ガンバの観てきた!クチコミ一覧

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テディベア・シンドローム(満員御礼!ご来場ありがとうございました!)

テディベア・シンドローム(満員御礼!ご来場ありがとうございました!)

劇団MAHOROBA+α

荻窪小劇場(東京都)

2012/03/16 (金) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

集中して観劇出来るクオリティの高さ。
なんと荻窪小劇場(旧アールコリン)に行くのは実に14年ぶりでした。
当時の記憶もあいまいなのですが、それと比較しても明らかに立派で綺麗な劇場になっていたことにビックリです。


さて、肝心の中身なのですが。
シンプルでいて非常に見栄えのする舞台セットは雰囲気があって格好いい。
そしてこの規模の劇場では異例とも思えるような沢山の灯体、それらの織り成す幻想的な照明。
誰一人として見劣りすることのない、演技力の有る出演陣。
それらの織り成す物語は、こちらの劇団の過去公演同様、非常に上手い構成の洗練されたもので、90分程の上演時間を常に集中力を保って観ていられるクオリティの高いものでした。

脚本家の見地から特に物語について言及しますと、前作で多用していた言葉遊びの類が今回はぐんと減っていたのが好印象でした。
確かに面白い要素ではあるのですが、前作ではあまりに多く、やや食傷気味でもあったのが、本作はそれを排除したことで、より素直に物語にのめり込むことが出来ました。


ネタバレBOX

しかし全てが全て手放しでよかったかと言うとそうでもなく、特に演出面に首を傾げるところが見受けられたのが残念でした。

主に物語は“牢獄の中”で展開して行くのですが、この牢獄の表現が雑に感じるのです。
一体どこまでが牢獄なのか、今、牢獄の中には誰が入っているのか。
司祭の娘は牢獄の中にいるのかいないのか。(いるのならば何故、どのような方法で牢獄に入ったのか)
二人いる囚人は最初同じ空間にいるように見えたのが後半では別々の牢の中のような描かれ方をしている。
男の拳がとなりの牢に侵入した看守に届いてしまうのはどういう仕組みなのか。
折角抽象的ながらも舞台セットが牢獄という狭い空間を上手く表現しているのに、出演者の手足がその壁を実に容易くつきぬけてしまったり。

何か、抽象的な舞台を通して観客にイメージさせる空間というのが、シーンごとに異なっているようにも感じとれてしまいました。
もしそのような狙いだとすれば、観る側にとっては少し不親切なのではないかなとも思います。



と、辛辣なことも書きましたがそれも期待値に高さ故。
個人的には過去の短編集の方が物語りの伏線回収の見事さなどの点で好みなのですが、それでも同劇団の新しい側面を観られた気がしてとてもよかったです。
次回作にも大いに期待しております!!





【観たい】【観て来た】の評価基準に関しては下記リンクの通りです。
http://bit.ly/x4ceZG



お月さまへようこそ

お月さまへようこそ

演劇集団若人

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2011/12/22 (木) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★

個々の演技力で魅せるコメディ。
コメディと銘打っている作品は数多くあります。
ただ、テキストの面白みからくる笑いを提供する作品というのはあまり多くないように感じます。
そういった意味で本作は“テキストの持つ面白味”を存分に楽しめる作品でした。
テキストの面白味……とはいっても、それを観客に伝えるには役者個人個人の確固たる力量が必要になるもの。
これが上手くいっていない劇団・公演というのも少なくないように思いますが、そこを行くと若人は役者個々人の力量が皆高い水準にあり、テキストの面白さを丁寧かつ大胆に客席へと届けてくれていました。
非常に楽しめる公演だったと思います。

NINE

NINE

Seiren Musical Project

六行会ホール(東京都)

2011/12/24 (土) ~ 2011/12/27 (火)公演終了

満足度★★★★

迫力満点!
期待していた通りの高水準のクオリティの舞台を楽しむことが出来ました。
何よりもキャストの歌唱力に圧巻。
マイクは使っているようでしたが、それを差し引いても十二分に“迫力”を感じ取れる力強い歌声でした。
そしてその歌声を彩る楽曲はなんと……生演奏!!

なんとも贅沢かつ本格的な一作でした。




流星ワゴン

流星ワゴン

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2011/12/03 (土) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

涙が止まらないのが悔しい。
原作モノの舞台化に関しては右に出る劇団はいないと思っているキャラメルボックス。
2011年を締めくくるは重松清さんの大ヒット作『流星ワゴン』の舞台化!
これまでの原作付のキャラメルボックス作品は大抵は原作を既読で劇場に行っていたのですが、恥ずかしながら今回は未読。
ですので原作との相違点などは分からないですが、その分新鮮な気持ちで観劇が出来ました。

ネタバレBOX

まず構成の上手さに“ヤラレた”と思いました。
小説の舞台化となると“地の文”をどのように表現するかというのが一つの大きなハードルだと思います。
これまでのキャラメルボックスの原作付作品では、巧妙な独白などでそれを実に上手く表現していたのですが、今回はそれとはまた別の形。
物語の登場人物とは別に“読者”を登場人物として登場させることで、読者と人物のやりとりによって実に巧みに物語を進めていくという手法。
自分も脚本を嗜んでいる身として、心底“ヤラレた”と思いました。
これは実に合理的かつ感情の流れを損なわずに最大限に原作の情報量を舞台に乗せる手法だと思います。
自分もいつかやってみようか(笑)

さて、本編に関してですが、恐らく観劇する側の性別・年齢によって随分と感じ方が違うのではないかなと思いました。
物語のキーになる3人の“38歳男性”
3人はそれぞれに環境こそ全くことなるものの家庭を持ち子供を持つ身。
その3人の物語を誰一人として損なうことなくしっかりと描き上げている。

私は家庭こそ持たないものの30代の男性という点では大いに共通点もあり、気がつけばこれまでにないほどに物語に感情移入して観劇をしていました。

正直な話を言いますと、これまで観劇をしてきた中で一番涙を流した作品だと思います。

目の前がかすれるから泣きたくないのに涙が止まらないくて悔しい。


余談ではありますが、近くに座っているお客さんはすすり泣くを通り越して“ヒックヒック”と声をだして泣いておられました。
こんなのも観劇をしていて初めての経験。

年末に実に気持ちのいい、頑張ろうと心から思える作品に出逢えたことを本当に嬉しく思います。










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