満足度★★★★
スペース会話劇
文化庁演劇大賞を受賞した鈴江俊郎さんの戯曲を使用していることもあり、言葉の力は強く感じました。
会話劇でありながら2時間のあいだ集中力を途切れさせない、演出と役者の力でしょう。よかったです。
いくつか気になった点を、ネタばれで。
ネタバレBOX
もともとの戯曲にあるのかどうかはわかりませんが、パイロット役の方のアドリブ?(ラピュタネタ)が若干クドかった気がします。
ウケてはいたものの、ちょっと長かったかな。
また、これは元からそういう話なのでしょうが、登場人物の行動に腑に落ちない点もいくつかありました。
船長は最後なぜ、燃料を捨てたのか? 無理心中?
また、そんなことされたら誰かひとりくらいはパニックになって暴れ出しそうなもんじゃないか?
三姉妹はまだしも、その弟に関しては存在意義が今ひとつ不明確じゃないか? 「花を育てている」という役割は、三女に兼務させることもできたのでは。
とまあ、気になるところもありましたが、2時間楽しめました。
見たのが初日だったせいか、若干台詞が固かったり言い間違えたりしている方も見受けられましたが、キャストはおおむね好印象でした。
次回も楽しみにしています。
満足度★★★
テーマが良かった。
脚本を通して描きたいテーマはとても良かったと思います。
ただ、狂言回し的存在の「何でも屋」があんまり役に立っていないのは残念でした。
全体的に登場人物のバックボーンをもっと深く掘り下げて頂けたら、後半の教訓的な台詞にももっと共感できた気がします。
あと、コミカルなシーンはもうちょっと「間」に気を配って欲しかったです。
役者さんたちは個性的で良かったです。
満足度★★★★
ささやかに光る円熟味
前回公演『お肉体関係』が演劇ぶっくにも取り上げられ、すっかり高いところまで行ってしまったなぁ、と思っていた矢先のぬいぐるみハンター最新公演。
出演者もぐっと少なく、きらびやかな衣装もなく、BGMも(今までの彼らに比べて)圧倒的に少なくなっていましたが、物語はむしろ前回よりも濃くなっていると感じました。
以下ネタバレ。
ネタバレBOX
湖のほとりで貸しボート屋を営む女性とバイト君、さらにそこで足枷をはめられて飼われている下着姿の少女。そこに、自称保安官のホームレスやボートの整備にやってきた青年、湖に現れたカンガルーを取材しにきたジャーナリストの女性がからみ、なにやら流血事件も起きたりして途中から不穏な展開を見せたりもします。
前半はひたすら物語にはあまり関係のない「遊び」や「ムダ話」に時間が割かれていて、好みは分かれるかもしれませんがむしろ私はこの部分こそが彼らの真骨頂だと思いました。
特に何を語るでもない、ダラダラとした会話。でも、耳をそばだてて聞いてみると、なんだか面白くてにやにや笑えてしまう、そんなような。
シュールな世界観もあいまって、見ていてどこか昔のシティボーイズの舞台を連想しました。
よく考えたら、劇中で語られる「カンガルーの名前の由来」(ガセらしいけど)は、かつてシティボーイズの舞台『丈夫な足場』の中で出てきたくだりでもあるし。これは偶然なのか意図的なのか。
途中ミステリーに傾きかけたストーリーは見事なまでにスカされますが、そもそもこの舞台は推理劇ではありませんし。これでよいのだと思います。
末筆ながら、参宮橋トランスミッションを「縦長に」使ったステージ配置と(これは先週同じ劇場を使ったトカゲノセナカさんも同じでしたが)、ビニールシートに水をはって湖を表現した舞台美術にとてもセンスを感じました。
そして、本公演終了から約1週間後には彼らは次回公演をうつという。
生き急いでいるのか死に急いでいるのか、これは是が非でも見届けたいところです。
満足度★★★★
緻密なルールをあえて駆使しない。
Corichで偶然拝見してその劇団名と内容に惹かれて初鑑賞。
下北、Mチーム版を見ました。
チラシや当日パンフで複雑なルールが山ほど提示されていますが、さらっと見ておくだけで大丈夫です。本編中でわかりやすく解説してくれます。
ラーメンズとかお好きな方はツボにはまりそうだなぁと思います。
以下ネタバレで。
ネタバレBOX
まず、これだけの緻密なゲームの設定を作った脚本家さんの頭のよさに感服しました。
そして、演じる役者さんもコメディ巧者が揃っている感じで、終始笑いが絶えない舞台でした。個人的には渡辺美弥子さんの動きと表情がツボで、彼女を目で追っているだけでも2時間もちます。
欲を言えば、ゲームの大部分がドタバタで進行してしまうので(それはそれで楽しいのだけれど)もうちょっと相手の裏の裏をかくような頭脳戦が見たかったという気持ちもあります。せっかく緻密な設定があるだけに。
がしかし、人気にたがわず面白い舞台でした。
別バージョンも見てみたかったです。