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2025年度 1-1位と総評
草創記「金鶏 一番花」

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草創記「金鶏 一番花」

あやめ十八番

実演鑑賞

満月、彗星どちらも観劇。
主演が交互配役という面白さを「金鶏一番花」はより深めていた。
一番花とは姉妹作品ではあるがいわゆる続き物ではないので、同じテイストを予想しているとかなり吃驚させられるかと。
テレビジョン開発までの道のりに混ざる歌舞伎や戦争、夢か現か不思議な雰囲気が「あやめ十八番」らしさを感じて面白かった。
彗星で坂東天鼓を演じた藤原祐規さんの、繊細さと独特なセリフの抑揚がとてもよかった。とても綺麗だった。
身体的な演技と非言語的な演技が巧妙で、堀越さんの脚本演出に似合う方だなと強く思う。
個人的には彗星回の金原賢三:宮原奨伍さん、坂東天鼓:藤原祐規さんがよかった。
天鼓(邦正)の学生時代から出征、歌舞伎役者としての成長過程が自然に表現されていた。
天鼓の人生について回るのが稲荷信仰。
知らぬ間に運命をサイコロを握られているような、なんとも複雑になり悲しくもなるが、その姿を繊細に丁寧に演じていた。
戦地で狐火を追いかける姿の危うい朦朧とした姿や口調、宮司役として出た時の人間とは違う雰囲気を纏った姿、どちらも空気が冷えるぞくっとする芝居だった。
学生時代、同じ歌舞伎役者の幼馴染に想いを寄せられる場面では呼吸や目、指先からも感情が伝わって来て、本当に儚く美しかった。
主演のお二人だけでなく、すべての登場人物から楽隊まで、魅力があり、且つそれが散り散りにはならない巧さがあやめ十八番にはあり、とても面白い演劇を観させていただきました。

総評

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