満足度★★★★★
緋牡丹お龍と・・・江戸市井の人々と逢う!
夜公演・演舞場の入り口から直ぐ正面にある菊五郎のデスクへ伺うと、琥珀色した鼈甲のメガネをかけたお龍さんが桜色和服で凛と立っていて、恐縮しながらご挨拶。いつもは事務所のスタッフさんだけど・・・。一幕目・義太夫の演目【絵本太閤記】で秀吉をご主人菊五郎と許嫁・初菊を長男菊之助、二幕目・常盤津と長唄【男女道成寺】でも清姫を菊之助が演じているだけに楽日も近くなって客入りもイマイチで・・・。自粛ムードが高いことを感じながら観劇。三幕目では岡本綺堂作の「権三と助十」。十五代目羽左衛門によって大正十五年に初演された演目を三津五郎・松緑が演ずる。この芝居は江戸市井の人々の生き生きとした生活を描く世話物。
英語に堪能で海外の推理小説を耽読していた綺堂は、その知識を下敷きに江戸版推理小説として、江戸風俗考証のテキストづくりという意味あいもあって書いたらしい。芝居にでてくる「井戸替え」は、毎年七夕の季節に現在のライフライン水道・井戸を大掃除する意で、この芝居で江戸の庶民の生活を垣間見るような楽しさがあちこちにちりばめられています。
「権三と助十」は大岡裁きの謎解きをするという推理小説風のお芝居です。以下ネタバレで・・・