
消えていくなら朝
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2025/07/10 (木) ~ 2025/07/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
家族が集まってそこで過去がいぶり出されて葛藤が再燃しトラウマが露呈して・・・、という定番の舞台設定で、一日の中で全場面が展開するので「夜への長い旅路」などを連想させるが、この芝居の登場人物たちの感情の爆発はとても滑稽に表現され客席から笑いが起こる。劇作家を主人公にしている点も面白い。「この芝居がそれなのか」と思わせる。
俳優陣が素晴らしい。どの役も秀逸で違和感ないし、特に父親、母親役が出色。

受取人不明 ADDRESS UNKNOWN
アン・ラト(unrato)
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/07/04 (金) ~ 2025/07/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
再演だそうだが、自分は今回初めて。Aチームでの鑑賞。二人芝居だが、それぞれ相手への書簡を口述する場面のみ(その際の演技や演出はある)の形態で表現上の制約が多いはずの設定だが、最高に面白い。制約ある設定をうまく利用した巧みな台本で人間心理が浮き彫りになる。往復書簡だけでここまで劇的な構成の物語を作り出すとは。タイトルも意味深。
二人の俳優たちの演技もこの巧妙な台本を見事に舞台上に実現する素晴らしいものだった。天宮良氏のもっと若い頃の舞台を観たことがあるが、今回観て、何と円熟というか貫禄がついたものか、と。他のチームも観てみたいが、チケットは残っているのだろうか。

晩節荒らし
らんぶる
新宿シアタートップス(東京都)
2025/07/02 (水) ~ 2025/07/09 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
二人のベテラン個性派男優が一人多役で次々と目まぐるしく役を変えて演じ分けていくところが見所で、ストーリーはそのために作られていてとっちらかっているし、役が多すぎてどれが誰なのかわからなくなるきらいがあるのは否めない。あくまでこの男優二人のプレイを楽しむための芝居と思えば良い。

コラボレーターズ
劇団青年座
吉祥寺シアター(東京都)
2025/06/19 (木) ~ 2025/06/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
発想が型破りで面白い台本の作品。秘密の地下室で、スターリンと劇作家をあんな風に入れ替えてしまうとは。それが作家にさらなる葛藤を生み、やがてそれが・・・。
コメディが基調でも、笑えないシリアスなストーリーだし、青年座の名優たちがやるとさすがに引き締まる。横堀悦夫氏のスターリンが威厳はあるが気さくな人柄にふるまってみせて、でもやはり独裁者の不気味な冷たさを宿している感じに見えるのも素晴らしい。

ザ・ヒューマンズ ─人間たち
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2025/06/12 (木) ~ 2025/06/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
変わっているというか、独特な作品と感じる。新国立はしばしば独特な作品を舞台にかける(失敗作としか思えないものもあったが)。最初から、やたら明るく騒ぐとりとめのない会話が延々続き、物語が始まる気配がないようにみえるが、その会話はだんだんどこか妙な感じになってきて、登場人物たちがそれぞれ何かにこだわっていたり逆に何かを隠しているもしくは避けていて突然会話が途切れたり話題が変わったりする。なぜかときどき誰かが暗い表情をしている。何と言っても階上から聞こえてくる不気味な音響が感謝祭のホームパーティの先行きに不安を感じさせる。いったい、この家族は最後にどうなるんだろう、と。
ザ・ヒューマンズというタイトルも意味深だし、ちょっと変わった不思議な演劇だが、会話のどこか妙な感じや不安感、鬱屈さを表現する演出や演技は見事で、演者が作品の性質や各セリフの目的をきちんと理解した上での演技なのだろう。あんなとりとめのない会話をプロンプターなしで演じられるのはある意味すごい。
観ている最中は何だかよくわからないが、観終わった後にやっと全体が俯瞰できて理解できるような作品と思う。

狂人遊戯
春錦匠の会
シアターX(東京都)
2025/06/17 (火) ~ 2025/06/25 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
後説では「熱海殺人事件が諸事情でできなかった」とのことらしいが、ぜひ西岡德馬氏主演で熱海殺人事件を観たかった。本作の台本はその熱海殺人事件をかなり意識したものと思われるが、比較にならないほど劣る。

パレードを待ちながら
劇団東演
東演パラータ(東京都)
2025/05/24 (土) ~ 2025/06/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
土曜の夜の公演で、劇場が駅から遠いこともあってか、気の毒なほど客入りが少なかったが、なかなか高水準の公演。5人の女優のみの出演だが、トレーニングの賜物か舞台俳優としての基本的な実力が相当しっかりしており安心して観ていられたし、それゆえこの作品の良さにあらためて気づかされた。

蝉追い
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/05/27 (火) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
作家が創り出す世界観に各俳優が実に巧く溶け込んでいる。客演の藤吉久美子氏まで劇団員の一人であるかのようにすっかり溶け込んで突出せず、その役を果たしている。何と見事なチームだろうと感嘆させられる。安定した実力を遺憾なく発揮できる劇団と作家。

ずれる
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2025/05/11 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
これまでほど奇想天外ではないが、否、この劇団の奇想天外さに慣れさせられてしまっていてそう感じるだけなのかも知れないが、やはり想像力豊かでメッセージ性もかなり明確。ずっと室内のシーンだけなのに、外から聞こえてくる動物の鳴き声など、家の外の世界で起こっていることを観る者に強く意識させ想像させるあたり、実に素晴らしい。

コーヒーとカレーと見田さんと
夏の川企画
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ちょっと不思議なことがいろいろ含まれたストーリーで興味深かったが、終盤で急激に回収されてまとめられた印象で、そこまで全部まとめなくても、とも思ってしまった。ところで、誰かとの人間関係の深さでマウントを取る、なんてことをする人が実際にいるのかな、と考えてみたら、意外に身近に実例があったりした。

トワイライト2〜不思議な世界の短編集~
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2025/04/29 (火) ~ 2025/05/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
SF的な短編2本、この手のストーリーでは辻褄の合わないところがどうしても出てきてしまうが、そのへんは気にしないことにして、一捻りあるストーリーで気軽に楽しめる芝居。

エキセントリックフェローズ
ゼータクチク&ACTACTION by TEAM HANDY
新宿眼科画廊(東京都)
2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
客席数が非常に少なくて驚かされた。面白くなくはないが、真面目に観るようなものではなく、上演前の告知の通り、気安く、寝転んで観るのがちょうど良いくらいの、お気楽な芝居。

夜の道づれ
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2025/04/15 (火) ~ 2025/04/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
プログラムによると、「こつこつプロジェクト」というものから生まれた上演ということらしいが、なるほど研究や掘り下げに耐え得る独特の作品。かなりの低料金で観させてくれるのでありがたいが、生易しい作品ではないので、観る側もしっかり意識を集中していないと意味が把握できなくなる箇所がたくさんある。後半はほとんど二人だけのシビアな会話劇となるが、あんなふうに本来不自然な足踏みをしながら大量のセリフを駆使して演技し続けなければならないのは非常に難易度が高いと思われ、演技者としての主役二人の凄さに舌を巻く。

12人のヒトラーの側近
サルメカンパニー
吉祥寺シアター(東京都)
2025/04/12 (土) ~ 2025/04/15 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前半はタイトル通りの内容だったが、後半はちょっとそこから離れたような・・・。あの女性たちも側近のうちということ?エピソードも、ブルーノ・ガンツ主演の有名な映画と被る感じもあり(舞台のほうはヒトラーは出てこないが)・・・。俳優たちは、彼らが演じる実在の人物に何となく似ているように当てられている。ちなみに、本作の総統代理ルドルフ・ヘスは、アウシュビッツ収容所所長のルドルフ・ヘスとは別人であるが。

メリーさんの羊
山の羊舍
小劇場 楽園(東京都)
2025/04/01 (火) ~ 2025/04/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
途中まではいつもの別役劇だが、後半で一気に物語の核心に入っていく。何ともノスタルジックな味わいを残す作品。小さい劇場での上演ということもプラスになっていて、過剰にならない演技や演出によりこの作品の魅力がうまく出されている。

ガラスの動物園
滋企画
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/03/26 (水) ~ 2025/03/31 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
どの俳優も素晴らしいが、特に女優二人は秀逸。演出もよく工夫され、細部に至るまで考え抜かれていると感じられる。すみだパークシアターの舞台を目一杯広く使って奥行きや横の広がりを効果的に使っている。

幽霊
ハツビロコウ
シアター711(東京都)
2025/03/25 (火) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
松本光生編「幽霊」といえるが、むしろ原作のエッセンスを凝縮したような台本・演出になっていて、偽善や欺瞞、狡猾さ、身勝手さの表現は全体的に抑制され(省略され)、古い因襲など個人を縛る諸々からの自由というイプセンの本質的なところにより注意が向けられているように感じられた。牧師との会話中、未亡人がオスヴァルとレギーネの関係を自由を理由に容認するかのようなことを一瞬言ったように聞こえたが(はっきり覚えていない)、だとすれば原作よりさらに踏み込んでいるのかもしれない。それにしても、普遍的な作品というものは時代や国を問わず通用するものだな(翻訳や演出次第なのかもしれないが)とあらためて気付かされる。

楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき~
Liveoak企画
オメガ東京(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
この演目を観ると、あらためてチェーホフの台詞の深さ(元のロシア語が日本語に翻訳された時点で変わってしまったり伝わらなかったりがあるとしても)やチェーホフの作品がその後の作家にいろいろインスピレーションを与えていることがわかってくる。
この上演では、女優たちが時として観客に非常に近い位置で話すので、客席まで楽屋の中にあって近接した距離で目の前のドラマを目撃しているように感じさせられる。全編でフォーレのレクイエムが流されるのが印象深く、女優たちを鎮魂しているかのよう。

ぶた草の庭
劇団道学先生
小劇場 楽園(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

リセット
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2025/03/11 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
最初、どうも辻つまが合わないので、不条理劇か、3年前に俳優座で観た「ムッシュ・シュミットって誰だ?」みたいな路線かと思わせたが、かなりシリアスで答えが見えそうで見えない不思議な作品。迷路の中を彷徨っているようで、混乱させられ不安な気持ちにさせられる。最後で一つだけ解決が提供されるが、他は混沌のまま観る者の想像力に任される。こういうストーリであるゆえ、俳優陣の安定した演技が際立つ。