
12人のヒトラーの側近
サルメカンパニー
吉祥寺シアター(東京都)
2025/04/12 (土) ~ 2025/04/15 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前半はタイトル通りの内容だったが、後半はちょっとそこから離れたような・・・。あの女性たちも側近のうちということ?エピソードも、ブルーノ・ガンツ主演の有名な映画と被る感じもあり(舞台のほうはヒトラーは出てこないが)・・・。俳優たちは、彼らが演じる実在の人物に何となく似ているように当てられている。ちなみに、本作の総統代理ルドルフ・ヘスは、アウシュビッツ収容所所長のルドルフ・ヘスとは別人であるが。

メリーさんの羊
山の羊舍
小劇場 楽園(東京都)
2025/04/01 (火) ~ 2025/04/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
途中まではいつもの別役劇だが、後半で一気に物語の核心に入っていく。何ともノスタルジックな味わいを残す作品。小さい劇場での上演ということもプラスになっていて、過剰にならない演技や演出によりこの作品の魅力がうまく出されている。

ガラスの動物園
滋企画
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/03/26 (水) ~ 2025/03/31 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
どの俳優も素晴らしいが、特に女優二人は秀逸。演出もよく工夫され、細部に至るまで考え抜かれていると感じられる。すみだパークシアターの舞台を目一杯広く使って奥行きや横の広がりを効果的に使っている。

幽霊
ハツビロコウ
シアター711(東京都)
2025/03/25 (火) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
松本光生編「幽霊」といえるが、むしろ原作のエッセンスを凝縮したような台本・演出になっていて、偽善や欺瞞、狡猾さ、身勝手さの表現は全体的に抑制され(省略され)、古い因襲など個人を縛る諸々からの自由というイプセンの本質的なところにより注意が向けられているように感じられた。牧師との会話中、未亡人がオスヴァルとレギーネの関係を自由を理由に容認するかのようなことを一瞬言ったように聞こえたが(はっきり覚えていない)、だとすれば原作よりさらに踏み込んでいるのかもしれない。それにしても、普遍的な作品というものは時代や国を問わず通用するものだな(翻訳や演出次第なのかもしれないが)とあらためて気付かされる。

楽屋 ~流れ去るものはやがてなつかしき~
Liveoak企画
オメガ東京(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
この演目を観ると、あらためてチェーホフの台詞の深さ(元のロシア語が日本語に翻訳された時点で変わってしまったり伝わらなかったりがあるとしても)やチェーホフの作品がその後の作家にいろいろインスピレーションを与えていることがわかってくる。
この上演では、女優たちが時として観客に非常に近い位置で話すので、客席まで楽屋の中にあって近接した距離で目の前のドラマを目撃しているように感じさせられる。全編でフォーレのレクイエムが流されるのが印象深く、女優たちを鎮魂しているかのよう。

ぶた草の庭
劇団道学先生
小劇場 楽園(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

リセット
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2025/03/11 (火) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
最初、どうも辻つまが合わないので、不条理劇か、3年前に俳優座で観た「ムッシュ・シュミットって誰だ?」みたいな路線かと思わせたが、かなりシリアスで答えが見えそうで見えない不思議な作品。迷路の中を彷徨っているようで、混乱させられ不安な気持ちにさせられる。最後で一つだけ解決が提供されるが、他は混沌のまま観る者の想像力に任される。こういうストーリであるゆえ、俳優陣の安定した演技が際立つ。

血の婚礼
劇団俳小
駅前劇場(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
現代の日本からはちょっと想像しにくい遠く離れた時代と場所の物語だが、終始雰囲気を主導する音楽が素晴らしく、土っぽく乾燥したスペインの大地とそこに生きる人々の生活が目に浮かぶようであった。物語ははっきりした結末を否定し打ち切られるように曖昧なまま終わる印象。歌や踊りが入るので上演としてはロングバージョンの2時間超えだが、オーソドックスな演出で朗々と発せられるセリフが心地良かった。俳優たちの水準も高い。それにしても、主人公の女性はいったいどうしたいのかよくわからない人だ。解放や自由・自立といったイプセンのキャラクターに見出されるメッセージは感じられず、単なるマリッジブルーであるだけのように思われるが・・・

カルメン
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2025/02/26 (水) ~ 2025/03/08 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
数年前の再演のプロダクション。建築現場の足場のような鉄骨の組み立てのみの舞台。いつもいつもト書き通りのオーソドックスな演出ばかりだと飽きてくるから時々は現代的・前衛的な演出も望まれるというのは理解できる。ただ、その路線でどんどん行くと、舞台上の情景と歌詞の内容とが不一致・矛盾するようなことになるのが避けられない。誰も歩いていないのに「暇つぶしで通りを歩く人々を眺める」だとか、警察官なのに「伍長」だったりとか、建設現場だかライブ会場だかわからないがとにかく一般人の姿が見えない場所に突如子どもたちの一団が現れて歌い出したりとか、自然ではないことが舞台上で次々発生する。こういう路線の演出なら歌詞の内容との不一致・矛盾はやむを得ないことだが、それが気になってしまうとせっかく名曲揃いのオペラ「カルメン」の音楽を十分に味わえなくなる。個人的には、音楽鑑賞の邪魔になるような演出は勘弁して欲しいと思うが、今のところ、演出が邪魔だと思ったら目を瞑って聴くしかないようだ。
総合的には、先月の二期会の公演のほうが良かったように思う。演技は二期会のほうが優っているし、歌唱は本公演も遜色ないが時々声が良く通らないことがあった。オーケストラの音量とのバランスの問題かもしれないし、劇場の音響特徴なのかもしれないし、歌われる場所の位置関係や方向の問題なのかもしれない。ミカエラ役とエスカミーリョ役はすばらしかった。演出はもとよりこういう路線なので何とも言いようがないが、ラストの第4幕は違和感が否定できず、もう少し本来のストーリー設定に寄ったものでも良かったのではないか。フランス語のセリフがわりと入る点はむしろオリジナルに近いのでは。

淵に沈む
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2025/03/07 (金) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
プログラムに精神病院における過去の虐待事件のことが書かれてあったので凄惨な物語を想像したが、そういうシーンはなく、精神医療をより良くしようと努力している人たちが描かれた社会派の内容。

ノートルダム・ド・パリ ストレートプレイ
GROUP THEATRE
浅草九劇(東京都)
2025/03/05 (水) ~ 2025/03/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ユーゴーの原作は知らなかったが、さすがに文学として重厚で内容の濃い作品だった。各俳優たちはそれぞれ個性を活かして思い思いに演技しているという印象で、何となくバラバラな感じはするものの、それが主宰者の方針なのだろう。実力ある俳優も多い。主宰者自身が演じる副司教はこの芝居の中で最も重要な役と言えるが、もっと迫力というか鬼気迫るものが欲しいと感じられた。

ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2025/02/15 (土) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
いずれも現代的な作品の2本を一つの作品のようにも見えるようなやり方で上演している。意欲的な公演で、かなり雰囲気は異なるこの2本を連続させたのは興味深い。前半のほうは、いちおうテロ事件が要にはなっているけれども、それよりもさまざまな人の不安感やフラストレーションや鬱屈した感じが伝わってくる。後半ほうは、大晦日の、混乱した状況で禁句ワードも遠慮無く発せられる収拾のつかない大騒ぎが描かれ、まとまることのない不条理な会話が飛び交う。シアタートラムの舞台の、あんな高い所まで使うとは。

ズベズダ
パラドックス定数
ザ・ポケット(東京都)
2025/02/20 (木) ~ 2025/03/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
縦断上演を鑑賞。青年座版の2倍の長尺ということもあり、ストーリー展開のディティールがより詳しく描かれているし、主人公コロリョフの死後の話も、ほぼ現在に至るまでずいぶん入れられている。専門的な事柄や歴史についてよく調べられそこから緻密に創作が組み立てられた驚異的な台本だ。また、青年座版では演出ゆえかカラッとした明るさがあったように記憶しているが、本上演はパラドックス定数らしい基本的にシリアスな雰囲気(いくつか笑いをとる場面があるとしても)で照明を落とした暗めの場面も多用されていた。段差が付けられた簡素な舞台を巧く利用した演出はなかなか優れている。それにしても、難しい専門用語や発音しにくいロシア人の名前が散りばめられた大量のセリフを6時間も駆使し続けた俳優たちは絶賛に値する。

カルメン
東京二期会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2025/02/20 (木) ~ 2025/02/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
22日に鑑賞。しかし、カルメン役が体調不良とのことでダブルキャストのもう一方である加藤のぞみ氏が代演。非常に演技力に優れカルメンに成りきっているかのようだったが、歌唱はむしろ正統的で情緒に流れずしっかり歌っていた。ミカエラ役も相応しい。他の役も水準に達しており、歌を楽しめた。
演出に関して、最初前奏曲の前に幕が開いて瓦礫の山みたいなものが現れた時はギョッとさせられたが、それ以外は違和感というかショックがあるような演出はない。動きや表情、視線についてかなり細かい演技が付けられているように感じた。また、ダンサーの独特の動きや登場人物のような役割などいろいろ演出上の仕掛けがみられた。第4幕のバレエはなかなか見応えがあった。
近年の二期会の公演は本当に水準が高く意欲的でもある。加藤のぞみ氏は本来の出番である23日も歌うらしいが、24日は、3日連続はさすがに無理だろう。本来の歌手が復帰できるのだろうか。

ハイ・ライフ
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2025/02/07 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
流山児演出を鑑賞。ヤク中で愚かな、更正する気配のないワル達が犯罪計画を実行するストーリー。最高に手練れた俳優たちが役を手中に収めて活き活きと演じており、これ以上の舞台が望めるとは思えないが、もう一つの演出バージョンではどんな感じなのだろう。

教育
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2025/02/07 (金) ~ 2025/02/15 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
何だか不思議な作品。場面が進むにつれ難解というかうまく飲み込ませてくれなくなる印象。飲み込みやすい解決は与えられない。あのメイドの登場は何なのだろう。あえて「教育」とタイトル付けされているのも不思議。

おどる葉牡丹
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2025/02/05 (水) ~ 2025/02/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
主演を始め9人の女優たちがときに2役をこなしながら活き活きと演じている。ストーリーはコメディタッチだが終盤ちょっと展開が飛躍してしまった感があり、今ひとつまとまらなかった印象。

消失
キューブ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2025/01/18 (土) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

音楽劇 詩人の恋
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
一流の舞台俳優というのはこんなに凄いのか、と再認識させられた。義宗氏が、こういう二人芝居だと、存在感が違いすぎて申し訳ないが引き立て役程度に見えてしまう。そのぐらい、凄い。
ピアニスト役は、歌がもう少し巧いと良かったなと思う。歌手でなくても、音楽家はみんな歌も巧いので。ところで、背後の幕を途中まで上げたりしているのはどういう意図だろう?

『変身』東京公演
ブルーエゴナク
森下スタジオ(東京都)
2025/01/17 (金) ~ 2025/01/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
各俳優が語りと演技をやって3人で舞台をまわしていくので自ずと台詞量が多くなるが、非常に良くこなしていた。そう言えば、ずっと昔に宮本亜門主演で観たことがあるが、それは主演だけが語りもやっていた。