セントの観てきた!クチコミ一覧

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プレゼント・ラフター

プレゼント・ラフター

ポータブル・シアター

ABCホール (大阪府)

2024/02/23 (金) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関西では珍しい翻訳物コメディ。登場人物も多く、女優はみな美しく、衣装も凝っていて、見て楽しいまさに本格のイギリス演劇の粋をなしている。

これが休憩を挟んで3時間。贅沢な時間である。長丁場感はまったくないほど、話が次へ次へと追いかけてくる。こんな楽しい艶笑喜劇は日本ではあまり上演しなかった気もする。日本とイギリスでは男女間、特に夫婦の絆感はかなり温度差があるのだろうが、さらりと仕上げているので劇としての高揚感が強い。

俳優陣はこの長いセリフ、合間のあうんの呼吸をうまく演じていた。特に女優さんたちが皆驚くほどきれいで映えている。要のところを秘書役の山本がしっかり受け止める。ジョアンナのぞっとするほどの艶めかしさ。別居中の妻中井の凛とした美しさ。この演劇は女優を見る劇なのだろうか、、。

アッと気づくと3時間が過ぎる。充実した休日を過ごし、至福の気持ちで劇場を出る。外は2月の寒風が吹きまわっていたが、気にしなかった。

川にはとうぜんはしがある

川にはとうぜんはしがある

ばぶれるりぐる

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台は左右に土間の設定。左側は1段、右側の方が2段で高さの違いがある。土間をつなぐものはないが、スニーカーやらすのこで渡ることができる。題名といい、もうこの演劇のテーマはすぐに見えてくる。

村社会での出来事の積み重ね。都会から帰ってきた次女(といっても随分大人)。長女と娘、入り婿でおとなしくさせられている夫、闖入青年の話である。

日常の積み重ねのような展開が続くが、どこの家庭でも起こっていることが再現される。母親と娘、姉妹この関係が執拗に描かれるが、不思議とこの演劇では男の香りが無風である。作者が女性だからか、かなりウェットな繊細なセリフが飛び交う。

娘がフィリピンのコールセンターに働きに行くというところで、はっととこれは寓話なんだと気づく。そうすると全体の構成も明確にわかってくる。

いい芝居だね。観客はそれぞれ自分に戻り、劇場を出てゆく、、。

おしてるや ~君を想ふ~

おしてるや ~君を想ふ~

真紅組

道頓堀ZAZA HOUSE(大阪府)

2024/01/19 (金) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

珍しや近世になる直前、豊臣氏の滅亡後の大坂のエネルギッシュな人々を描いた痛快および人情芝居です。登場人物が多く、しかもそれぞれ性格付けがきっちりしているのでわかりやすい。ど~~ンと、舞台の目の前に堀があり、それが最後まで隠したキーワードになります。

俳優陣は老いも若きもみんなセリフもトチリがなく、練習十分。狭い舞台だが、全員飛び跳ねている。観客へのサービス絶大の演劇集団と見た。素晴らしい!

実演鑑賞

満足度★★★★★

この演劇、かなり難しく、まともにセリフを聞いていても何が何だかわからない。おそらく作者の脳裏の想念がそのまま舞台に飛び出したような、ある意味厄介な演劇なのだが、これがまた若い俳優たちにやらせれば、とんでもなく面白くなる見本ではないか、と思う。

2時間弱の劇でセリフ量も多い。俳優たちは1回のとちりもなく、しかも水を得た魚のようにすいすいとこの難しい観念劇を泳いでいる。この若さでこの劇が理解できるというのも大した才能を持っていると言えるだろう。

いやあ、面白かった。おそらく僕には2回見ても決して理解できないだろう難解劇なので、その舞台の雰囲気、想念だけはきっちりとキャッチできたように思う。

覇王樹座、こんなに秀逸な劇団だったとは、、。恐れ入りました。

Much UP

Much UP

劇団1mg

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/12/15 (金) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1mgにしては珍しく、いたってシンプルな、また身の丈十分な青春の輝き十分な、みんなが一つの方向を見つめているその時を切り取り、人生を感じ始める素晴らしいひと時を舞台に輝かせてくれた。

それぞれ人生を経ても、いつでも人間はその輝ける時に戻る時ができる。いい演劇だったなあ、、。

皇帝X

皇帝X

ももちの世界

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/12/07 (木) ~ 2023/12/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ユニークで才気煥発、関西でも常に注目を集める劇団の新作です。今回はなんと日本の戦後政治史を辿る一応コメディです。

一応というのは、あまり笑いが取れなかったからなんですが、でもこの現在の政治状況までを俯瞰し、思い切りひねくれさせ、かなり現実を揶揄させた描き様はやはりシリアスとは言えず、コメディなんでしょうな。

その吹っ切れた感覚が全編を多い、いかにも面白い。映画もかなりお好きなんでしょうか、その造詣ぶりにも好感が持てます。

四T ~桜梅桃李~

四T ~桜梅桃李~

虚空旅団

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2023/10/27 (金) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いつも思うが、高橋恵さんの演劇で今までつまらないと思ったことが一度もない。それどころか、いつも演劇の深部に触れた感を持ち、また演劇に通うことになるのだ。

今回は、その中でも完成度の高い演劇をこれぞと見せつけてくれた。2時間の劇だが、冒頭から俳優陣が役を100%理解できているかのように、はまっている。自信がみなぎっているからなのだろう。それが観客席に伝わっている。

4人の女流俳人のそれぞれの人生、それを俳句に託し、彼女たちの生きざまを投影させている。彼女たちの俳句を映像で見せてくれたのがとてもよかった。瞬時に文学観賞をした感じになって、いつもと違う演劇感が出てくる。

今年最大の収穫作だ。今のところ2023年の演劇ベスト1である。こういう日は嬉しいに尽きる。

ReLIVING(リリビング)

ReLIVING(リリビング)

中野劇団

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/09/16 (土) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇団20周年ですか。早いもんです。今回の劇、シチュエーションがずば抜けて面白いので、冒頭からもう劇場内は爆笑の渦。
達者な役者さんたちの演技も相まって、それは舞台と観客が一体化した素晴らしい空間が出来ていたように思う。これって、演劇の醍醐味ですよね。この劇団の実力が現れたと思います。
でも、時間軸の異変で同じマンションに住んでいた8人の住人が一度に邂逅するなんて、面白いことを考え付いたもんです。
で、最後にこれをどう収束させるかがポイントなんだが、ちょっとその辺りはスムーズでなかった感もあるかな?
でも、いい演劇でした。恐らく、稽古が十分だったから、こんな面白い演劇を提供出来たんだなあと思う。
中野劇団さん、20周年おめでとう!そのままあと20年頑張ってください。

うそつき

うそつき

劇団六風館

大阪大学(豊中キャンパス)(大阪府)

2023/09/15 (金) ~ 2023/09/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関西学生演劇界を牽引しているのではないか、なんて勝手に思っている六風館の4人劇だ。戦争中なのになぜかのんびりした居間での会話劇が中心である。
とか思っていたら、人工人間とか様々な現代ツールがちらりと見える。話もせっぱづまったり、けんかになったり、そりゃあ面白い芝居です。
そしてラストにかけて、着地点に収束したと思ったら、そのまたどんでん返し。実に面白い劇でした。脚本が素晴らしい。
2時間近い劇で、セリフ量が半端でない。俳優にとって、特に学生にとっては、重い負担になったろう。ところどころ不安めいた部分もあったが、でも頑張った。拍手を送ろう。
出来たら、戦争の恐怖なんかを映像で垣間見せてくれたら、現代の狂気感ももっとあぶり出せたのではないか、と思いました。

MARIONNETTE(大阪公演)

MARIONNETTE(大阪公演)

劇団The Timeless Letter

ABCホール (大阪府)

2023/08/26 (土) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回はパフォーマンスの集団ダンスがとても優雅でしかも恐ろしげなる感じがとてもいい。白眉だ。照明も斬新。こんな手があったんだとほくそ笑む。
主役の川田氏は今回はロンドン警視庁警部役。前回は悪の権化役でかなり演技に凝ってたが、今回は素直で余裕のある演技で素晴らしい。主役が変わることでこうも演劇が変わる。演劇って怖いなあと思う。あと、ローズ役の女優が限りなく美しい。見とれました。
という事でとてもいい一日となりました。

言い訳のカフネ

言い訳のカフネ

創造Street

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2023/02/24 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かなりユニークな展開でストーリー的に魅せる。そして深まる謎もそのうちSF的モードに突入。1000年後の世界に移住する魅惑とは何か、個人的にも自問したりして、そしてラストへ。

そこで僕たちが見たものは意外なもので、作者のストーリーテラーたるところを垣間見る。やはり演劇は自分の世界をはぐくみ、爆発させるもの。その王道は行ってます。

面白かったです。

たこ焼きの岸本

たこ焼きの岸本

関西芸術座

ABCホール (大阪府)

2023/01/13 (金) ~ 2023/01/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

美味しいタコ焼きの店を守っている女性のもとに10年ぶりに息子が帰ってくる。そして孫まで連れて、、。と、話の芯はきっちりと通っているので、演劇的にも十分鑑賞に値する脚本である。

こんな、気楽な感じで生きて生きていけたらいいなあと思うのは私だけであろうか。いい舞台でした。

継ぐ者【3日夜回~4日公演中止】

継ぐ者【3日夜回~4日公演中止】

和太鼓GIG

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇に、和太鼓、バレエなど多彩なパーツをフルに駆使し作り上げた芸術品であります。ストーリーもファンタジック、ミステリーでもあり実に楽しい2時間でした。

演劇の可能性を追求したその野心に拍手。2時間はあっという間でした。これだけ輻輳した構成の演劇なのに、練習たっぷりなのか、俳優陣の演技は無駄が全くなく、完成感も感じられ充実していました。いい演劇日和でした。

パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2022/11/04 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

珍しいカナダが舞台の演劇だ。時は第2次大戦末期。残された女たちの戦争の実態が鮮明に描かれる。

今のウクライナ情勢を見るにつけ、どこの世界も戦争が起こっていたらあり得る話だ。女性だけの話だから、男性たる私が聞いていて、前半は少々退屈気味。それでもけっこう美人ぞろいの女優さんたちの演技がすごい。見ていて怖いぐらい。

後半になって、それぞれ人の女性たちの苦悩が浮き彫りにされていく過程は圧巻であった。そしてラストの題名通りのパレード。今までの女たちの感情を吐露してもうすごい。喜び、悲しみがごった返している、、。

あゐ ばさみ

あゐ ばさみ

劇団光合聲

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/01/08 (土) ~ 2022/01/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

珍しく、マンションでの二人の死体から始まるミステリーを加味した愛憎劇。楽しめました。開場すると舞台に二人の死体が。それを観客は眺める。そして劇は始まる、、。
二人の親子と時計屋の男性との三角関係をテーマに、重苦しいけれど複雑で繊細な愛の姿が醸し出される。それと並行してこの事件をスクープして、真の人生の姿を知ろうとする記者の懊悩が描写される。
私としてはこの三角関係はよく理解できた。そういうこともあるわいと、彼らの心情のさざなみを想う。よくできた脚本だ。ただ、一方、記者の苦悩がそれほど伝わってこない。愛の分析だけでは物語としては不足していると思ったのかもしれないが、どうなんだろう、、。
途中、母親の別の恋人との諍いで冒頭の殺人光景を勘違いさせる取り組みなど、ミステリー的にもはっとさせるなかなか秀逸な脚本に拍手をしたい。
後、照明がイエローを主体としたものなのだが、最後まで少々暗く、もうちょっと明るくして俳優たちの顔の表情をよく見たかった感もあります。
この劇団はずっと見てますが、なかなかイケマスよ。今日もルンルンです。

The Merchant of ZIPANG

The Merchant of ZIPANG

劇団五期会

ABCホール (大阪府)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関西の名劇団。劇団員数も多く、いつも力作を届けてくれる。そして今回は、、。

シェイクスピアのあの有名な「ベニスの商人」の日本版。といっても、そこは五期会、かなりアレンジしたコメディ劇にしつらえた。何といっても、中世の時代に物部氏と蘇我氏の葛藤が設定されているのでユニーク。脚本も超長場だが最後まで丁寧な進み方で飽きない。本当に面白かった!

俳優陣もみんなカッコよく、舞台で見栄えする。今回は特に衣装が素晴らしく、見ているだけで楽しい。

こういう演劇の基本を土台に、常に演劇を追及している劇団は大阪でも稀有な存在である。次回も期待する。

書く女

書く女

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2021/06/18 (金) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

樋口一葉の伝記ものだが、想像をはるかに超えて明るくキュート。じめじめしたところが全然ない。恋にも恵まれず、生活は貧しく、それでも書き続ける一葉。24歳でこの世を去るが、現代から考えるとホント大人ですね。

そんな一人の女性の生きざまをダイナミックな演出と粋のいい俳優陣で見せてくれる観客にとっても至福の時です。主役の一葉は断トツの出来だが、妹役の人が後々印象に残ります。

小さな狭い舞台も工夫していろいろ見せてくれます。愛情がこもってますね。秀作!

判で押したような

判で押したような

劇団さんばれんてぃーの

STAGE+PLUS(大阪府)

2020/02/29 (土) ~ 2020/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

Sstageplusに急な会場変更したのに、その影響も感じさせないステキで優しく、それでいてかなり鋭くイタイ作品です。

何気ない学校の事務所シーンに何故かいる判人形さん。これがキーだったんだね。若い人でないと思い浮かばない小道具や設定が観客をくすぐる。

だんだん深刻になってくる過程も見事で、この劇団が演劇そのものを知っている。素晴らしい出来です。

フライングチェック

フライングチェック

第2劇場

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2020/02/28 (金) ~ 2020/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

シリアスな演劇をやったり、コミカルなものも取り入れたり、バライティに富む実力劇団である。好きな劇団だ。

そして今日はコミカルで、ひょうきんで、途中ではダンスもあるエンタメ劇なんだが、そこは第2劇場、軽そうに見えさせて、実は真空の人たちを描く。

ペースにつられて軽くストーリーは流れてゆくが、主人公たちの行動の意味は結局不毛・不条理と化す。不思議な演劇。いつもこういう演劇マジックで、ポカ~ンと劇場を後にする。大人の劇団である。

ハルカのすべて

ハルカのすべて

ももちの世界

神戸アートビレッジセンター(兵庫県)

2020/02/07 (金) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

ももちでは2作目。前作はラスト少々分からず、今回逆に期待を持って観ることに。

会場の広さ、俳優陣の多彩、映画へのオマージュ、音響の俳優によるアカペラ化(これがかなり効果を上げる)、そして何より地底人3号の脳内イメージの拡散という大胆なテーマ手法がぐんぐん我々観客の心をわしづかみにする。

もう圧倒的で、映画好きの吾輩はそこにフェリーニの8・2/1からはじまる映画の諸作品を感得し、俳優で揺れ動くモンタージュとしてしかと確認した。

今でも僕の脳内はこの作品の音楽が明瞭に流れており、演劇のもたらす可能性を強く感じることとなる。地底人3号の脳内と観客とは一体化し、素晴らしい世界を構築した。演劇を見ていてよかった。ほんとそう思える。地底人3号に感謝!

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