静かの海【ご来場ありがとうございました】 公演情報 青春事情「静かの海【ご来場ありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    悲喜こもごも青春真っ只中
    いあいあ、想像してた以上の素晴らしさ!ホント素敵な物語でした。
    高校生時代の彼らと大人になった彼らを交錯させながら、思春期独特の歯がゆくも言えなかったそれぞれの感情を描写した友情物語。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    序盤、渡辺(本折)と立花(鈴木・とくお組)のお笑い芸人の場面から始まる。このネタは大して面白くもないのだが(笑)、序盤の伏線が後の渡辺を主軸とする青春ものを予感させる描写だ。

    ワタクシは個人的にとくお組の鈴木が面白くて仕方がない。劇中でも「じゃがいも」と言われていたが30代にしておっさん顔のキャラクターが実に愛おしいのである。更にだ、鈴木のセリフをヨクヨク聞いていると、さ行の発音がオカシイ。息が抜けるような発音をするのだ。だから客席から鈴木の口内をじーーーっと観ていて判明したのだけれど、生まれつきの自由三昧、隙な歯並びがそのような発音になるのだと解ってしまった。その上、煙草の吸いすぎなのか歯が黒い。苦笑!

    つまりはおっさん顔で、はちゅおんもままならぬ歯の黒い鈴木君が女子にモテるわけはないのだが、そのキャラクターはバカボンのパパみたいに愛すべき役者なのだ。

    随分、話がそれてしまったが、本編の物語は高校の同級生5人の友情と三角関係の恋愛事情、そして大人になった彼らを綴ったものだったが、前半はコメディタッチで激走する。これらの激走っぷりが実に可笑しく、それでいてほのぼのとした風景なのだ。

    思い出の中の彼らは、自分がどんな人生を歩むのかなど何も解らず、気楽に、けれど頼りなく、ふらふらと、へらへらと毎日を過ごしていた。彼らは7月の子供だった。始まったばかりの夏休みが永遠に続くものだと錯覚する7月の子供。陽射しは眩しく彼らを照らしている7月の子供。

    学生時代を振り返ると無邪気でお気楽だったあの頃を思い出す。甘酸っぱくも苦い思い出もある高校時代。それらを想像させるような、軽快なタッチが美しい。

    後半は美月が子宮がんで入院した辺りから観客の泣き落とし作戦に入るのだが、その場面でもうるうる・・と泣ける。美月が亡き母を思い焦がれ、母がいるという月の「静かの海」に行きたいと訴えるシーンは闘病中の憐憫さと重なって、大きなクライマックスの場面だ。

    それぞれの人生に迷った時、彼らはその時々に応じて励ましたり励まされたりしながら生かし生かされていく。登場人物は7人だったが、全てのキャラクターの立ち上がりが絶妙で活き活きと描かれていた。そしてどのキャラクターも全員が好きになれる。

    観終わった後に喜びを噛みしめられる舞台だった。素晴らしい!

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    2011/06/09 17:35

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