散歩する侵略者 公演情報 イキウメ「散歩する侵略者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    現実の侵略者は、もっと手強いので
    この作品は、イキウメの初期の作品だと思いますが、私は、小説で読んだだけで、拝見するのは今回が初でした。

    最近の前川作品の緊迫した濃密感が好きなので、この舞台は、ややそういう濃密度が希薄で、ちょっと期待ハズレな部分がありました。

    それに、ここに登場する侵略者は、私と家族の周囲に蠢く侵略者より、ずっとヒトが良くて、退場の仕方がどうも楽天的な感じで、ちょっと肩透かしだったかも。

    舞台空間の使い方も、作品の凝縮度を悪い方に緩和させた原因だったように感じます。

    最近イキウメに参加された、大窪さんと坂井さんが、驚く程、イキウメ役者として、進化されていて大変嬉しい驚きでした。

    主役の窪田さんも、熱演でしたが、もう一皮向けたら、素敵な役者さんに成長される予感がして、今後も、大注目の俳優さんです。

    毎回、イキウメを観劇する度、思いますが、伊勢さんの愛らしさに、心が洗われるような感覚を覚えました。

    満足度の星は3っつですが、これは、あくまでも、他劇団との比較ではなく、私がイキウメに期待する満足度限定の基準値に基づく評価です。

    ネタバレBOX

    白を基調にした舞台と書いている方が多いのですが、私の席からは、オールグレイに見えました。

    小説で読んだ時も、今ひとつピンと来るものを感じませんでしたが、やはり、この侵略者達がヒトが良すぎるせいではと感じます。

    現実の侵略者は、もっと非情で、手強くて、こんなに簡単に撤退してくれないでしょうから…。

    私の愛する世界を侵略しようとしているヒト達が、こんな風に物分りが良いといいのにと、心から思いました。

    最後に、愛する夫に、「私から、愛の概念を奪って!」と懇願する鳴海の台詞に、私も、誰かに演劇愛の概念を奪われたら、楽なのかもと思いつつ、いや、命尽きるまで、演劇に対する愛は捨てないぞと心に誓いました。

    力不足で、家族を守る力はなくても、せめて、侵略者のガイドにだけはなるまいと、心に誓うきっかけになった、大変貴重な観劇体験ではありました。

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    2011/05/24 23:51

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