満足度★★★★★
すごかった。素晴らしかったです。
初【審判】
保村大和さんの一人芝居が見たくて、内容はさほど知らずに劇場に行きました。
二時間半の一人芝居。
台詞量や体力や精神力も尋常じゃない作品なのですが、
そんな事で語っちゃいけないと思うような、
凄い作品でした。
開始50分で嗚咽をこらえました。
苦しかったです。
素晴らしかった。
役者も衣装も装置も音も光も。
久しぶりに内臓がぐらぐらする作品に出会えました。
役者ひとりの表現で、これだけ想像力をかきたててくれる。
感情を揺らしてくれる。
映画やテレビではない、また小説ともちがう、演劇表現の意義が体感できました。
素晴らしい演劇生活25周年記念公演。
リピートしようか調整中です。
深いお話ですが、眠気や長さは全く感じません。
ただし、最後までしっかり堪能するために、お手洗いだけ直前に行っておくことをオススメします。
ネタバレBOX
舞台装置の六脚の椅子が印象的。
外国人の名前覚えが悪いので、
一人一人を象徴してるそれは単純に想像の手助けに優しかったし、
順番通りな並びも、百物語で消されてゆくろうそくのようで。
椅子の上に乗せられたり装飾されてるモノは、
オリジナルからカットされてる(のかもしれない)六人のイメージを補ってくれてるように思えた。
人によっては蛇足に思えり人もいるかもしれないけれど、
私には良かった。
少年4人の写真とか、酒樽とか。
オリジナルを読んで確認したい。
椅子にひとりひとりの魂がのって見える感覚がした。
しいていうなら、
椅子にかかってた布の色が、
自殺した男の方が赤
祈って死んだ男の方が白
のほうがすんなり理解出来たように思えた。
衣装も素敵。
下に着ている衣装の色味や、
それに装飾されてる赤い毛糸(?)のイメージに前半で合点がいったあと、
最初は
薄い透ける素材で、シンメトリなエリのデザインが可愛いなぁ
などと思っていたのだけれど、
そのコートが、
その外套だと気づいた時、
ゾクッとしました。
装置も衣装もどちらも、
イメージをふつふつとかきたてる手助けをしてくれるだけで、
けして出しゃばらず、作品を支えていました。
音響も照明も。
後半で窓から光が差し込んでくるシーンで、照らされる劇場の壁肌を見て
GEKI地下liberty
って劇場を選ぶ所から作品作りをしてらっしゃるのかしら、
と思いました。
大和さんの空気感に、登場から一気に引き込まれた二時間半でした。
審判については、
究極の状態における生命保存、
の観点で無罪
と思いかけましたが、
最後に死んだ男 の肉親の観点に立ってみたら、解らなくなりました。