満足度★★★★★
刹那的悲哀と痛快さがない交ぜに、魅了
青木さんて、鶴屋南北の再来ではと、この劇団体験3回目にして感じました。
文章でこの劇団を語ろうとすると、適切な表現がなかなか見当たらないけれど、全てのクオリテイの度合いが揃っていると言うか、頃合の匙加減で時代を調理する、料理人の技を感じます。
役者さんが、全員、作・演の青木さんの主旨を心身で掌握し、それを、ご自身の工夫で、舞台上に体現していることが、肌で感じられ、観劇冥利に尽きる90分を過ごさせて頂けて、感謝です。
アンケートで、「今回の芝居であなたの思う一番悪い人物は誰ですか?」という質問事項がありましたが、その中の選択肢にはなかった、「この芝居を楽しめない観客」を、私なら、一番悪い人物と認識するだろうと思いました。
この芝居は、スネに傷持つ人、日頃、誰かを騙したり、自らの利益のために他人を利用するような日常を過ごす観客には、きっと、心から素直に楽しむ余裕が生まれないように感じました。
幸い、自分には、そういう卑怯な部分はあまりないので、この芝居、充分堪能することができました。
開演に間に合いそうもなく、途中で引き返そうかと思いましたが、これは、観て本当に良かった!
益々、クロムモリブデン中毒になりそうです。