蠅取り紙 ―山田家の5人兄妹― 公演情報 劇団たくあん「蠅取り紙 ―山田家の5人兄妹―」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    健闘したと思う
    劇団たくあんは、年1回公演を目標に活動している社会人劇団で、演劇専業を目指してる他の小劇場系劇団とは色合いが違う。
    しかし、目的ははっきりしており「社会人でも演劇をやりたい。日頃演劇に触れる機会のない人たちにも観てもらい、演劇の垣根を低くし、少しでもその楽しさを伝えていきたい」というもの。
    だから料金も学生劇団のように無料カンパ制をとっているのだろう。
    こういう活動趣旨の劇団があってもよいと思い、旗揚げ時から注目した。
    同様の活動を行う社会人劇団と比べ、日頃遠ざかっている割に演技レベルもまずまずで、セットも立派だった。
    観客たちも楽しんだ様子で、カンパ箱にも千円札がぎっしり詰まっていた。
    こういう時期でもあり、ノベルティーグッズで還元するより、東日本大震災の義捐金に一部寄付する形をとってもよかったのではないだろうか。

    前回の「Dの呼ぶ声」に続き、今回も「人が生きるということ」について考えさせられる作品。

    年1回ということで、登場人物が多く、演じがいのある作品を選ぶことになるのかもしれないが、ターゲットとなる観客層を考えれば、もう少し上演時間が短い作品を選んだほうがよいのでは、と思った。
    今後も活動に注目したい。

    ネタバレBOX

    ジテキンの名コンビによる既存作品だけに、作品には破たんがない。それだけに俳優の力量が問われる。
    俳優たちは日頃のハンディを考慮すれば、よく頑張っていたと思う。
    ただ、頻繁に活動している劇団と違い、同じメンバーで多くの作品に挑み、練り上げていくことができない難しさはあるかと思う。
    なかなか緊張感が持続せずポカッと空いたよう場面ができて中だるみを感じたり、台詞の「間」が気になる箇所も見受けられた。

    冒頭、母親がハワイに出かけるという場面の衣裳が、軽装とはいえ近所に出かけるような薄着で、飛行機に乗るにしては活動的ではない服装なのが気になった。

    母親の「生霊」が帰ってくる場面、演出のメリハリが弱く、俳優たちの空気感が同じなため、面白さが出てこなかったのが残念。
    もっと受けてもよさそうな場面が当たり前のようにスーッと流れて行ってしまうので退屈してくる。

    一緒にハワイ行く父親が一切登場しないため、俳優たちの台詞が説明口調になると、父親の不在感が気になってくる。それを感じさせないためには、やはりそれを埋める会話場面の演技が重要だ。


    観終わって、母親の生霊現象は実際に起こったことというより、兄弟姉妹各自の心象風景を表現したのかもしれないと思わせるあたり、この作品の優れた部分だと感じた。





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    2011/05/10 15:18

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