれませんが…。
    でも、案の定、このおばさん達も、終始、和やかに私語されていました。

    昔のように、観客は、その芝居を観たくて来た人という、当たり前の概念はもはや過去の遺産なのかと、悲しくなります。

    ネタバレBOX

    ついこの間生まれたばかりのような気がしていた国生さんが、もう八右衛門役をなさる年齢になられたとは、感慨深く思いました。

    もちろん、まだ芸は荒いけれど、でも、この年齢で、主人を思う気持ちを懸命に演じられて、胸を打たれました。

    勘太郎さんは、益々、芸も、見た目もお父上そっくりで、何を演じても、その真摯さに感銘を受けますが、勘太郎さんは、むしろ、源五兵衛で観てみたいと思わせられました。

    菊之助さんは、一昨年の三五郎も良かったけれど、小万の内面まで、鮮やかに映し出し、女形として、大変成長されたなあと感嘆しました。
    10代の頃は、裾捌きが勢いが良くて、とても女らしさを感じないところがありましたが、近来稀に見る、素晴らしい小万さんでした。

    橋之助さんは、姿形は申し分ないのですが、あの心を振り絞るような「鬼じゃ」の台詞に、まだ哀愁が足りない気がしました。

    また、これは演出の問題ですが、五人切の場は、三五郎と小万がすぐにあっさりと逃げるので、もう少し、この場は、原作通り、狂気の源五兵衛の殺人場面を見せる方が、悲劇性が強まるように感じました。

    どうも、串田さんの演出は、笑わせる方に重きが置かれ、人物の内面描写が希薄になったように思います。
    何か、せっかくの名作が、台無しと言うか、まるで、ラスベガスで、有名ミュージカルのダイジェスト版を観ると、こんな感じかな?という雰囲気。

    この名作は、やはり、正当な歌舞伎の舞台で、もう一度、ご覧頂きたいなと、初見の方にお願いしたく思います。

    「五大力」の入れ墨が、「三五大切」に変化する件、若い観客に理解できるかと、やや不安が募りました。

    あの意味がわからないと、この芝居の哀切さは、きっと半分になってしまうから…。

    それと、これは、原作戯曲を確認できないので、不確かですが、最後に、三五郎が、死ぬ間際に、「小万、小万…」と叫ぶのですが、小万というのは、お座敷に出る時の源治名で、三五郎にとっては、妻の名はお六なので、小万と叫ぶのは不自然ではないかなと感じました。

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    2011/06/23 21:32

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  • KAE様

    ご丁寧なる返信、痛み入ります。

    >あれは、そのまま、仇討ちに出立するのでは、今の観客には?でしょうし、源五兵衛が、諦観の中で、過去を走馬灯のように回想するのを舞台上に表現したものと、私は解釈したのですが…。

    そうですよね?私もそうだと思っています。その批評家はコクーンの初演も観ているそうで、比較して書いていましたが、「殺人も夢の中といえる」なんて飛躍解釈されると、こっちがまちがっているのかと頭がおかしくなります(笑)。
    その批評家も南北の原作はわかったうえで書いているようで、串田版があの回想を強調して演出しているので、今回はそういう新解釈なのだろうみたいなことを書いていました。串田さんはどういう意図か知りませんが。

    ただ、そういう新解釈をされてしまうと、原作を知らない観客に誤解を与えそうです。現に、「あれ、夢なんだよね」なんておっしゃる若い御嬢さんが会場にいましたからね。

    私へのコメント欄でお尋ねの件は、私の記憶では原作通りだと思います。南北が写実に「お六」と言わせず、「小万」と言わせたのは、「五大力」の趣向をきかせたからではないかと。
    というのも、今回は源五兵衛に寄ったような演出ですが、本来「五大力もの」は、「男への心中立てをする女の意気地」を骨子にした芝居で、「小万」が主役なので。

    ある若い役者さんに「盟三五大切」の話をしまして、これを下敷きに、古典のアレンジに強い作家に新作を書いてもらい、小万を現代人と2役で「女形」で演じたらどうかしらと提案したんです。で、2人でああでもない、こうでもないと妄想話を展開していたら、興味をもってくださり、ちょうどこの公演があったので、観てもらいましたが、「とても面白い戯曲だと思うので、やはり、これは純歌舞伎で拝見したいですね」と言われ、安堵しました。


    2011/06/28 07:08

    きゃる様

    いろいろな驚く事実が発覚して以来、昔ほど、コリッチの動向を拝読してはいませんが、きゃるさんのコメントは欠かさず目を通させて頂いていますから、そちらに返信頂いても、きちんと拝読致しますが、こちらにお返事頂きましたので、私も、ここに返信させて頂きます。

    その劇評のお話には、私も唖然とします。串田さんのオリジナルなら、そういう解釈も成り立つでしょうけれど、きっと、南北が、草場の陰で一番驚いていそうですね。(笑い)

    あれは、そのまま、仇討ちに出立するのでは、今の観客には?でしょうし、源五兵衛が、諦観の中で、過去を走馬灯のように回想するのを舞台上に表現したものと、私は解釈したのですが…。

    それにしても、今の新聞の劇評は、昔とはあまりにもレベルに差がありすぎて、首を捻ることばかりですね。
    きゃるさんのように、博識も観察眼もきちんとある劇評家がいればいいのにと常々思っています。
    ずっと演劇記者だった人が、後進を指導することもなく、亡くなって、今は、職務で芝居評をウキウキもせずに書いてる人ばかりなんでしょうね。業務で観て感想を書いてる方々と観る目に大差がなさそうで、最近は、信頼している唯一の劇評家の批評以外は読まないようにしています。
    そういうのを読むと、腸が煮えくり返る想いをすることが度々ですので…。

    お気に入りの役者さんが、きゃるさんのお勧めの芝居を観に行ってくださるあんんて、羨ましいお話!!
    私も、知り合いの才気ある劇作家の方に、ずいぶん、観た方がいいと思う芝居をおススメしたことがありましたが、誰も、一向に興味を示しては下さいませんので、最近は、本当に芝居好きな信頼できる個人的な友人以外には、どなたにも、おススメする気力をなくしました。
    たぶん、私がおススメしていた若い主宰や劇作家の皆さんは、自腹を切ってまで、ただの観劇好きおばさんのおススメ芝居なんて、観たいとは思わないんでしょうね。

    作る方も、観る方も、演劇を本当に好きでやっている人口が激減してしまったのかなあと悲嘆に暮れる毎日です。

    2011/06/27 13:53

    KAE様

    私のほうへのコメントをいただきましたが、こちらに書いたほうが気付いていただけるかと思い(笑)、こちらへ返信させていただきます。

    なるほど、初演は原作に近い演出だったのですね?
    で、今回はあえて、大胆に変えたのでしょうか。

    この作品の歌舞伎としての「旨味」部分が薄まってしまった感はありましたね。

    あの終盤の回想場面を高く評価し、「殺人も実は源五兵衛の心象、夢の中の出来事という解釈だ」という新聞劇評があり、「えーっ!」と驚きました。

    私にはそういう飛躍的新解釈がよくわかりません(笑)。

    笹野さんのますます坊主も、平凡でも、もっと明るくなれるギャグを言ってほしかったですね。「梅雨」に関することとかでもいいし。

    私がこのお芝居の観劇を勧めた俳優さんもコクーン初体験でしたが、KAEさんと同じ感想を持ったようで、ぜひ歌舞伎でもう一度観たいと言ってくれたので安心しましたが。

    両方観てもらいたいですよね。初めて観る人は、本家のほうを知らないので、そのまま終わるのは残念です。

    しかし、観劇マナーの件は、残念なことでしたね。その日のお芝居はすべてひっくるめて心に残るもので、開演前に気分を害されるのは・・・。私語もですが。

    最近は本当に観客層が変わってきたように感じます。

    2011/06/27 04:02

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