関ヶ原でダンス 公演情報 劇団6番シード「関ヶ原でダンス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    熱とエネルギーが溢れていた
    6番シードの印象は、大人数で、ちょっとだけ入り組んだストーリーを熱っぽく見せるというものだ。
    今回も、その軸は揺るがない。

    ネタバレBOX

    しかし、これはこちらの当日の疲れ度合いもあるのか、熱くてエネルギッシュすぎる舞台には疲れてしまった。残念ながら、心地良い疲れではない。

    それはなぜか。
    まず、ストーリーが進行していく中で、中盤以降にやっと誰が物語の中心にいるのかが見えてくる。
    冒頭は、意外とたっぷりに盗賊たちを見せて、設定を語らせるのだから、てっきり彼ら、合戦の中心にいない者たちの関ヶ原かと思っていたのだが、実は戦に駆り出された農民たち、その中の1人が中心になっていくことがわかる。
    群像劇ではなく、彼が中心にいるのならば、もっと早くから中心に出てくるべきではなかっただろうか。
    彼と彼の泣き虫兄弟たちと彼らのおっかあにスポットを当てるべきだったと思うのだ。

    なぜそう感じないのかと言うと、似たような登場人物が多いからだ。もちろん設定は違うのだが、誰もが同じようなトーンで叫ぶところが多い。全体的に叫んでいる。そんなに声を張り上げなくてもいいだろうと思うシーンでも張り上げる。
    うまい役者であれば、実際には声を張っていなくても、十分に客席に届かせることができるのだが、そうではないと単に大声で叫ぶことしかできず、だから単に叫んでいるようにし聞こえないのだ。力量の差はどうしようもないが、演出で、各立場をわきまえさせるべきだったのではないだろうか。

    また、これは特に女優陣なのだが、これぞという自分の台詞を言うとき(基本叫んでいる)に、半身になって見栄を切るようにするところがあまりにも多い。そういう役柄、つまり、いちいちカッコをつける役ならばそれもわかるが、誰も誰もがそういう形になってくる。これはさすがに…。

    さらに、「関ヶ原にダンス」の「ダンス」部分がわかってからの、ラストまでのくだりが長い。いや、長く感じるということなのだ。
    もっとテンポよくできなかったのだろうか。
    登場人物がどうなったのかをいちいち全員見せていくので、冗長に見えてしまっているのではないだろうか。
    ラストへ力づくで、怒濤のようになだれ込めば、もっと面白かったと思う。
    しかし、そのためには、主人公となっていった農民の男のことが、もっと丁寧に前半で描かれていなくてはならない。つまり、脇は脇としてくっきり陰影が見える程度に留めておき、主人公を浮かび上がられるべきだったのだ。
    全体が同じトーンで、熱っぽくエネルギッシュだったことで、せっかくの物語が薄まってしまった感じがしてしまうのだ。

    また、舞台に登場している人物が常に多いのだが、ダンスシーンを除き、その配置がしっくりこない。ぞろっといる印象だ。やはり、全員が前へ前へという想いが強すぎるのかもしれない。そのシーンでの中心をきちんと引き立てる演技(演出)が必要だと思うのだ。

    どうでもいいことだが、農民というと判で押したように「オラたち」という訛になるのはどうもなあ…と最近思っている。もちろん、きちんと設定どおりの土地の言葉であれば問題ないのだが。

    ただ、力ある劇団なので、今後には期待したいと思う。

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    2011/05/27 07:57

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