戦争にはいきたくない 公演情報 らくだ工務店「戦争にはいきたくない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    魅力的な作品でした
    テンポよく面白く、物語に引き込まれいくのですが、強烈な爪痕を残されるのでなく、私の内から沸き上がる想いは温もりで満される、素敵な作品でした。初見の、らくだ工務店さんのカラーは心地よく、これからも観たい劇団さんです。

    ネタバレBOX

    住宅兼工場的なセット、奥行を感じる造りで、良かったです。

    登場人物全員の存在が自然で、まるで、日常そのもの。
    それでいて全然厭きることはなく、テンポ良く面白く物語は進むので、引き込まれます。
    場内も笑い声が湧き出るほどだが、何気ない一言や行動が良かった。
    誰もが、自分の家庭や日常には何らかの悩みや不安を抱えながら生きている。生きる事は、ある意味、それだけでも、戦いでもあるのですが、それを苦悩するだけでなく、小さいながらも笑いや喜びに変えて、日々を過ごしている。
    その中で、全てが解決することばかりではないが、変化を受け入れ、違う喜びに変えられる事ができると思えた、素敵な作品でした。

    全役者さん、魅力的でした。
    あるネジ工場の経営者、稲川(林和義さん)が、下町の工場長らしさ、経営者ならではの切なさ逞しさ的な匙加減が、特に良かったっです。

    その工場で働く従業員達は、元ニート的な啓太(今村裕次郎さん)は、父の紹介で入社した。若さならではの明るさと、ちょっと浅はかな感じも良かった。

    恐妻家の日枝(河合我聞さん)は元経理マンだが、転職して1年3ヶ月もたったのに、未だに妻に内緒だが、毎日、愛妻弁当を持ちスーツ姿で出社。気が弱いけど優しい感が良く出てました。

    この二人の兄貴的・金子(古川悦史さん)の誠実そうだが何か秘めてる感も、さり気なく付箋に、なってた事も後から気付かされるのだ。

    異国の地に家族を残し単身労働者のレオ(高瀬哲朗さん)は、淡々とした佇まいだが、長年会社を支えているので、家族の様な存在に見えた。だが、会社の設備投資の資金調達に「臓器でも、売るか?」の一言で、遠い異国や情勢の違いを、思い起さずにはいられない。
    そんな意味のある一言が上手く、物語に引き込まれてしまいます。
    工場の事務をしている稲川の妻方の姪・美耶子(小嶋めぐみさん)も、稲川夫婦を慕う感が良かった。稲川の妻の介護問題の相談で出入りしている保険外交員の溝口(駒木根隆介さん)は、美耶子に恋しているのだが、人の良さが滲み出ていて、良かったです。
    そんな派手さもなく、会社と言うより家族的な工場での日常が、とても面白くテンポ良く進む感が、心地良い。

    だがネジ工場も、変化を余儀なくされる。
    自国の家族と電話が繋がらないレオは、戦争が始まる事を悟り帰国を決意し、今後の会社や想いを、金子に託す。
    そんなことを知らない日枝は、転職を考えているものの・・。
    今後頼りになりそうな金子(古川悦史さん)に、相島(山路和弘さん)が訪問してきたことで、金子の背負ってきた過去が見えてくる。
    それまでの日常とは、かけ離れた緊張と恐怖を滲ませる二人は、お見事でした。

    病床の妻の介護問題や会社の今後等、抱えてる問題もあるのだが、稲川のラストの言葉も良かったです。それまでと打って変わり、紳士的な口調と愛しさに溢れる瞳が、素敵でした。

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    2011/05/24 02:56

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