裏窓 公演情報 スポンジ「裏窓」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    超能力者の悲哀
    サイトもチラシも、あえてストーリーなど隠しているし、今回はいつも以上にネタバレで書いているので、これから観る方は以下を読まない方が良いかも?

    ネタバレBOX

    主人公の超能力者は、兄の経営する小さなバイク屋に勤める。
    しかし、超能力の故にテレビ出演なども舞い込み、バイク店の仕事はイマイチやる気薄。なので従業員からは苦情も・・・でも優柔不断の兄である社長は弟に言えず仕舞い。
    そして、主人公には看護師の優しい妻がいる。

    ところが、とあるテレビ出演の際、興味本位でしか取り上げないテレビ局により、超能力懐疑派の学者も出演する中、生放送で超能力に失敗し、無神経なカメラワークに怒った主人公は、カメラに手を出したところ、カメラは破損・・・
    (ここまでは語りにより観客に伝えられる)。

    その賠償として、(挑発したはずの)テレビ局は500万円を請求、家族まで保証人にさせられる・・・というエピソードが前半。

    そして、話は3年後に飛び、その後もテレビや映像に出演する主人公。
    そこに、旧知のフリーカメラマンより、ドキュメンタリー撮影の話が舞い込む。
    超能力を持ったことから、それを伝えねば、と使命感を持つ主人公。
    しかし、超能力を世間に知らしめることに主人公が熱心になればなるほど、周囲はぎくしゃくしていく。
    優しい妻は、夫が超能力を捨て、平凡に生きていくことを願い、
    そして夫を思うがゆえに、フリーカメラマンに「超能力はインチキ」と告げ、撮影の話を無くそうとする・・・しかし主人公は当然怒り、妻を打つ。
    妻の「私と、超能力とどっちを選ぶの?」の問に、静かに超能力を選ぶ主人公・・・。

    それから、さらに時間は経過・・・従業員も「彼が超能力をやめないなら、私がこの店を辞める」とまで、社長に談判。
    そこに、郷里から荷物を取りに来る妻・・・そう、妻も彼から去っていく。
    そして、最後に、優柔不断であった兄からも「超能力はインチキ(だよね・・・だからやめろ)」と告げられる。一緒に育ち、誰よりもその超能力がインチキでないことを知っている兄からさえ・・・。

    と、長々あらすじを書いてしまったが、私は、特異な能力(それは必ずしも超能力でなくても良い)を持つ者と、その周囲の普通の人々との間にある、平凡な生活が崩壊していくドラマと捉えた。その限りにおいて本公演は成功していたと思う。
    もちろん、それは役者の能力も寄与してのもので、
    言いにくいことを言わねばならないシーンでの間の取り方、
    あるいは他の人が入ってきてしまい、言いにくいことを言おうとしたが、
    しかし飲み込んでしまわざるを得ない状況の変化の表現など、
    難しい演技が求められる内容だが、好演していたのではないか。

    超能力者ゆえの繊細かつ理想化肌の主人公、兄で社長だが優柔不断の兄、心優しいが平凡な生活を願う妻、仕事熱心の故に超能力に浮かれている主人公に反発する従業員、悪徳商法業者に勤めたり、簡単に仕事を辞めて、姉に無心をする妻の弟、超能力者をおもちゃにするだけのテレビ局、そこと主人公との間の板挟みのマネジメント会社の女性社員・・・などなど、性格分けも(台本上も演技上も)しっかりできていたと思う。

    また、主人公が周囲の無理解で怒る際、稲妻のような電光が光ったり、
    テレビや映像出演の部分は、公演上も映像を使用したり、の手法も効果的であった。
    (映像の質はよくないが、結果的にそれが演出効果を落とすことになっていないのは、こういう台本のせいか?・・・これは僥倖かも?)

    ただ、兄にも見放されたラストシーンで、主人公が怒りにつつまれ、例の電光が走る中で演劇は終わり、演者の挨拶等もないので、ここは唐突な感を受けた。
    もちろんこれも計算ずくなのだろうし、悪くはないが、
    ここまでやったのなら、もっといいラストもあったのでは?という気にも。

    しかし、ともあれ、私(の独断偏見)としては、内容も演技も充実しており、気に入った芝居を観ることができ、満足できるものであった。

    3

    2011/05/26 08:03

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  • どんな教祖なんだ!って劇団に笑われますよ。笑

    >でも、観てから「お前のレビューずれてるぞ」と言わないでね。

    言いませんよ~(^0^)
    人によって感性が違いますからね、それよりも素晴らしい文章力に心服しました。
    次回も楽しみにしていますね。

    2011/05/26 11:54

    >みさ様
    こちらでは教祖的存在の方にお褒め頂き恐縮です。
    でも、観てから「お前のレビューずれてるぞ」と言わないでね。

    2011/05/26 11:38

    こんにちは。
    素晴らしい!!
    あまりにも素晴らしいレビューで、全ての情景が透けて見えるようでした。
    ますます、観るのが楽しみになってきました。
    スポンジは今回で2度目の観劇ですが、前回の公演も好みの作風でした。
    今後の活躍が楽しみな劇団ですね。

    2011/05/26 11:29

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