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Ironic process theory〜それを永遠と呼ぶ〜

Ironic process theory〜それを永遠と呼ぶ〜

BIG MOUTH CHICKEN

ブディストホール(東京都)

2016/04/21 (木) ~ 2016/04/26 (火)公演終了

満足度★★

昨年のお花の話と同じような話
両チーム2回ずつ拝見させていただきました。
事前情報にあった「ラストが違う」という物語も、話のキーになるキャストの力量的にも、物語を理解するには、風チームの方が向いているという印象。

まだ2日目だったのに、主役役の人だけ声が枯れていたのは、いかがなものかと。
セリフの色も心情も関係なく、「がなる」ような未熟な演技と発声法だったので仕方ないのかもしれない。

2時間ちょっとの公演時間。
ダンスや殺陣もいっぱい見せたいのかもしれないけれど、余計な部分もあったし、もう少しコンパクトにして2時間以内に収められたと思う。


内容以外で気になった点
・客席が寒くて面白そうなシーンでも引いてしまった。役者の衣装が厚着なので、そのために冷やしているのかもしれないが、暑い日だったため、持参した上着を着ても寒すぎた。

・当日パンフレットの、読ませる気がないのかと思う程の仕上がりに、連れが激怒していた。
キャストの写真や役名も、小さいし解像度が低くてぼんやりしていて読みにくい。カラフルな衣装だったのに、全体的に茶色い。人数は多かったが、もっとやりようがあるはず。
「今後の活動予定」やスタッフ紹介のの文字が小さ過ぎて、印刷が潰れているため読めない字がある。
わざわざ稽古時間を削って写真まで撮って、フルカラー印刷なのに、白黒コピーの方が良かったのではないかと思うような出来で、関係者にも、観客にも配慮が足りないのではないだろうか。
そして、皮肉なことに、主催の挨拶文やファンクラブの募集広告だけは、くっきり綺麗で読みやすい。


推しの子が頑張っているだけで、ある程度の満足感が得られてしまうのが残念です。

ネタバレBOX

チャレンジ公演と銘打ってあり、主宰がTwitterでしきりに「今回は、チャレンジした」とつぶやいていたので期待したけれど、昨年の『Heavenly Drop ~全ては物語~』と、仕上がりも展開もさして変わり無いように感じられた。

過去作品と似ていると思ったのは、
○主役のキャラクター。「異端者」「自分のルーツが曖昧」「同じ役者」
○通過点で敵が現れては、なんだか感動的っぽいことを言って一人ずつ脱落していくシステム。
○敵ではない大ボス。
○最後に謎の玉になる。

作家が違うのに、似ていると思ってしまったのは、演出が一緒だからなのか。


冨澤さん演出の舞台で変わった点があるとしたら、客演の方々のレベルが高くなった。
以前出演した方が、信頼する人を紹介してくれたからなのでしょうね。


特に、両チーム出演して2役やっていた古堂たやさんは、圧倒的に華があり、演技もダンスも上手く、振り付けも担当していたとのこと。
間違いなく今回のMVPだと思います。
古堂さんが風チームで演じたポントを見て、内容や展開の中で納得できなかったところが納得できたり、理解できる範囲が広がったりした。


初見の雷チームを見終わった時に、シュラバラ(松井翔吾さん)が主役なのかなと感じました。
物語の中での筋が通っていたし、苦悩し、何らかの成長があるようにも見える。衣装含めた見た目と、華があったのも理由だと思います。
雷チームの方のラストが、私の思った結末と違っていて、なんの解決も救いもないと思ってしまったのも原因かもしれない。

風チームだと、マザーセオリー破壊シーンでの京極博士(藤田マコトさん)の、鬼気迫る演技が圧倒的で格好よかったです。見ていて苦しくなって、心が押しつぶされそうでした。
内容も、マザーセオリー破壊がクライマックスで、そこからエピローグが始まってもおかしくないボリュームだったので、お腹いっぱいです。


アーシュという鬼(冨澤十万喜さん)が、「男も女も惚れてしまう程の圧倒的な魅力と、中性的な外見」という設定らしいのだが、どうにも無理があるように感じられた。
周りで騒いでいるキャラクターたちが、無理をして嘘をついているように見えて可哀相でした。
よくある「座長だから主役」なのかもしれないけれど、無理に主役をやるのではなく、演出をやりながらでもできる、力量にあった役をやった方が魅力的に見えるのではないだろうかと、いらぬ心配をしてしまいました。


サンプルの3人が「何を知っていて何を知らないのか」とか「サンプルの3人以外の人間は、感情を持たない」という設定が、余計な小ネタで矛盾するような部分もあって、わかりにくくなっていたように思う。

サンプル部屋を覗く京章院教授が、3人の悪口と右京教授の煽りにイライラして、護衛を殴るような演出があったり。

音楽という概念が無いのに、ドラゴンクエストのレベルアップ音で遊んでいたり。
ドラゴンクエストとも、レベルアップとも言っていないから、自身で編み出した遊びという解釈もできるけど、有名なものを使うリスクを負ってまでやるような小ネタではなかったと思う。

「アンドロイドみたいで気持ち悪い」と言うセリフから、アンドロイドが存在し、彼らの知識にも組み込まれているのがわかるけれど、彼らが知っていることが多いと、鬼を知らなかった事が不自然に思えてくる。

私が見た回だけのアドリブ上のミスなのだろうけれど、鬼を知らなかったのに、怖い顔をした女性に「鬼みたいな顔」とツッコミを入れていた。(ツッコミが必要な部分ではなかったし、ちゃんと理解した上で演技をしていないのが見えてしまう。)


京極博士が感情豊かな人なのは、マザーセオリーを作った古い人間だからなのかの疑問が解けないし、教授2人も古い人間のコピーだから、喋り方こそ変だけど、感情が見え隠れしているのか。。。
出てくる「人間」6人が、全員感情を持っているため、それ以外のあの世界の大多数の人間が、どのような感じなのか気になった。
感情を持って生まれてくるが、マザーセオリーで感情を抑制していたのだとしたら、なぜ3人のサンプルに嘘の理由を教えたのか。京章院が、クライマックスで何やらまくし立てていたけれど、前提がないのにひっくり返されたため、理解が追いつかなかったです。


人間と仲良くなるのも、ご都合で理由が見えないし、安い気がする。
鬼が「ずっと一人だ」とか「みんなに嫌われている」というような事を言うのだけれど、ワーキャーとアイドル扱いされているし、ずっと気にしてくれてるイドラもいるのに、イドラが可哀想だと思う。
鬼自身が幼稚で勝手なことをしていただけだから、孤独であることに同情できなかったし、ただ、「”孤独で可哀想な鬼”に素敵な”仲間”ができるお話」にしたかったからなんだろうなと思えた。


どうでもいい部分だと、鬼や神に殴られたのにあんまりダメージがなかったのが面白かったです。
鬼とか神々は、人間とは違う頑丈な体だろうし、右京教授は、いろいろ壊れているっぽいので除外するとしても。

雷チームで、社長(神)にケイ(人間)がタコ殴りにされているシーンは、死ぬくらいの結構なレベルで殴られたのに、足腰頑丈で強化人間なのかな、と思いました。
風チームの京極博士がポントに殴られた時のリアクションだけが痛そうで、私は好きでしたが、逆に浮いて見えました。
どちらが良かったのか、演出が、すり合わせをするべき部分をサボっているように思います。


政野屋遊太さんと、白井サトルさんの殺陣が、速くて格好良かったので、速度を落とさないでいい相手との殺陣がもっと見たかったです。
願わくば、小森秀一さんと三井伸介さんの殺陣が、また見たいです。

青山菜緒さんが、ポーカーフェイスの設定だったので笑顔こそ登場シーンのみでしたが、涼しげな表情の中にある愛嬌が見え隠れして、とても可愛かったです。

紗夜さんは、ちょっと面白いポーズを取っていたのに、それでもスタイリッシュで格好良くみえてしまう所や、ダンスをやっているだけあって、長いチュールでの殺陣?がとても美しかったです。

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