rexの観てきた!クチコミ一覧

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我が名はレギオン

我が名はレギオン

演劇実験室∴紅王国

ザ・ポケット(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ヘヴィー級の手応え
ミステリーとして見せてたら、失敗していたと思う。だって結末、みんな知ってるもの。
そうではなく、観客みんなが事件を知っているという前提で書き、それでなお引きつけた。
160分という長さが気にならない力作。

ネタバレBOX

劇団で女優を目指す妹が、医師を目指す兄によって殺されたあの事件を下敷きにしている。だがこちらの作品では、「使徒」を名乗るシリアル・キラーは医師ではなく、まさに警察官のキャリアを目指している。

劇中で言及されるヱヴァをはじめ、さまざまな映画を想起させながら、物語は着地点めがけて突き進む。

主張する作品ではなく、問いかける作品だった。
結果的に160分は長いが、上演中は引き込まれ、時を忘れてのめり込んだ。
ひみつのアッコちゃん

ひみつのアッコちゃん

劇団ガソリーナ

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2009/07/08 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

真摯な人ばかり
街の片隅にある小さな情景を積み重ね、やがて街そのものを描くという気宇壮大な構想を掲げていた、ここ数年のメトロポリス・プロジェクト。これには佳作もあったのだが、全話を鑑賞できるのは演出家だけだろうという疑問も残った。
しかし今回は違う。1話で完結(継続しようにも劇場自体が閉館するが)、後腐れなし。『デビルマン 不動を待ちながら』以来の満足を感じた。

世代を越えて話題をさらっている映画『ひみつのアッコちゃん』の主人公を決めるオーディション、最終面接に残ったのは5人の少女。これはその中からたったひとりを選ぶ過程を見せる作品だった。

ネタバレBOX

中盤過ぎまで、シンデレラガール候補の親たちに対する面接シーンで、ここにいる目的も動機も異なる彼らとその娘が、いずれも「落とす理由のない人たち」である様子を描いてゆく。ここまでで面接される側のキャラクターに対する好感度が十分に高まっており、誰が選ばれるのかと終盤まで期待が持続した。いわゆる「悪人の出てこない話」には作家の都合が優先される展開の予定調和に不満を感じる場合が多いが、これは幕切れを楽しみに待つことができた。

そして終盤に、もうひと押し。監督と脚本家で示し合わせた、12番めのプロットが語られる。ここで、光り輝いているが選び切れないナンバーワンの主役候補に隠れて、目立たないが余人を以て代えがたいオンリーワンの脇役候補が初めて存在を明かされる。監督と脚本家が「今の子供は何になりたい?」という制作の意図を実現するにはその脇役こそが真に必要で、そんな相手役がいるからこそ号泣するアッコちゃんの苦悩を映画で見たいと思えた。
説得力ある台詞、鮮やかな展開だった。

選ぶ側の5人のうち、監督と脚本家以外の3人について立場と事情の描き分けが乏しく、彼ら3人の内部対立が盛り込まれていたら、さらに満足できたかなと思った。
キドクラッチ

キドクラッチ

MCR

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/07/08 (水) ~ 2009/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

正しい使用法
近藤美月という女優は、用法用量を守って服用すると必ず効果を発揮する特効薬のような人。もはや一個人の固有名詞を離れて、この類の「狂った美女」キャラを総称するジャンル名になってもおかしくない。
中川智明と吉田久代は対等なバカップルだったが、近藤は相手役の川島潤哉を踏み台にして暴れる役割で、あの川島が「正常な人」に見えるほどだった。
この作品は正しく使ってる、と思う。

ネタバレBOX

以上の4人を前半に暴れさせて、笑わせる。
だが話の核心は、小椋を巡る有川と櫻井の歪んだ、けれど悲しい恋愛風景にある。
中盤、櫻井の口から構造を規定する決定的な台詞が語られて以降、ハチャメチャなエロスの海岸物語は、『シックスセンス』のようなタナトスの悲愛の物語に表情を一変させる。そのあたりが見せ場か。

欲を言えば、終盤に全員が登場する場面で、バカップルたちのもうひと暴れが見たかった。序盤に比べてみな一様にふつうの人になってるのが残念だったな。
SURROUNDED ALWAYS

SURROUNDED ALWAYS

年年有魚

新宿眼科画廊(東京都)

2009/05/27 (水) ~ 2009/06/09 (火)公演終了

満足度★★★★

ユミコvsチヨコ
天然ちゃん風味に見せかけて悪意を放つトツカユミコと、ズケズケ単刀直入だけど意外と思いやりもある松下チヨコ(旧、松下ロボ)の一騎打ち、という様相。キャラ立ちよく、コクがあるのにキレがある。この2人は実に巧みに「描けて」おり、これがそのまま評価に繋がった。

彼女らに振り回される役どころの川本喬介も、出張り過ぎず引っ込み過ぎずで好演。

前有佳の役どころは難しい。夫婦とする会話ではエキセントリックなキャラ立ちを、上記2女優に対しては常人っぽい振る舞いを要求されている。

こうしてサブキャラたちが軽快で鮮明に描かれているのに、メインキャラであるべき夫婦は行動原理に逡巡や葛藤が多いためか複雑で、稜線がぼけて見えたのが残念だった。

リミックス【初日・土夜完売御礼】

リミックス【初日・土夜完売御礼】

国分寺大人倶楽部

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

remix かくあれかし
過去の上演作品からシーンを抽出・編集して、4つの情景を1つの枠組み内に再構成した。
筆致はふだんよりマイルドなので今回が初見でも難はないけど、過去の河西作品を知っている人のほうが、今回の企みにより深く感銘を受けるだろう。まるで過去の公演が、今回のための布石であったかのような錯覚すら感じる。
互いに脈絡のない話を並べて上演する短篇集とは大違いで、このようにしか組み立てられない必然を感じ、好印象。

前説や場内整理の人が大声で喋ってるのに、客入れのBGMに遮られて聞こえなかったのは残念。少し音量を落としてほしかった。

ネタバレBOX

清原和博のように不貞不貞しい風貌の後藤剛範が、今回はカワイイ。
信じがたいだろうけど、これホント。

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