幽霊たち 公演情報 パルコ・プロデュース「幽霊たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    傑作舞台に興奮!相性の良い佐々木・白井組
    終演後、たくさんの方が異口同音に、「難しかったね。よくわからなかった!」と感想を述べていましたが、私は、ワクワクするほど、面白かったし、佐々木さんの演技も、白井さんの演出も、共に、近来稀に見る必見舞台だと感じられました。

    カフカの描く世界にも似た、一見不条理系の芝居にも見えるのですが、実際は、人間誰しもが抱えている、根源的命題がテーマの非常に卑近なストーリーなのだと感じます。

    白井さんと佐々木さんの取り合わせは、大変相性が良く、終始ワクワクし通しでした。

    奥田さんは、もちろん存在感では、何も申し分ないのですが、やはり舞台慣れされていないせいか、時々、台詞を咬みそうになったり、つっかえたりする一瞬、慌てるご本人が顔を出してしまった時があり、その一点が惜しい部分でした。

    私が蔵之介さんのファンになったのは、舞台がきっかけでしたから、今でも、舞台俳優の佐々木さんのファンで、彼の舞台は、チケットが入手できなかった時以外、全作品拝見しています。

    そして、いつも思うのは、舞台俳優、佐々木蔵之介は、当代一の名役者だという感嘆にも似た喜び!
    ファンとしては、こういう喜びを感じさせて下さる役者さんには、感謝の気持ちが溢れます。
    映像のみの蔵之介ファンの方に、是非とも観て頂きたい舞台でした。

    ネタバレBOX

    白井さんの演出には、いつも本当に驚かされます。

    どうして、原作の良さを更にレベルアップして、こんなに、白井流においしく料理できてしまうのでしょう!

    最初のシーンから、最後のシーンまで、何度、心の中で、お見事!と賞賛の声を発したか、わからないくらいでした。

    この作品、登場人物の名前が色で統一され、もちろん衣装もそのカラーなので、一人何役もしていても、色で見分けがつくし、これが、演出的にも大変効果的。

    スリリングな展開ながら、途中、挿入される、主人公の過去の記憶の中の出来事が、実にわかりやすく提示され、難解な芝居を単純明快に描く演出の技量が並外れて秀逸です。

    探偵であるブルーは、仕事で見張っていた筈のブラックに、自分がどんどん同化して行き、結局、ホワイト=ブラック=ブルーとわかるのですが、内面の自己と対峙し、協調したり、共鳴したり、敵対したりといった、人間の自己内面の複雑さを、舞台上に、切り取って表出するこの作品の独自性を、白井さんは、オリジナルのソースで、巧みに味付けされ、極上のお料理を堪能させて頂き、観客として、大変幸せでした。

    まだ、ブラックの正体が解明されない時にも、ブルーが、最初にナレーションする「オレンジは、後のミセスブルー」という紹介により、この芝居の帰結が、悲惨なものにはならないだろう予測がつき、安心して、舞台に身を任せられていたようにも思います。

    ポール・オースターの作品も、この芝居の中で、例示される別の作品も、共に、興味が湧き、読みたい小説や観たい芝居がまた増えました。

    蔵之介さんには、いつか、カフカの作品を、また白井演出で、取り上げて頂きたいなという新たな期待もしたくなりました。

    0

    2011/06/15 22:54

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大