四月大歌舞伎 公演情報 松竹「四月大歌舞伎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    緋牡丹お龍と・・・江戸市井の人々と逢う!
    夜公演・演舞場の入り口から直ぐ正面にある菊五郎のデスクへ伺うと、琥珀色した鼈甲のメガネをかけたお龍さんが桜色和服で凛と立っていて、恐縮しながらご挨拶。いつもは事務所のスタッフさんだけど・・・。一幕目・義太夫の演目【絵本太閤記】で秀吉をご主人菊五郎と許嫁・初菊を長男菊之助、二幕目・常盤津と長唄【男女道成寺】でも清姫を菊之助が演じているだけに楽日も近くなって客入りもイマイチで・・・。自粛ムードが高いことを感じながら観劇。三幕目では岡本綺堂作の「権三と助十」。十五代目羽左衛門によって大正十五年に初演された演目を三津五郎・松緑が演ずる。この芝居は江戸市井の人々の生き生きとした生活を描く世話物。
    英語に堪能で海外の推理小説を耽読していた綺堂は、その知識を下敷きに江戸版推理小説として、江戸風俗考証のテキストづくりという意味あいもあって書いたらしい。芝居にでてくる「井戸替え」は、毎年七夕の季節に現在のライフライン水道・井戸を大掃除する意で、この芝居で江戸の庶民の生活を垣間見るような楽しさがあちこちにちりばめられています。
    「権三と助十」は大岡裁きの謎解きをするという推理小説風のお芝居です。以下ネタバレで・・・

    ネタバレBOX

    名奉行として名高い大岡越前守が江戸の町をおさめていたころの話。神田橋本町の裏長屋では、年に一度の井戸替えで家主・六郎兵衛の音頭とりで長屋中の人々が総出で働いている。それなのに籠かきの権三はさぼって昼寝の最中。
    これに腹をたてた籠かきの相棒・助十が、権三の女房のおかんに文句をつけにくる。おかんも黙ってはいないし、それに家主や助十の弟・助八も加わって大騒動になる。
    そこへ元この長屋の住人・彦兵衛の息子で、彦三郎という若者が家主を訪ねてくる。彦兵衛は小間物を商っていたが、馬喰町の旅籠の女隠居を殺して百両の金を盗んだという疑いをかけられ、取調べの最中に牢の中で病死してしまった。
    彦三郎は父親の無実を信じていて、なんとか父の汚名をそそごうと江戸へ出てきたのだ。家主はその心に打たれるが、一度お裁きが決まってしまったものをひっくりかえすのは難しいだろうと困惑する。
    それを陰で聞いていた権三と助十、「犯人は左官屋の勘太郎に違いない」と言い出す。実は事件のあった晩、権三と助十が夜遅く仕事から帰ってくる道すがら、ほおかぶりして血で汚れた着物の袖と光る刃物を天水桶で洗っている男を見たと言う。
    それは勘太郎のようだったと二人は思ったが、その後彦兵衛が犯人として捕まったので、係わり合いになるのを恐れた二人は今までだまっていたという。
    そこで家主は一計を案じ、彦三郎と権三、助十の三人に縄をうって、「彦三郎の父親は無実だという訴えに、力を貸した権三と助十が家主のところへ殴りこんできた!」と奉行所へ訴えることにする。こうすれば必ず再吟味を開始してもらえるとふんだのだ。
    ところが一ヶ月たっても事件は一向に解決せず、そのまま町内あずかりになった権三と助十は仕事にでることもできず家でごろごろしているので、家族といざこざがたえない。そんなところへなんと釈放された勘太郎が角樽を持って二人のところへお礼参りにやってくる。
    すっかり意気消沈してしまった権三と助十は平謝り。しかし勘太郎は居丈高に嫌味を言い続ける。そこへ長屋に住む猿回しの飼っている猿がやってきて、角樽にそえてあったのしイカをひったくり、怒った勘太郎は猿を絞め殺してしまう。
    その様子を見ていた権三と助十は謝るのをやめ、勘太郎を袋だたきにして、なわでしばりあげる。そんなところへ町方が勘太郎を探しに来る。
    やれやれ助かったと思う勘太郎。だが、実は勘太郎が釈放されたのは犯人だという証拠を探す作戦で、かくし目付けに血のついた財布を焼くところを見つかった勘太郎は真犯人として御用となる。
    その上牢内で病死したとばかり思っていた彦兵衛も、大岡越前の配慮で無事に匿われていたことがわかり、一同は大喜びするのだった。

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    2011/04/23 13:49

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