パイナップルの食べすぎ 公演情報 ナカゴー「パイナップルの食べすぎ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    パイナップルの食べ過ぎ、ループに愕然
    なにかを蹴破ってやってくるものがあって
    めっちゃ面白い。

    観ていて完全に前のめりになりました。

    ほんと、ドキドキして舞台に取り込まれてしまったし
    しっかりと後をひく作品でありました。

    ネタバレBOX

    すでに当日パンフレットのクレジットに掃除機の名前がある時点で
    なんじゃこりゃ(褒め言葉)なのですが、
    始まってみるとその掃除機が性格的に犬に近く
    普通にかわゆく見えてくる。

    どちらかというと開かれた感じの
    団地づきあい、
    家族やご近所の雰囲気も
    絶妙の色具合でがっつりとデフォルメされていて。
    部屋の主のカップルの生活感や
    入り浸っている隣の女の子の際立った平凡さ、
    そこに訪れるバイトの店長の空気の読めなさも秀逸。
    さらには落語の語り口を使ったご近所さんの人物の表現などにも
    キャラクターをしっかりと抽出する力があって。
    キャラクター間の距離感の崩し方や
    その場への吸引力みたいなものが
    ある種の色をたたえて場を広げていきます、
    ペットの掃除機と付属品(!)の人の動きにも
    時間がたつほどにさらに愛着を感じる。、
    その場の親近感とウザさを観るだけでも十分に面白い。

    そこまででも、十分に絵になっているのですが
    やってきた、「ペットロスの女」が
    舞台の空気を愕然とするほどに塗り替えていきます。
    自分のペット掃除機を失って
    やっていたサンドイッチ屋も締めなければならなくなって・・・。
    で、お愛想で言われた
    こんど遊びに来てください的な言葉に
    すがるようにその場にやってくるのですが・・・・。
    自分を押さえて沈んだ感じから、
    抱えているものを持ち切れなくなったように
    突然、臨界点をこえた如く流れ出してくるその怒りに
    ぞくっとくる。
    突然に高いテンションでまわりに怒りをぶつけ始めるのですが
    この怒りのロジックがしたたかにかけ違って
    ループしていくのです。
    それも1度ならず5回も6回も・・・。
    ボディをしっかりともって
    だんだんと自らの行き場をなくしていくような感じ。
    そのロジックが一回りするたびに
    その場がどんどん深く取り込まれていく。
    このシーンは絶品でした。
    舞台はおろか劇場までが
    その色に巻き込まれてしまって・・・。

    舞台に表されるものは突飛に見えても
    観る側がどこかに抱えている感覚と
    しなやかに縫いつけられている。
    よしんばとんでもなく誇張されていても
    心地よさと居心地の悪さそれぞれに
    観る側がうなずいてしまうような実体があるのです。

    なんだろ、
    面白いなどという言葉などでは
    とても足りないような惹かれ方をしてしまいました。

    観る方の嗜好によって
    好き嫌いはかなり出る作品ではあるかとは思うのですが
    私にとってはまさにツボの作品でありました。

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    2011/05/10 06:38

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