満足度★★★
濃厚な世界観
関西で活動されている劇団の初の東京での本格的な公演とのことで、東京の劇団とは異なる一風変わったパワフルでシニカルでアンダーグラウンドな雰囲気が魅力的でした。
アトピー性皮膚炎を患う女の子が家族に対して暴力的に振る舞い破滅する物語をスピーディーな展開で描き、物語にあまり深く関わらない、水着の女の子や、突然のコンテンポラリーダンスのソロなど、突拍子もない登場人物や出来事での笑いもあり、独特のノリが新鮮でした。台詞まわしが外国映画の吹き替えみたいで面白かったです。
劇場ではない会場のため舞台袖がない空間を、奥行き方向に3層に重なるカーテン状の幕を使って仕切り、出捌けや転換を処理していたのが巧みでした。
当日パンフに役者名が書いてあるだけで配役が記載されていなかったので誰がどの役なのか分からなかったのが残念でしたが、主役の板についた様式的な台詞まわしや爆発的な演技、パパ役とジェニファー役(女性の役ですが男性が演じていました)の妙な存在感が印象に残りました。
ヴィンテージ感のある家具やカーペットを配した美術や、ちょっとレトロな感じのある音楽が洒落ていて格好よかったです。
癖になりそうな個性的な作風が面白かったので、ぜひ近い内にまた東京で公演を行って欲しく思いました。