平田オリザ・演劇展vol.1 公演情報 青年団「平田オリザ・演劇展vol.1」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    『マッチ売りの少女たち』
    相当にスラップスティックでドタバタと落ち着かない、笑いの多い演出。
    登場人物達の、意味のあるのかないのか分からない、かみ合わない
    台詞の応酬をぼんやりと見つめていると。

    終盤、一気にダークで緊迫した雰囲気に舞台は包まれる。
    そのギャップに、ぞっとしました。 全部がこの時の為に
    用意されてたんじゃないか、と思えるほど。

    ネタバレBOX

    恥ずかしながら、別役実の原作は未見なので適当な事はいえないですが
    登場人物の立ち位置や人数、台詞は大きく変えられているような感じ。
    特に登場人物の役柄配置に、すごくオリザ色を感じました。

    『砂と兵隊』でもみられた、とぼけた感じの台詞の応酬が、
    特に闖入者である娘たちと家の主との間で繰り広げられる。
    これが凄く面白い。 娘たちの絶妙な合いの手の入れ方や
    台詞の軽妙さ、あと思わず微笑がこぼれるような表情の作り方に
    思わず声を出して笑ってしまう。 笑ってしまうけど。

    時々ものすごく緊迫して恐ろしいシーンが、笑いを切り裂いて
    飛び出してくる瞬間がある。 

    娘の一人が家の主人に向かって過去の「記憶」を告白しながら
    スカートをゆっくりまくっていく場面、

    「マッチを擦らないで下さい…」と娘たちが家の主の前で
    必死に哀願する場面、

    目が離せない程の緊張感と不気味な沈黙がアゴラの
    空間を支配してました。 普段はすっとぼけた、つかみどころのない
    娘たちがいきなり豹変するからなのかな。 

    すごく怖い、なんかの『闇の部分』、どろどろしたモノに触れた感じ。

    最後が、イカれた、脱力した感じの笑いで終わるのも、このバランスを
    なんとか保つ為だったのかな? 色々と深読みが出来る。

    後書きによると、別役『マッチ売りの少女』を中心に、『象』『AとBと
    一人の女』等をコラージュして作った作品であるとの事ですが、
    それを感じさせない、自然な作品と思いました。

    ブラックコメディ、不条理演劇が好きな人、『砂と兵隊』が
    気に入った人にはたまらない作品ではないかと。

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    2011/04/28 22:32

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