リュリシュリの観てきた!クチコミ一覧

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あの子と旅行行きたくない

あの子と旅行行きたくない

月刊「根本宗子」

BAR 夢(東京都)

2014/12/13 (土) ~ 2014/12/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

また1週間頑張ろう
面白い。観ている間ずっと幸福な気分で、観終わって24時間以上経った今も、その気分が消えていない。
バー公演を見て、また一週間頑張ろうと思ってもらえたら本望、挨拶の言葉にそんなことが書いてあったけど、僕はバーを出て、雨の中、四谷三丁目の駅まで歩きながら、まさにそんなことを思っていた。また明日から頑張ろう。
たぶん、あらゆるエンターテイメントの作り手は、観客にそう思ってもらえることを理想としているのじゃないかと思うけど、成功していることはそんなに多くない。バー公演は、たったの40分なのに軽やかにそれを成し遂げていて、本当に凄いと思う。

ネタバレBOX

特に、後半の畳みかけるような展開は爽快だった。根本宗子の最近の演劇を観ていると、後半二転三転させて畳みかけるような展開にさせてくることが多い。優れたミステリ小説とも共通している部分がある気がする。この辺はサービス精神の表れなのかな? 音楽も使い方がとても上手い。だれそうになる前、絶妙なタイミングで気分を高揚させるような使い方をしてくる。そして、そこからラストの怒濤の展開になだれ込む。
根本宗子の演劇は、分かりやすいし、それでいて本公演なんかだと心をえぐってくるような深みもある。今年は『夢も希望もなく』を皮切りに飛躍の一年になったと思うけど、来年はもっと彼女の名前が広まり、さらなる飛躍の年になる。そんな気がする。
ますますチケットは取りずらくなると思うけど、今後もバー公演は続けていっ欲しいな、と思う。
面白いものを見せてくれることを期待しつつ、頑張ってチケットを取るので。

根本さんが開演を待つまでの間、お客さんが来たのかと確認するように階上を覗き見る姿がとても好きです。
「美しきラビットパンチ」

「美しきラビットパンチ」

ゴジゲン

駅前劇場(東京都)

2010/09/18 (土) ~ 2010/09/26 (日)公演終了

満足度★★★★

爆笑したが
初見だが、気になっていた劇団。ものすごく爆笑した。松居大悟は確かにとても才能があると思う。役者たちの演技も皆いい感じに弾けていて、とてもよかった。

ネタバレBOX

ラストはとても挑戦的だ。あのままコメディとしていい感じに終わらせることは簡単なのに、そうしなかったのは、それだけ、何か思いを伝えたかったということなのだろう。最初のミュージカルは好きだったが、それからどんどん話が訳が分からなくなっていった。やろうとしていたことはそんなに間違っていなかったと思う。あのラストの前までの感じで終わっていたら、それはとても面白い演劇だったと思うけれど、どこか普通なのだ。だから、あのラストの挑戦は応援してあげたいのだが、ただ、伝え方や見せ方のようなものがそれまでと比べて、下手くそすぎた気がする。観ていてどうしてもノレなかった。感情が醒めてしまった。その部分さえ改良できれば、この作品はもっと凄い傑作になったと思う。
今宵、宇宙エレベーターの厨房で【ご来場誠にありがとうございました。】

今宵、宇宙エレベーターの厨房で【ご来場誠にありがとうございました。】

隕石少年トースター

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★

良作コメディ
こういういかにもなコメディは、最近観ていなかった。こういうのは、簡単なようでなかなか難しいと思う。最初から最後まで舞台世界の中に入っていられて、飽きずに観れたし、たくさん笑った。それだけでも凄いことだと思う。ただ、笑いのレベルが、最初から最後まで一定な感じがして、つまり、段々と笑いが盛り上がっていって最後は大爆笑、みたいな感じにはなっていなかったので、そこはもったいないと思う。この手のコメディはたくさん創られているから、ちょっとやそっとのことでは観客は納得しない気がする。そうはいっても、センスは凄いと感じたし、関西から東京に初進出らしいし、パティシエだか何だか色々やっていた女性はかわいかったし、次また東京に来たら絶対に観たいと思う。

ネタバレBOX

料理に対する真剣さがいまいち感じられなかったのが、もったいないと思った。料理を作っているシーンが本当に少ない。「いいから、早く次の料理作れ!」と心の中で何度も叫んだ。本当にいいものを作ってそれを食べてもらいたいんだ、という情熱のようなものが伝わってくれば、笑いだけでなく、感動にまで持っていくことができたのではないかと思う。物語がそういう方向にいかないで、ワープだとかエレベーターガールへの恋心だとか、タコみたいになってしまうという話でバタバタしてしまったのはもったいない気がした。タイタニック号の中で演奏しつづけたバンドマン、みたいな感じにもっとできたらよかったのに、と思う。
吐くほどに眠る

吐くほどに眠る

ガレキの太鼓

APOCシアター(東京都)

2010/08/19 (木) ~ 2010/08/26 (木)公演終了

満足度★★★★

とても良い
観る前は暑かったり疲れていたりで心がざわついていたのだけど、観終わると静かな気分になっていた。演劇を観ている間に、意識がどんどん自分の内面に向かっていったからだと思う。こういう演劇は好きだ。観ている間、まるで自分が精神科医のような、あるいは、カウンセラーに観てもらっている患者のような気分になった。

ネタバレBOX

毎日のように訳のわからない事件が報道されているが、そういう事件の犯人は、たいてい心が病んでいる。主人公の心がなぜ心が病んでいったのか、この物語の中で、よく描けていると思う。ラストに希望はないが、これはこれでいい。安易な希望が提示されないから、自然、観客は考えようとする。本当はどうであればよかったのか。答えなんか見つからないけれど、そうやって無意識の内に考えたりすることで、どこか癒されていく自分がいた。
この劇団・演出家は初見だが、次回公演もぜひ観てみようと思う。
パーティーが始まる

パーティーが始まる

TOKYO PLAYERS COLLECTION

王子小劇場(東京都)

2010/08/03 (火) ~ 2010/08/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

美しくて笑える
感動した。渡邉とかげが素晴らしすぎる。あんな役を演じるとは。
「パーティが始まる」というタイトルから、何となく派手で、楽しい物語を想像していたのだけれど、予想していた感じとは違った。静かで、どこか美しく、それでいてめちゃくちゃ笑える。そんな感じ。上野友之の作品は初見なのだけど、これからは全部観たいと思った。すごくセンスがあると思う。

ネタバレBOX

清水久美子という女優は、全然知らなかったけれど、凄いな、と感じた。最初の原田紀行との、いい匂いに関するやり取りは、めちゃくちゃ笑った。美人の女性を目の前にしたとき、男の頭の中でつい繰り広げられてしまう妄想が、見事に表現されている。混んでいる電車の中のつり革のつかまり方も、男心をくすぐる絶妙な感じがあって、観ているだけでにやにやしてしまった。この辺、上野の演出も凄いな、と思う。
それにしてもこの物語は、大学時代の自分の状況なんかとモロに重なっていて、めちゃくちゃ感情移入して観た。まだ何者でもない青年が、勇気を出して一歩を踏み出す、その過程を、笑いを交えつつも凄く繊細に描いていると思う。何より、渡邉とかげの、少し寂しそうで、何を考えているのか分からない演技が凄くよかった。これが男の役者だと、ここまで感情移入しきれなかった気がする。「自分から話しかけることなしに、素晴らしい人生を送ることはできない」というようなセリフが、妙に心に残った。
お肉体関係

お肉体関係

ぬいぐるみハンター

王子小劇場(東京都)

2010/07/28 (水) ~ 2010/08/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ぬいぐるみみたい
カラフルで、ポップでナンセンス。場面場面で結構笑った。センスは確実にあると思うけれど、劇全体にもう少し求心力のようなものがあるといいな、と思う。何となくお下劣な内容を想像していたが、それほどでもなかった。

ネタバレBOX

役者たちが全員で音楽に合わせてぴょんぴょん飛び跳ねているシーンは、心が躍った。特に、藤吉みわという女優が、とても可愛かった。
Wannabe

Wannabe

柿喰う客

アトリエ春風舎(東京都)

2010/06/29 (火) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

かわいい柿
韓国と中国の女優は皆かわいかった。すれていないというか。何かピュアな感じがする。外国人だからだろうか。それとも若いからだろうか。
こういう演劇を創るのはとても楽しかったろうな、と思う。そういう雰囲気は出ていた。こういうメンバーで二時間くらいのがっつり本気の公演をやってくれたら、それも面白そうだな、と思う。

ネタバレBOX

アフタートークで、演出家としての中屋敷が、登場人物全員が幽霊なんじゃないかと言っていたのが面白かった。中屋敷が言うように、文化の壁や言葉の壁なんて本当には存在しないのかもしれないが、実際には、その本当はないかもしれない壁の前で立ちすくんでばかりだ。いや、それどころか、壁に近づこうとさえしないのがほとんどだろう。この演劇の登場人物たちは、皆とても楽しそうだった。文化や言葉の壁なんて知らないとばかりに、同じ時間を楽しそうに過ごしていた。それには素直に憧れる。憧れるけれど、実際にはやっぱり難しいから、全員が幽霊みたいな演出になったのかな。
七味は今すぐ映画に出れそうな格好よさだったし、コロはグレイのタクローみたいだったし、深谷の存在感を消すような演技が妙に心に残った。
愛死に【ご来場ありがとうございました。】

愛死に【ご来場ありがとうございました。】

FUKAIPRODUCE羽衣

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/06/12 (土) ~ 2010/06/22 (火)公演終了

満足度★★★★★

スタイリッシュエロ
はじめてトラムの『あの人たちのリサイタル』を観て衝撃を受けて、そこで買ったDVD『朝霧と夕霧と夜のおやすみ』を観て、高円寺で行われたライブも観てきた。すっかり羽衣フリークになって、待ちに待った今回の公演なのだけれど、期待は裏切られなかった。まず、出だしが素晴らしい。糸井幸之介がブログか何かで書いていたけれど、遅刻をしてはだめだ。この出だしは、何やら妖しくて、胸をかき乱されるような何かがある。とにかく詩的で美しい。全員黒のスーツを着ているせいもあるかもしれないけれど、今回の公演は全体的にスタイリッシュな印象が強かった気がする。いつものような熱苦しさのようなものはあまり感じなかった。もちろん盛り上がる部分は凄く盛り上がるのだけど、にも関わらず底の方に、ものすごく静かなものが流れている気がした。

ネタバレBOX

内田慈のダンスは何だか色っぽくて、正直身体を密着させて演技をしたりしている日高啓介が羨ましかった。二人の挿入にまつわるセンチのやりとりなどは本当に面白くて、最後の方はめちゃくちゃ笑った。いつものごとく、というよりもいつも以上にエロな行為や言動が出てくるのだけど、それでもあまりいやらしさを感じないのは、ラブ&ピースの強いメッセージが感じられるからか。
愛死にというタイトルは、愛が死んでしまうということを表現しているのかな、と思った。冒頭の方でシティボーイシティガールという言葉が出てくるけれど、都会で生きる若者が、誰かを愛し、素晴らしくもばかばかしい愛の営みを繰り返し、けれど、いつのまにかあんなに素晴らしかった愛は死んでしまい、元の一人ぼっちのシティボーイシティガールに戻る。そういうことなのかな、と思う。羽衣の公演はこれからも絶対に見続けたいのだけど、冒頭の役者がキーキー静かに言ったりしていた部分がとても面白かったので、妙ージカルの部分とは別に、そっちの方の静かで詩的な表現も追求していってほしいと思った。
露出狂

露出狂

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

凄いな
熱気があるし、最初から最後までテンションが高い。ものすごく集中して観てしまうから、笑える所では、声を出して笑ってしまう。普段、声を出さずに笑ってばかりなのに。
作・演出の中屋敷は、本当に演劇に対する志が高いのだな、と感じた。そして、それが役者陣にも見事に伝わっている。特に、柿の劇団員たちは、動きの鋭さやら、表情の過剰さによって、他の女優たちを圧倒している気がした。

ネタバレBOX

岡田あがさの変なキャラは最高だった。何だかとても豊かなものが、あの演技には含まれている気がする。右手愛美は、何となく高飛車な印象があったのだけど、アフタートークを観てかわいいな、と思った。自分のことが褒められだして、座り方を正座に変えようとする仕草が、とてもグーだった。コロの鋭さ、迫力はスバ抜けていたし、七味まゆみは異様な格好、髪型のせいもあって、人間じゃない、何か別の化け物のように見えて、面白かった。
柿喰う客という劇団は、演劇好きなら誰でも知っているだろうけど、演劇を観たこともない人は誰も知らないだろう。今、柿喰う客という劇団の演劇を生で観れて、本当に幸福だな、と思う。あと何年かすると、たいして演劇好きじゃない人でも知っているような存在になるのかな。
「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010

「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010

ハイバイ

アトリエヘリコプター(東京都)

2010/05/16 (日) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

ヒッキー最高
ひきこもりの自意識過剰さを細かく、丁寧に描いている。だから、すごく共感できるし、感動するんだろうな。

ネタバレBOX

何となく、アメトークの人見知り芸人の回を思い出した。ものすごく小さな、情けないようなことで悩む人間を観ると、なぜか観ている側が勇気づけられてしまう。それにしても、妹役がとてもかわいく描かれていた。最初のプロレスの技の掛け合いなんかは、羨ましすぎる。あの妹が、文句のつけようもないくらいかわいいからこそ、この作品は凄く面白く観れるのかもしれない、とちょっと思った。
プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

やっぱりイキウメ
やっぱりイキウメは凄い。全編に漂う緊張感と笑い。サスペンス的なテンションも最後まで途切れなかったけれど、それと同レベルで、笑いのテンションも常に高い。皆演技が上手すぎる気がするのは、前川の書く台本がそうさせているのか。

ネタバレBOX

安井順平は本当に魅力がある。安井が喋りだすと、何だかドキドキしてしまう。伊勢佳代は、二人会でふっ切ったような演技を見せていたけれど、今回そのふっ切った感じが随所で炸裂して、大きな笑いを呼んでいた。「言え」には爆笑したし、岩本幸子や浜田信也の蛇拳には笑った。新人二人も、明らかに魅力的な個性を持っていて、これからが期待できる。これからのイキウメが本当に楽しみだ。
スイングバイ

スイングバイ

ままごと

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/03/15 (月) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★

オシャレ演劇
オシャレでポップだ。最初の方は役者たちの動きのリズミカルな感じに心躍らせたりしていたが、そのうち眠くもないのに瞼が重くなってきた。
ビルの外側から、会社の中で行われていることを覗いて、それを今風にオシャレにポップに描いてみましたという感じ。外側から覗いてばかりで、全然内側に入りこむ様子がない。表現しようとしていることは何となく分かるが、それを表現しきれたところで一体何なんだろうという気がする。軽すぎて、心に響くものが何もない。所詮おままごとという気もしたが、劇団名を考えると、それでいいのか。
賞を取った『わが星』は、観ていない。有名な賞を取るくらいだからきっと素晴らしいのだろう。来年再演されるらしいから、ぜひ観たいと思う。けれど、今回の『スイングバイ』を観る限りでは、次の公演をまた観てみたいとは思えなかった。

The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

仙行寺(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/03/02 (火)公演終了

満足度★★★★

高いレベル
劇団名や中屋敷の写真のイメージから、何となくおちゃらけた軽い感じの演劇を想像していたのだけど、全然違った。舞台が寺で、全員喪服を着ていたせいもあるが、すごくスタイリッシュで格好のいい演劇に見えた。最初から最後まで舞台上で行われていることに没入できたのは、演出が優れているからなんだろう。

ネタバレBOX

役者たちの発する音、ノイズが気持ちよすぎる。仕事で脳がくたびれ果てていたのだけど、舞台を観ている間、それまで止まっているようだった脳が動き出すのを感じた。アフタートークで、本当は十ヶ国語くらいを一斉に語らせたかったみたいなことを言っていたけれど、確かにそれが実現したらすごいだろうな、と思う。人間の声と身体で奏でるオーケストラ。演劇の持っている可能性がどんどん広がってきている気がする。
アフタートークで観た中屋敷は、イメージと全然違って、真面目でいかにも頭が良さそうな好青年といった感じだった。客からの質問への答えが、非常に早くてわかりやすく、しかも面白くて、頭の回転の良さを感じさせる。
役者陣も皆魅力的でパフォーマンス能力が高く、すごい劇団になっていくポテンシャルを秘めている。今後の公演も追っていきたいと思う。
ビリビリHAPPY

ビリビリHAPPY

突劇金魚

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/24 (水)公演終了

満足度★★★★

サリngROCK
演劇雑誌にサリngROCKと渡辺えりの対談が載っていて、興味をひかれて観に行った。感動したりはしなかったけれど、面白い部分もあり、観てよかったと思う。頭を使って観るような演劇じゃない。アフタートークで柴幸男が言っていたように、サリngの夢を観ているような感じがある。自分の中の無意識に耳を澄まし、それを役者を使って演劇という手段で表現している。僕も、サリngの中の無意識に何らかの共感を抱けたから、最後までそれなりに退屈せずに観れたのだと思う。

ネタバレBOX

ただ、アフタートークの中で柴幸男が語っていたように、サリngの演出方法や歌の扱い方などについて、まだまだ改良の余地はあると思う。柴はもっとぐちゃぐちゃになっているのが観たいと言っていたけれど、確かに僕も似たようなことを感じた。変な動物や変な伯爵など、面白い要素はたくさんあるのだけど、それがきれいにまとまりすぎていてインパクトを持ってこちらに届いてこないのだ。けれどそのぐちゃぐちゃになりきれないところがサリngの資質のような気もする。かわいらしくまとめてしまうというか。それはそれで魅力な部分だと思うので、捨てる必要はない。戯曲賞をとったという作品は、どんな感じだったのだろう。もうちょっとストーリーらしいストーリーがあったのだろうか。それも観てみたくなった。東京に進出する予定は今のところないそうだが、また観れる機会があるのなら、観たいと思った。
遠ざかるネバーランド

遠ざかるネバーランド

空想組曲

ザ・ポケット(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★

いまいち
ここでの評判がいいので観たのだけど、いまいち心に響かなかった。なぜだろう。テーマ的には結構好きなのだが。席が後ろの方だったせいか。体調があまりよくなかったせいもあるが、途中眠くなる部分さえあった。せっかくピーターパンを題材にしているのだから、もっと歌や踊りも交えて派手にやった方が面白い気もする。そういう劇団じゃないのかもしれないけど。

ネタバレBOX

ファンタジーの部分が長すぎたのだと思う。もうちょっと早く現実とリンクすべきだった。ネバーランド内でのやりとりに途中から飽きてしまった。途中からのピーターパンのダークさはとても面白かったと思う。
 『F』

『F』

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/01/29 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

少女マンガのような
SFチックな少女マンガのような舞台だと思った。
とても切ない。
二人の演技は心に沁みた。特に端田は、声と全体の雰囲気はかわいらしいのだが、表情に何かしら不安を呼び起こすような要素があり、この非現実的な物語にリアリティを与えている気がした。

ネタバレBOX

「人の命は地球よりも重い」
物語の中で、アンドロイドは云い、それに対し、端田は、「そんなの嘘だ」と云う。
現実の世界を見渡せば、誰もが端田のセリフに共感するだろう。人の命は、どんどんと軽くなってきている気がする。というよりも、自分で自分の命を大切だと感じられない人が増えているのか。所詮私の命なんて。そういうつぶやきが街には溢れている気がする。
彼女は、空虚な自分の未来を捨て、代わりに金とアンドロイドを手に入れた。彼女はとても寂しかったのだ。アンドロイドとの生活で、その寂しさから逃れようとした。だが、アンドロイドはあくまでもアンドロイドで、人間ではないので、その関係には歯がゆさがある。その歯がゆさ、満たされなさが、切なさを生んだ。
終演後、頭を下げ顔をあげた時の端田の顔が、それまでのどの瞬間よりも一番無表情だった。それがとても印象に残った。
パリジャン!

パリジャン!

とくお組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/01/27 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★

なかなか
楽しめる舞台だった。ただ、いまいちパンチが弱い気がする。要所要所できちんと笑わせてくれるのだが、腹の底からは笑えないというか。次はとくお組だけの公演が観たいと思う。

ネタバレBOX

石橋奈津美は声がよく通っていていい感じだったのだが、いまいち物語に関わっていなかったのでもったいなかったかな。
終演後の山田新太朗の空気を読まないトークと、いかにも絡みづらそうにしている共演者の感じは面白かった。
【ご来場ありがとうございました!】あのひとたちのリサイタル

【ご来場ありがとうございました!】あのひとたちのリサイタル

FUKAIPRODUCE羽衣

シアタートラム(東京都)

2010/01/30 (土) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

過剰な演技
出演者たちの演技が、どこまでも過剰だ。そこまでやるのかというほどに、全身全霊で演技をし、歌を歌う。街を見渡せば、気だるそうな省エネスタイルで生きている人たちがほとんどだが、彼らは決してエネルギーの出し惜しみをしない。これでもか、これでもかというほどの過剰な演技と歌で、エネルギーを観客にぶつけてくる。
桟敷席の、最前列で観たが、それが良かった。彼らの息遣いや汗の飛び散り具合などを、間近で体感することができた。
仕事の疲れか、それとも悩みのせいか、今日は一日中鬱々とした気分でいたけれど、これを観て、そんな気分はぶっとんだ。一時の気晴らしではなく、悩みに対する答えが見つかった気がする。
 エネルギーの出し惜しみをするな。過剰に生きろ。
 公演終了後、迷うことなく前回公演のDVDを買ってしまった。

スーパースター

スーパースター

劇団鹿殺し

青山円形劇場(東京都)

2010/01/21 (木) ~ 2010/01/28 (木)公演終了

満足度★★★★★

良い
初めて見る劇団だった。鹿殺しという劇団名から、また、いかつい男たちがたくさん並んでいるチラシの写真から、危険な匂いのする、男くさい、肉体派の、エネルギッシュな舞台を想像していた。エネルギッシュはエネルギッシュだったが、想像していたエネルギッシュとは少し違うエネルギッシュだった。強い男が、その強さを誇示しようとするエネルギッシュではなく、弱い男が、ダメな男が、悩み苦しみながら成長しようとするその過程が、歌やパフォーマンスなど、ありとあらゆる手段によって、エネルギッシュに表現されているのだ。
それこそ、演劇という表現にしかできない、実に贅沢な表現だと思う。
最後の方は泣きながら笑って、めちゃくちゃ感動した。
円形劇場を出てから渋谷駅まで、本当はすごく寒いはずなのに、さっきまでの熱気のせいで、全然寒く感じられなかった。
次の公演も必ず観たいと思う。

ネタバレBOX

まったくの初見で、予備知識みたいなものがなかったので、演じている人の名前などさっぱりわからなかった。ただ、丸尾丸一郎や、菜月チョビの名前だけは何となく知っていた。
主人公の子供時代を演じているのは、ずいぶんと背の小さな男で、声も少年みたいで、一体どういう人なんだろうな、と思って見ていた。物語が後半部分に差し掛かったころ、これは男ではなく女なのかもしれない、と思った。そう考えると、いろいろ納得できる部分があった。
最後に物語が終わって、その子供時代を演じた女性が締めのあいさつをした時、もしかするとこの人がこの劇団内の重要人物なのか、と思った。
帰りの電車の中で、パンフレットをもう一度開き、ピカイチを演じていたのが演出もしている菜月チョビだと知って、あっと思った。 
あの小さな体で、こんなすごいエネルギッシュな劇団を引っ張っているとは思わなかった。何だか、すごく感動した。

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