満足度★★★★
技のある元気な娯楽演劇
舞台はテレビドラマの撮影場所となるはずだった温泉旅館。脚本が盗作だとわかり撮影は中止、企画自体もおじゃんに。旅館の女将は街をあげての大イベントを継続させるべく、半日で新しい台本を書きあげると豪語します。ところがライバル旅館の女将が次々と邪魔をする上に、困った宿泊客の対応にも追われて・・・。
中央の和室とその奥の廊下、和室と客席との間の舞台面側の通路、上手の階段から2階の小さな部屋など、小さいながらも風通しよく区分けした空間全体が気持ちいいほどうまく使われていました。照明、音響も意図のはっきりとした効果があり、話の展開に集中しつつ、くったくなく笑える娯楽演劇でした。某テレビ番組のパロディーとしての面白さも洗練されていて、オリジナルのストーリーも枝葉まできちんと書き込まれているところに技を感じました。役者さんの堂々たるケレン味にも好感を持ちました。
作・演出の米山和仁さんが前説をされ、地震が起きた際の諸注意とともに、観客が安心して楽しい時間を過ごせるよう導いてくださいました。そういう心の準備ができたのが、私にとってはとても良かったです。公演意図と作品の内容がともなっていて、高い成果も出せている公演だと思います。