みゃあの観てきた!クチコミ一覧

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狼少年ニ星屑ヲ 総動員数773人!

狼少年ニ星屑ヲ 総動員数773人!

おぼんろ

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/10/19 (水) ~ 2011/10/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

末原氏が掲げる普遍的テーマが作品いっぱいに溢れていた
前回の「ハッピー!」ではじめておぼんろ作品を拝見して、我々みんなが「幸せになりたいと願うこと」、「愛したり愛されたりすることを心から求めること」を、正面切って肯定してくれる作品テーマと強いメッセージ性に強く惹かれたのだが、そのメッセージは今回の作品にも目いっぱいこめられていた。前回よりも広々とした空間で、天井から下がるランプのような照明に燈された異国風のセットや、美しい音楽、どこの国か分からない凝った衣装がとてもファンタジックで心地よかった。
 ひとつだけ言わせていただくなら、「借金地獄を経験した貧乏劇団」であるのなら、ワンドリンク制にする必要はないと思う。その分、チケットの額面を少なくした方が、足を運んでくれる人がより増えるのではないかと。チケット代で敷居を高くしてしまったら、観に行ける人が減ってしまって、語り継がれる物語への道のりが遠くなってしまう!大丈夫、あのムードなら、お客は各々勝手にバーカウンターに向かうだろうから(笑)。
 それにしても、相変わらず「キミ、明らかに作品観てないで批判してるだろ?」って突っ込みたくなるコメントが目につくのだが・・・。まあ、プチ有名税ってところかな。厳しいコメントであってもほとんどは皆さんからの愛あるアドバイスだと思うので、惑わされずにこれからも頑張れ!

ネタバレBOX

同じように「キンキラキンのラブ」を求めていたはずなのに、全く違った道をゆくことになった3人の少年の哀切な物語。嘘つきの代名詞のように使われる「狼少年」だけれども、3人がそれぞれ違った形で狼少年であると同時に、あの老婆もまた優しい嘘をついていたのではないかとさえ思えてしまう、哀しいけれどとても素敵なラストだった。リョウイチがなぜ変わり果ててしまったのか、リンペイは何に気づいてあの生き方を選んだのか、タクマが最後に得たものは何だったのか。愛を求めることと与えること、どちらをないがしろにしても、「キンキラキンのラブ」は完成しないのだろう。
 次回作も応援しています。
ハッピー!!―夢ヲ見ルマデハ眠レヌ森ノ惨メナ神様―

ハッピー!!―夢ヲ見ルマデハ眠レヌ森ノ惨メナ神様―

おぼんろ

GALLERY LE DECO 1F(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/05 (木)公演終了

満足度★★★★★

もっと色々たくさん観せて!と言いたい
まず、蚕をモチーフにここまでの世界観を創り上げるアイデア力に脱帽。子供に蚕を飼育させる小学校は多いと思うけど、あのぼてっとして飛べない成虫を見て、その意味を考えたことのある人間は、自分を含めてそうはいないだろう。
全ての登場人物が、それぞれ「そうせざるを得ない」故にとる行動は、悲しく激しく、時には残酷きわまりなく見えても、特に、終盤で判明する「真相」は、悲劇を通りすぎてグロテスクでさえあるけれど、とてもひたむきで優しい。個人的には「神官」に惹かれた。先祖の偉業の恩恵に預かって身分社会の際頂点に立ち、サディスティックな差別主義者だけれども、どの登場人物よりも淋しい。その彼にさえ、彼なりの「ハッピー」を用意する末原拓馬さんの創り手としての温かさに胸を打たれた。そして、すべての登場人物に感情移入ができてしまうほど、キャストが全員、個性的で魅力的で、すばらしかった!末原さんが生み出した人物達の持つ「もの哀しさ」のようなものを、役者さん達がそれぞれの立場から深く追求していった結果なのでしょうね。
 ひとつだけ苦言を呈するとすれば、セリフの量などもう少し削ぎ落とすことができれば、より物語の真髄というか骨格が分かりやすくなるかと。
 今回のようなギャラリースペースでの観客巻き込み型の演出も臨場感があって素敵な体験だったが、これだけ美しい世界を創り出せるメンバーなのだから、今度はぜひ、オーソドックスな劇場でも上演してほしい。コクーンを目指すことについて何故か批判の向きもあるようだが(1人だけだけど)、この目標は、大いに結構だと思う。彼らなら、路上でもギャラリーでも小劇場でもコクーンでも、のびのびとこのオリジナルな世界を創りだして、我々を魅了してくれるだけの成長を遂げてくれるだろうし、そうなった後でも、末原さんが今日のスタンスに立ち返ることを忘れることはないと思うからだ。

ネタバレBOX

 終盤でタクが叫ぶ、「ハッピーになりたいよー」という台詞。そう、ふだん声を大にして叫ぶことはまずないけれど、不景気で就職難で失業率が上がって大震災が起きて原発がピンチになるようなこの世の中でも、我々はみんなハッピーになりたいのだ。何となく自分のハッピーを追及することが不謹慎にさえ思われてしまう今の日本において、こんなにストレートにみんなの気持ちを代弁してくれたタクに感謝。

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