『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』
下北澤姉妹社
駅前劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
現実に、立場の違う複数人の大人がいるのならそういう話になるのはある意味当然かとも思うけど、やはり時事的な話題が多いと感じた。
世の中の諸問題について観客に気付きを持たせる、思想を伝える、そういったことを演劇作品に持ち込むのは全く構わないと思うが、であるならそれを演劇でやる意味があったほうが面白いと思う。街頭演説をキャラクターに喋らせても駅前の喧騒となにも変わらない。
魅力的な女優さんたちが仲たがいしていく様はハラハラさせてもらった。女の美しさと醜悪さがどんどん見えてくる。
これだけ社会的立場の違う登場人物がいるのなら、社会の歪みであるとか政策の問題などは自然と観客の心に入ってくると思うし、それができる俳優さんがいらっしゃると思うので、時事問題はエッセンス程度でも十分だったのでは、と思う次第。
客席はとてもホットで、お客様にとても愛されている団体なのだな、としみじみ感じました。
静寂に火を灯す
演劇プロデュース『螺旋階段』
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了
実演鑑賞
セット、脚本、登場人物、とても丁寧に作られた作品でした。
人の死に対して、少しライトでは?と感じるところもありましたが、登場人物がひとりひとりきちんと作られていて、あー、こういう人いる!と思わせてくれていたので、「この人はこういう感じ方をする人なんだな」で納得してしまえました。
真面目にストーリーを追いかけるところと、気構えずに見ていられるところのバランスがすごくよくて、安心して最後まで観劇することができました。
また色んなテーマや舞台での作品を拝見したいと思います。
グレーな十人の娘
劇団競泳水着
新宿シアタートップス(東京都)
2022/04/21 (木) ~ 2022/04/29 (金)公演終了
実演鑑賞
(ほぼ)全員女性の登場人物をそれぞれ魅力的に描きだされていた。
作品の構造上場面転換が多様されていたが、それをうまく構成していたし、それを逆手に取るシーンもあり。
にぎやかなところ、こころをぐっとさせるところ、それぞれ丁寧に作られていたと感じた。
事件が起こって大騒ぎになるが、推理ドラマ仕立てと思いきや…というところ。
家族というものは、変わるようで、変わらないところもなんだかんだある。
拝啓、モリエール様 -モリエールへの挑戦状- 〜“ドン・ジュアン”より〜
good morning N°5
中野スタジオあくとれ(東京都)
2022/04/22 (金) ~ 2022/04/29 (金)公演終了
実演鑑賞
前説であんな格好の人がトークをしていて、いったいどんな劇団なんだと戦々恐々していたが、セリフの勢いと掛け合いのテンポが素晴らしく、最後まで笑顔で拝見。
ひとりの女性の物語と、交錯してくドン・ジュアンの物語。舞台上を所狭しと駆け回るたくさんの登場人物に、久しぶりに芝居見たな!という気持ち。
劇中歌のドン・ジュアンの歌でハートを射抜かれてしまった。
ぜひまた拝見したい。
ドント・コールミー・バッドマン
24/7lavo
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/10/14 (木) ~ 2021/10/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
複数の時間軸が重なって未来へ向かっていく様が希望を持ててよかったです。
自分の世代のこともあり、「同じようなこと思っていたな」とか登場人物も「あー、こんな人いた(いる)」と感じられ、演出も役者もよく人間を観察されているのだなと思います。
きっとここまで劇的ではなくとも、同じような思いをしながら人はみな残念でない人間になろうとがむしゃらになるのでしょうね。
空気みたいに自分を溶かすことは楽で、下劣な自分を認めることはつらいです。でもそれは自分だけの経験を認めることであり、ある種の自己肯定なのだなと思います。
心が痛くなるシーンもあった分、登場人物たちがこれから自分たちの舞台で胸をはって生きられるよう願いたくなるお芝居でした。
カスパー彷徨
unite d'Habitation
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/08/04 (火) ~ 2009/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
時代とか
「再演」というものには意味があると思います。あのときの作品を今やることの意味とか。私は前作を拝見しておりませんが、見てなかったことすら私のなかで意味に変わりました。
どこにでもいて、どこにもいない、何者でもなく何者でもあるカスパーという存在。この話のカスパーが何を考えていたのか、というより何に走らされていたのか、ぼうっと考えます。理解できたかどうかは別にして、久しぶりに読み応えのある戯曲でした。序盤のあたり、出演者が薄かったような気がするのですが、話が深まるにつれ、人物のそれぞれにもつ激しさや深さを垣間見れた気がします。
年若い役者が演じるということに意味もあるかと思いますが、熟練の役者さんでの上演、広い劇場での公演も見てみたいなと思いました。
sirenoye
幻想芸術集団Les Miroirs
アトリエ・カノン(東京都)
2010/01/30 (土) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
幻想芸術集団という名前
とにかく麗しく、出演者、スタッフ、みなさん美意識の高い方なのだと思いました。「演劇」というよりも「ショー」「魅せるもの」としてとてもいい時間でした。おそらく「劇団」ではなく「幻想芸術集団」という名前を取っているのは、この集団でやりたいのは「演劇」だけではない、という方向性の表れなのかもと思いました。
カタルシス夢十夜
ムシラセ
王子小劇場(東京都)
2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了
琥珀ノ宴
三日月バビロン
ザムザ阿佐谷(東京都)
2009/11/27 (金) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
舞台装置が
いつも素敵
今回はでっかいアンモナイトがポイントかと
照明に透けてキレイでした
音楽がいつもに比べてデジタルな音で最初違和感でしたが、ラストまで観て思い返すとなかなか素敵に合っていました
溺れる家族
アロッタファジャイナ
タイニイアリス(東京都)
2009/07/23 (木) ~ 2009/07/27 (月)公演終了
満足度★★
見せ転と私
舞台の転換がとても多かったです。
いくら薄明かりで音でつないでいるとはいえ、逆に役者が「転換する人」になった瞬間に客の意識は切れてしまうものじゃないかなと思います。
見えるか見えないかわからないかくらいのところで芝居しつつ転換してくれたらとってもかっこいいのに。
基本的に舞台って、そんなにひょいひょい場面をかえるものではないと思うのですよ。できるだけその「場」をひっぱって盛り上がって、そしてまたふっと途切れて次の「場」に観客が行く。
今回はさまざまな家族の形とその問題を描写するということで、その家族たちに合わせた舞台転換が必要だったのかもしれませんが、それを映像ではなく舞台でやる強みというかなんというか。
映像であれば、切り替えがききますから、複数の物語が絡み合って同時進行していく様というのはわかりやすく表現できる気がします。が、その表現をそのまま舞台でやってもそれはきちんと舞台にはまる表現なのか。
私は舞台の中で一番かっこいいのは転換の一切ない密室劇だと思っている人です。
それゆえに、複数の場面を必要とする芝居をどう演出しているのかは気になるところであるのです。
クライマックスに愛を感じました。
赤色エレジー
Project Natter
ザ・スズナリ(東京都)
2009/07/15 (水) ~ 2009/07/22 (水)公演終了
満足度★★★
エレジーとは
役者さんの力量もほとんどが並以上の方たちで素敵だなと思いました。
作品全体としては、本当に必要なシーンなのだろうか、そいで何を言いたいんだろうか、と、曖昧な印象を受けました。
学生運動が加熱した、その後の時間の話なので、熱いものはそこにはないのかも知れないですが、かといってそれでエレジーなのか、みたいな。つうかエレジーて何さ、みたいな。
あえて見せる転換も特に面白みがあったわけではないし、なんだか落ち着いてみてしまった作品でした。それにしても床の蛍光テープがいっぱいで大変そうでした。