桃色淑女 公演情報 渡辺源四郎商店工藤支店「桃色淑女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    夢を与える
    5人しか役者さん出て来ないのに、芯のある、笑ってジーンとする作品に仕上がってました。メインゲストの三上陽永さんも活躍されてて、青森パワー溢れる良作でした。

    ネタバレBOX

    人気アイドルグループ「クッキーズ」解散から10年、メンバーの一人サユリが死んだ。残されたメンバーのミツルとレイは再びクッキーズを目指す。

    ピンクレディに憧れて、友人と一緒にアイドルを目指すも、ある日突然死んでしまった性同一障害の友人コースケ。その死を受け入れきれずにいながら、高校2年生のヒロシとタケシは2人でアイドルを目指す。「アイドル誕生」のオーディションに出て、2人でピンクレディを歌おうと決めるが、当日タケシは会場に行かず、ヒロシは1人で「コースケ&タケシ&ヒロシ」として出場して、うまくいかない。

    ミツルとレイ、ヒロシとタケシの2つの物語が、男性2人の1人2役で描かれる。アイドルは夢を与える。歌って踊ってキラキラしていて、皆の憧れだ。でも、アイドルであり続けるには、自分が夢を見続けないといけない。

    「アイドル誕生」の審査員は、「アイドルになる人は、才能や見た目だけではなくタイミングなんだ、とか。オニャン子もあんなに熱狂的なファンがいたけど解散したら忘れられる、とか。模倣ではなく自分の歌を歌う事が大事だ、とか。」言って激励する。そこには、流行のスピードが早いテレビ業界の栄枯盛衰を如実に現している。大事なのは瞬間的に売れる事よりも、売れなくなった後の長い長い時間だ。

    サユリは死に、ヒロシも1人で芸能界に飛び込むも10年後に死ぬ。2人の死因はわからない。でも、芸能界に居続けるには、とてつもないエネルギーがいる。

    物語の合間に、今年還暦を迎える芸能人の白虎隊の男が歌を歌う、その歌には芸能界の栄枯盛衰を生き抜いた者にしか歌えない音楽がある。

    アイドルはこれからも生まれ続け、多くの人に夢を与える。でも、夢を見続けて生きていくその壮絶さは、計り知れないな。そんな事を考えさせられました。ラストの男2人で全力で歌い踊るピンクレディーの「渚のシンドバット」は悲しくて滑稽だ。

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    2011/06/19 22:17

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