Takashi Kitamuraが投票した舞台芸術アワード!

2018年度 1-1位と総評
その恋、覚え無し

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その恋、覚え無し

劇団桟敷童子

とても素晴らしい舞台でした。4人の盲目の女性祈禱師たちを神目(カンメ)と呼んでいましたが、こうした独特の命名も含め、美術、衣装、所作、物語の全てから、現代とは違う、しきたりの厳しい前近代的山村の世界が現出します。
そこに起こる幼女の「神隠し」事件や、過去の因縁の糸が絡み合って、テレビでも映画でも見られない、演劇ならではの没入体験を味わいました。ラストの光景も素晴らしいですが、水車が突然回り出す不気味さも抜群でした。
この秋、一番の舞台です。
小劇場ですが、水をふんだんに使ったり、スペクタクルな演出は蜷川幸雄を彷彿とさせます。俳優たちのキビキビと走り回り、ぶつかり合う姿は、野田秀樹の舞台を連想しました。そうしたらなんと野田秀樹が見に来てました! 「駒場でやっていた頃の昔を思い出すなあ。熱量がすごい」と言っているのが聞こえ、全く同感でした。
カンメの一人、板倉桃子さんの何物にも縛られない自由で自立した姿が、舞台を現代につなげていました。

総評

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