青に白 公演情報 ペテカン「青に白」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    コメディとしての踏み込みを持ちながら
    死の質感や、
    生きてきたことへの想いが
    とても実直に描かれていました。

    基本的にはコメディだとおもうのですが、
    その範疇にはおさまらない部分にも
    心惹かれるものがたくさんありました。

    ネタバレBOX

    一人の男の死をきっかけに
    妻、娘、孫、3代の女性のそれぞれの想いが描かれ
    そこに、新しく立ちあがった葬儀社のドタバタが
    したたかに絡んでいきます。

    葬式が絡んだお話は
    コメディとしてはリスクが高いようにも思うのですが、
    ネタの仕込みがしたたかというか、
    作り手が可笑しさの骨格をきちんと作り上げているので
    観ていて素直に笑える。
    笑いのバリエーションもとても豊かで
    キャラクターの駄目さでジャブのように笑わせるものから
    話の構造で笑わせるもの、
    さらには司会者の女性が「愛の賛歌」を歌い出すような
    突き抜けで観る側を巻き込んでしまうような笑いまで、
    引き出しが本当に多い。
    伏線の掛かり方にも長短自由自在の趣があってうまいなあと思う。
    中盤から終盤にかけての「告別式 must go on!」的な貫きが
    おかしさをさらに広げていく

    一方で遺された三世代の女性たちの想いも
    しなやかな実存感を持って観る側に流し込まれてきます。
    それぞれのキャラクターが
    肌触りとともに観る側に伝わってくる感じ。
    この三人に対して娘の夫の浮気相手や
    孫娘の婚約者や行きつけの整体のマッサージ師、
    さらには母の施設の介護職員など
    周辺の人々はしたたかにデフォルメされて描かれていくのですが、
    なんというか、その存在感と遺族の女性たちの絡みが
    絶妙によい。
    それぞれの色の強さが浮くことなく
    遺族たちの肌触りに編み込まれていく。

    物語の納め方も秀逸、
    母親によってマンゴープリンのことをボディブローのように仕込んで
    エピソードを鮮やかに広げて
    最後に母親に「普通のプリンの方が良い」
    とぽろっといわせるしたたかさには
    ぞくっときた。

    終わってみればたっぷりの可笑しさや
    雨降って固まるの感に満たされて、
    その先には生きていくことの透き通った質感が
    すっと浮き上がってくる。

    単なるコメディにとどまらず
    良い意味で心から離れていかないものが残る
    秀作でありました。

    2

    2011/05/27 11:30

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  • KAE様

    コメントありがとうございます。

    実はペテカン、初見だったのですが
    深く物語にとりこまれてしまいました。

    いろんな感想を持つ方がいらっしゃってしかるべき
    お芝居だったと思うし
    そういうものを醸成しうる
    よく作り込まれた作品だったと思います。

    こういう作品に出合うと
    劇場に足を運ぶのが楽しくなりますね。

    2011/06/01 06:28

    このコメントを書かれた「りいちろ」様

    いやあ、驚きました。
    携帯で、この「りいちろ」さんのコメントを拝読し、何から何まで、自分と寸分違わぬご感想でしたので、思わず、飛び出してまいりました。

    本当に、おっしゃる通りだと感じました。

    私が、心の中で感じていたことまで、代弁して頂いたようで、何だかお礼を申し上げたいような気持ちです。

    そう言えば、先日も、テアトルエコーの、ある方の「観て来た」が、私が感じたのと、全く同じで、その時も驚いたのですが、この方には、ご本人から、以前出入り差し止めを一方的に言い渡されましたので、ここに、追記させて頂きました。

    コリッチでは、この方、本当にお芝居ご覧になって書かれたのかしら?と思うコメントによく遭遇致しますが、少なくても、その方と、このコメントを書かれた「りいちろ」さんは、ずっと舞台をご覧になって、それも、私と同じようなご感想をお持ちでしたので、演劇ファンとして、とても嬉しく感じています。

    2011/05/27 19:23

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