住み込みの女の観てきた!クチコミ一覧

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新しい祝日

新しい祝日

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/11/28 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

キウメの【新しい祝日】を観劇。

久しぶりの新作。

深夜遅くひとりで会社勤めるしているサラリーマンが煙草にライターで火をつけようとするのだが、なかなかつかない。何度もライターでカチカチしているのだが、それでもつかない。
そしてそのサラリーマンがカチカチした瞬間に異次元に入り込んでしまい、そのサラリーマンの前に現れたピエロと共にもう一度自分の実人生をやり直すのである。

我々観客への生きるとは?についてのメッセージを含んだ作品だ。
何時も周りに同調してしまい、己を捨てて、社会を優先してしまう我々の人生は果てして良いのか?という事が大まかなテーマである。
自分の心の声であるピエロと偽りの自分とが常に一緒に人生を歩んでいくのだが、心の声のピエロは何時も正しい導きをしていくのだが、自分は自身への背信行為ばかり犯してしまい、遂にその事にすら気がつかなくなってしまう怖さを描いている。
何時もに比べると世界観が小ぶりだが、小ぶりな分だけ観客の心は鷲づかみにされたようだ。

お勧め。
トロワグロ

トロワグロ

城山羊の会

ザ・スズナリ(東京都)

2014/11/29 (土) ~ 2014/12/09 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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城山羊の会の【トロワグロ】を観劇。

1年ぶりの新作。
これでかれこれ7本連続での観賞だ。

添島専務のホームパーティーでの顛末を描いたドラマ。
会社に出入りしている様々な業者たちは、建前上では倫理的に楽しく振舞っているのだが、その時だからこそ、女性に手を出そうとう輩は沢山いるのである。その中で異常に腕が綺麗な女性がいて、その彼女を巡って、男性たちとそれに嫉妬する女性のバトルが始まっていく。

何時も通りの微妙な空気感で描いていく手法は抜群だ。
特にのっけから男女の絶妙な距離感といやらしさ感がたまらなく、城山羊の会のファンとしては待ってました!という感じである。
そしてそこからの展開は何時も通りなのだが、今作は何時も通りの空気感のみしか描かれず、ややネタ切れ感を感じ取ってしまった。
作・演出の山内ケンジの良い所は、他人同士の距離感を適度に取りながら、ある瞬間に爆発していき、そこから先を観客に深読みさせる面白さが満載なのだが、今作に関しては、それが欠けていて、どうしたんだ?と言いたくなってしまった。ただただ空気感のみを誇大妄想的に描いていて、根幹の部分が欠けてしまったようだ。
前作、今作と共に不発感は否めないが、毎回新作を作っているのでしょうがないか?

初見の方にはお勧めだが、何度も観ているファンにはお勧めではない。
宇宙のこども

宇宙のこども

玉田企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/20 (木) ~ 2014/11/26 (水)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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玉田企画の【宇宙のこども】を観劇。

大学生の旅行先の旅館での顛末を描いた話。

温泉を浴びて、卒業後に実家に帰ってしまう友人のお別れ会を始めるのだが、やはり話題の焦点は、誰が好きか嫌いかの話題で終始盛り上がっていくのが玉田企画のパターンである。
概ね描くのが思春期の若者が多いのだが、その中で男性視点、女性視点をきっちり描き分けているのが良いところで、ほぼ恋愛問題しか描いてないのだが、恋愛問題の中だからこそ見えてくる、男性と女性の違いを浮き上がらせてくる辺りは上手いところだ。
巷では恋愛問題を扱っている女性誌、男性誌などが沢山出回っているが、玉田企画の芝居を観ていれば、その辺りの悩みは簡単に解消してくれそうだ。

お勧めである。


トーキョー・スラム・エンジェルス

トーキョー・スラム・エンジェルス

Théâtre des Annales

青山円形劇場(東京都)

2014/11/14 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

【トーキョー・スラム・エンジェルス】を観劇。

2020年の東京オリンピック後の疲弊した日本が舞台。

経済格差、老人問題などを抱えながら、国がそれに対して目をつむったままの末、貧富の差が極端に激しくなってしまった日本。
そんな最中、常に自分の尺度で生きようとする屋台のラーメン屋のオヤジ、未来に希望を持ちながら働く証券ウーマン、そして希望を失ってしまった若者たちの物語である。
何れ訪れるであろう東京オリンピック後の日本の惨めな姿を予想しながらも、どのようにすれば安定した経済、人間らしい生活を送れるかを経済を通して描いていて、様々な立場を通して見つめているので、今後の我々の生き方について考えさせてくれる芝居であった。
ラーメン屋のオヤジが吐く「俺は常に自分の物差しを持っていて、それを元に生きている!」という青草い人生論がたまらなく、観客を痺れさせ、虜にさせてくれるのだが、「それこそが間違いだ!」とそこに経済論で切り込んでいく証券ウーマンとの激論がたまらなく、実は議論に次ぐ議論こそが、今後の日本を変えていく最初の出発点ではないかと作家は語っているようだ。
メインテーマは経済なのだが、あくまでも切り込み口であって、日本が今後どのように進むべきかを一作家が提案している芝居であった。
別れても好きな人 2014

別れても好きな人 2014

劇団競泳水着

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/06 (木) ~ 2014/11/17 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

劇団競泳水着の【別れても好きな人】を観劇。

一組の夫婦の破綻から始まり、それにつながる妹、友人などの恋愛模様を現在、過去(10年前)、未来(10年後)に渡る恋物語。

恋愛ものの題材を多く扱う劇団で、作・演出が男性なのだが、それほど男性目線にはならずに描いているのが何時もながら良いところだ。
恋愛ものを扱う場合、女性作家が描くとエログロく、はしたない作品が多いのだが、その辺りは男性作家らしく、恋愛ものは常にロマンチックに、そして男は常に女々しく!を定石にしているようだ。
そして今作は、恋愛とは美しいもの、そして生きる糧になる!がテーマであったようだ。

何気に何時も目にしている俳優の村上誠基と亀田梨紗が非常に良い。
薄暮(haku-bo)

薄暮(haku-bo)

intro

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★

感想書けません
もう一度出直してこい!と叫びたい。

神ノ谷㐧二隧道

神ノ谷㐧二隧道

烏丸ストロークロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/25 (土) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★

ゾッとした
時代に翻弄された地方都市とその人々。
決して土着的にならず、伝説的にもならず、そしてサンプルのようにならず。
ちょっとした恐怖を味わえる作品だ。

半神

半神

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/10/24 (金) ~ 2014/10/31 (金)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
平田オリザの翌日は野田秀樹。

ネタバレBOX

野田秀樹の【半神】を観劇。

夢の遊眠社時代の戯曲を韓国人キャストにての再演である。

最近の野田秀樹にはあまり見られなくなった言葉遊び、瞬時の場面展開、現代と神話のおとぎ話、同時進行する複数の物語、激しい俳優の運動量など満載の舞台である。
初見の観客はかなり混乱するだろうが、それ以上に描かれている世界観には圧倒され、震えてしまう。
兎に角、見応えがあり、面白く、大満足である。
今ではなかなか観れなくなった初期の野田作品。
韓国人キャストだからだろうか?祭日なのに空席が目立っているようなので、チケットは簡単に取れそうだ。

今作はまさしくお勧めである。
暗愚小傳

暗愚小傳

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2014/10/17 (金) ~ 2014/10/27 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

平田オリザの【暗愚小傳】を観劇。

高村光太郎夫妻とそれを囲む友人達の話し。
今作は再演で、初演が1984年だ。

戦争と智恵子との夫婦生活、そして妻を失った夫の悲しみが元に描かれているのだが、物語自体はそこには持っていかず、変化のない日常に焦点を当てながら、突然に襲ってくる妻への悲しみ、高村光太郎の戦争批判に対する行為を描いている。
自身に起きた悲しい事、辛い事、嬉しい事などは日々の生活を過ごしていたら、それは生きている上ではほんの瞬間の出来事でしかなく、そんな中でも我々は生きていかなければならない。そして毎日の日常に追われていながら、ある時突然に喜怒哀楽の感情が湧きあがってくる、そんな人間の感情の一瞬の間を瞬間、瞬間で描いている作品である。

平田オリザが何故、西洋演劇とは相対する現代口語演劇という方法論に行きついたのか?
それは今作を観れば観るほど納得してしまうのである。
【東京ノート】を作った頃は、既に完成されていた方法論でもあるようだ。

傑作である。
アンドロイド版『変身』

アンドロイド版『変身』

青年団

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2014/10/09 (木) ~ 2014/10/13 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

平田オリザの【変身・アンドロイド版】を観劇。

原作はフランツ・カフカの【変身】で、ある朝、男が目覚めると虫になっていたという話だが、平田版では、2040年のある朝、男が目覚めるとロボットになっていたという設定だ。

出演はイレーヌ・ジャコブ他、全員フランス人俳優で固められている。
今作は実存主義に則って描かれており、その当時の主義がこれからの近未来において、ロボットとの実存とは?から発して、人間とロボットの共存について論議している芝居だ。
ただ芝居自体は決して堅苦しい作品ではなく、ある朝息子がロボットになってしまい、それにあたふたする家族の顛末が描かれている。
息子の外見はロボットになってはいるが、あくまでも外見だけで、記憶や心は息子のままなので、家族は意外とすんなり受け入れるという事が出来る。その家族の行動を見ていると、当然観客は己の身になりながら観るのだが、これから必ず起こりうる人間とロボットの共存という出来事は、実はそんなに頭を抱える問題ではなく、実存主義を通して考えていくと意外に答えは簡単である様な気がする。
それは己の感情を優先にしてこそ実存主義が存在しており、それによって他者などの存在を認める事が出来るとカフカが変身で言っているようであり、平田オリザが時代を超えて同じ様な説を唱えているようであった。

野田秀樹がイギリス人と芝居を作っている間に、平田オリザはフランス人と演劇を作っていたとは驚きだ。
平田オリザの提唱する現代口語演劇は、現代演劇をつまらなくしている張本人だとずっと思っていたが、平田オリザの芝居は野田秀樹同様、どれもが問題作でありながら、興味を掻き立てられる刺激的な演劇である事は間違いない。

傑作である。
ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2014/10/07 (火) ~ 2014/10/25 (土)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

蜷川幸雄の【ジュリアスシーザー】を観劇。

阿部寛がブルータス、吉田鋼太郎がキャシアス、藤原竜也がアントニーを演じている。

3人とも舞台慣れしているので、上手すぎて何も文句のつけようもないのだが、やっぱりシェイクスピアが書いた戯曲はどうにもこうにも面白くないというのが、観れば観るほど分かっていくようだ。
蜷川幸雄のダイナミズムな演出は迫力満点だし、今作で描こうとしている焦点も明確なのだが、やはり話しそのものに納得いかない箇所が結構ある。決して演出の問題ではないような気がする。
蜷川幸雄が同じような演出方法で作る清水邦夫の戯曲の場合はどれもが面白いし作品ばかりだし......、
やっぱりシェイクスピアはもういいや!という感じである。

シーザーがブルータスに言う名セリフ
「ブルータス、お前もか!」はブルータスの心情表現が上手くなければ成立しないセリフなのだと今作で始めて気がついて次第だ。

舞台においての藤原竜也は一体どこまで上手くなっていくのだ?と疑問符を投げてしまうほど一段と良くなっている。
どこをみている

どこをみている

オイスターズ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

オイスターズの【どこをみている】を観劇。

労働環境の悪さに仕事を辞めた男1と男2。
家に帰ろうとする男1に何かと理由をつけて側を離れない男2。
男1が男2を追い払おうと軽く嘘をつくのだが、それを難なくかわされてしまい更についてくる男2。
また男1が更に嘘をつくのだが、それもかわされてしまい後を付いてくる男2。
そしてそれからも嘘を付き続けるのだが、それも毎回簡単にかわされてしまい、離れない男2。
そんな離れられない男1と男2の不条理な話。

圧倒的な量の台詞劇であり、名古屋市内を延々と徘徊する二人の男のロードムービー的な芝居であった。
軽い嘘が大きな嘘になり、それを毎回いとも簡単にかわしていくという設定が非常に面白く、歴史に残る傑作芝居【あの大鴉、さえも】のエッセンスをたっぷり含みながら、延々と終わらない会話劇という感じだ。
兎に角、会話の内容、お互いのリアクションと二人芝居の良い処を徹底的に取り入れた演劇という感じであった。
今の時代には決して万人受けしない芝居ではあると思うが、あの竹内銃一郎の後継者がここにいた!という発見があっという事は間違いない。

傑作である。

アリはフリスクを食べない

アリはフリスクを食べない

青年団若手自主企画 伊藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

アリはフリスクを食べないを観劇。

障害者を持つ家族話しなのだが、どうみてもこの作家は、今作では作品において決着をつけてない?つけられなかった?ようだった。
家族と友人、職場の同僚などのひと悶着後のあの終わり方はないだろう。
じゃ、何故この題材を取り上げたんだ?と文句も言いたくなるが、その観客の怒りこそが今作の狙いであり、障害者を持つ家族の苦しさなんです!
何て言ったら許せんな。
もしそれなら構成そのものが間違っている。

でも90分間見入ってしまったのは間違いない作品だった。
騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

革命アイドル暴走ちゃん

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

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革命アイドル暴走ちゃんの【騒音と闇】を観劇。

何だこりゃ?
という感じだが、この団体は数年前にバナナ学園純情乙女組という名で一世を風靡した劇団である。
内容はライブ公演という形を取りながら、50人という俳優陣が歌や踊りを披露しつつ、世間の不正や不満をぶちまけていく内容である。
そしてある公演中、嫌がるお客を無理やり舞台に連れだし、そのお客がネットでつぶやいた瞬間、あっという間に世間に炎上してしまい、責任追求という形で解散に追い込まれてしまったようだ。
自らが行って内容で、墓穴を掘ったようだ。
そしてその数年後、劇団は名前を変えて再出発したというところである。

劇団名を変えたとはいえ、演目は以前と変わらずで、俳優陣の暴走具合は衰えず、熱量は半端ない。
ただ以前ほどの大量の俳優陣が出演していないの寂しいところか?
でも初見の観客は、度肝が抜かれるのは間違いナシ!
雨合羽を着用しても、洋服、靴が濡れるのは間違いないので、お勧めではない。
コンタクト

コンタクト

水素74%

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了

満足度★★

まぁまぁ
今作は、ちょっと玉田企画を観ている感じがして期待外れかな。
まぁ、それだけ毎作の期待値が高いというところかな。

背信

背信

葛河思潮社

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★

アル中の妄想か
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ハロルドピンターの【背信】を観劇。

演出は長塚圭史。

出版社社長(長塚圭史)、編集者(田中哲司)、画廊のオーナー(松雪泰子)の3人のみの登場人物だ。

長塚圭史と田中哲司は長年の親友であり、長塚圭史と松雪泰子は夫婦である。そして松雪泰子と田中哲司の長年の不倫関係の終えんから話しは始まり、そして二人の初々しい出会いの頃に戻りながら展開していくのである。
ここで描かれる夫婦は、既に不倫を容認していながら生活を送っている家庭が描かれている。
そこでの男女は決して取り乱さず、冷静に立場をわきまえていながら、互いに憎んだり罵ったりはせずにいる事が、何とも腑に落ちないというところだ。宗教観の違いか?価値観の違いか?などと勘ぐってみるのだが、それでは全くないようだ。妻や夫が背信行為をしている事に対して、夫婦自らが互いの問題点を言及せずに、それがあたかもこれこそが正しいイギリス人の夫婦生活の在り方であり、他人同士が長い期間に渡って一緒に生活する方法であるという奇妙な考えに浸っていて、それは己に対して正しいな感情ではない、まさしく自分自身に嘘をついている、それこそがタイトルの背信だと言っているような気がしてならない。他人に対する背信を匂わせておきながら、実は自分自身に対して背信しているという事が今作のタイトルの意味であり、テーマではなかろうか?
この解釈が正しいかどうか分からないが、ハロルドピンターを理解するにはこういう事かもしれない。
背景にベルディーのオテロが流れていたり、長塚圭史と田中哲司の芝居は、常に一面の部分しか見せないのに対して、唯一、松雪泰子のみが状況に応じて、いろいろな表情を作ってきている事が、長塚圭史がハロルドピンターの戯曲のテーマに対してのアンチテーゼではないかと思う。

現在の最高の舞台女優の大竹しのぶ、宮沢りえ、松たか子は、常に戯曲を頭脳ではなく、肉体で解釈する(特権的肉体論)の演技法だが、
松雪泰子は頭脳で解釈して、そして頭脳で演じる。その後に身体が付いてくるという変わった演技法だ。
それはアクション満載の劇団・新感線で演じていた時もそうだった。
多分、彼女の中ではベストな芝居かもしれない。
(因みに個人的には、松雪泰子の事は全く知りません)

観劇後は煙に巻かれた感はあるかもしれないが、少しだけお勧め。
デジタル

デジタル

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

うさぎストライプの【デジタル】を観劇。

常に誰もが他者と心と身体のつながりを望みながらも、自分の現在の位置、社会の現状などを踏まえるとそれは難しい事ではあるけれど、その部分を大切にしようとしている人達の話し。

言葉と身体は同じ様に呼吸するという事を最初のテーマにして、その後に徐々に登場人物達が生まれてきたような感じすらした。
物語らしいものはないかもしれなが、人との関係性をリズムと皮膚感覚で感じられる芝居であった。
何時もながら分かりずらい内容だが、今作でやっと作・演出の大池容子のやろうとしている事が少しだけ分かったようだ。

女優の李そじんは、何時観ても良いのである。
瀕死の王さま

瀕死の王さま

札幌座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★

ネタばれ
ネタばれ

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王様の残りの人生が僅か1時間ちょっと。
決して悲観的にならず、コメディ調に展開していたのが救いかな。
特別に際立った箇所がなかったの残念。
止まらない子供たちが轢かれてゆく

止まらない子供たちが轢かれてゆく

Cui?

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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Cui?(キュイ)の【止まらない子供たちが轢かれてゆく】を観劇。

小学校のいじめ問題、先生による体罰などで生じる親の過剰反応をよそに、子供達は自分達の社会があるが如く、大人との対立をものともせずに恒例行事の学級裁判を行っていく。

え、小学生たちがそんな事をするのかい?これは宮部みゆきの【ソロモンの偽装】だな?と思うかも知れないが、それとは全くで別で、成長過程の子供たちの未熟な視点には成らずに、一個人の視点として描いている点が興味深いところだ。
それに今作は学級裁判を物語のクライマックスに持っていかずに、
いじめをする側とされる側、親の視点、教育者側の視点などを描きつつ、大人と子供が対等に罵倒し、罵りあって、事の過程を暴露していく辺りが非常に面白い。
そして今作の最大の長所は、台詞回しが口語ではなく、一言一言が独立している辺りが戯曲の良さを際立たせている。まるで唐十郎、つかこうへいを想起させるようだ。
でも口語演劇に慣れしたしんでいる観客にはちょっと違和感があるかも。

妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

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劇団うりんこの【妥協点P】を観劇。
作・演出は【ままごと】の柴幸男。
高校の文化祭で催す演劇で、戯曲を書いた高校生に先生達が内容について訂正を求めていく先生VS生徒の戦いの様な物語。
すったもんだの挙句、皆の妥協点を掏り合わせていった結果は、最初に戻っていくという展開にはどうしても腑に落ちないのだが、それよりもそこまでに至る先生の言葉による攻撃、生徒の文章による反撃という武器を違えども、妥協というP点に向かっていく道筋は、観客をも険しさを感じさせるほどであった。

只今公演中の作・演出の柴幸男【わたしの星】とは全くの別の作風だ。

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